道路構造物ジャーナルNET

阪神高速道路の維持管理報文連載

①阪神高速道路の構造物の劣化と維持管理の課題を考える(1)

阪神高速道路株式会社
大阪管理局 
保全部 保全設計課 課長 

小林 寛

公開日:2017.02.21

 当NETでは、阪神高速道路の協力のもと、今月から月に1回、計6回にわたり阪神高速道路の構造物の劣化および維持管理上の課題や通常の保全工事、大規模更新・大規模修繕などの課題や技術革新などについて報文を掲載する。1回目は同社大阪管理局保全部保全設計課課長の小林寛氏に主にRC、PC部材の劣化状況と維持管理の課題について論述していただいた。(編集部)

はじめに

 阪神高速道路は昭和39年(1964年)に1号環状線土佐堀~湊町間2.3kmの開通から50年余りを経て、平成29年1月1日現在の営業路線延長は大阪地区、兵庫地区、京都地区合わせて259.1kmとなり、1日に約70万台もの交通が利用している。大きな特徴として営業路線延長のうち200km余りが橋梁構造物で占められていること、そのうち供用後30年以上となるものが3割以上に達すること、大型車交通量は一般道(大阪府内)の約6 倍と、非常に過酷な使用状況になっていることがあげられる(表1、図1)。

 


 阪神高速では、お客さまに「安全・安心・快適」に道路をご利用いただくために、維持管理のサイクルに沿って、日常点検や定期点検を行い、構造物の健全性を把握したうえで、効率的、合理的な補修・補強計画を策定し、工事を行うことで、道路の保全・管理に総力を挙げて取り組んでいるところである。
 日常点検は、常に安全かつ円滑な交通の確保、および第三者への被害を未然に防止することを目的として、構造物の異常を早期に発見するために日常的に実施するもので、路上は車上より週1~3回、路下は徒歩により年2回行っている。
また定期点検は、長期点検計画に基づき、一定の期間ごとに構造物に接近して点検を行い、機能低下の原因となる損傷や劣化を早期に発見し、構造物の損傷度やその影響度を把握するとともに、対策の要否やその内容を判断するための資料を得ることと、補修あるいは補修工事の計画策定を行うことを目的として実施するもので、橋梁については上下部工点検を法令に基づき5年に1回行うほか、必要に応じて適宜中間年点検も行っている。
これらの点検で発見された損傷については、その程度や構造物、第三者への影響等を勘案して即時補修から計画的補修、点検強化、経過観察まで適切な対策を取っている。
 今回はこれらの点検により報告されたものから、コンクリート構造物について代表的な事例を紹介して劣化の現状を示すとともに、コンクリート構造物関係の大規模修繕・更新事業についても紹介する。

コンクリートの浮き・剥離

 阪神高速道路のRC床版は、昭和50年代前半までに供用した路線の多くでは裏面より鋼板あて板補強がなされている。しかしながら昭和50年代後半以降の供用で、鋼板あて板補強がなされていない箇所において、コンクリートの浮きおよび鉄筋の腐食が見られた(図2)。
この様な損傷を点検で発見した場合、応急措置として路下の第三者被害防止の観点から速やかに浮き部分を除去し、鉄筋に防錆措置を施し、後日に本補修として鉄筋の錆を落とした後、塩害対応の断面修復材により断面修復を行う。
 これらの損傷は、建設時に床版防水を施工しておらず、施工不良による被り不足が生じた打継目に発生しており、本補修の前に床版防水層の施工が必須となる。

鉄筋腐食

 建物上に設置され、なおかつ両側に他管理者の高架道路を挟んでおり、風通しの悪い橋脚の梁側面において、融雪剤由来の塩分を含むジョイントからの漏水により生じたと考えられる鉄筋腐食が見られた(図3左)。
 これらも剥離した被りコンクリートの落下により第三者被害の恐れがあるところは直ちに除去し、後日、塩分吸着剤による高防錆型断面補修工法(N-SSI工法)により断面修復を行った(図3右)。

 なお、修復に当たっては鉄筋にマクロセル腐食が見られたため腐食速度を検知するためのセンサーを埋め込み、追跡調査を実施中である(図4)。

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