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⑳インフラ・メンテナンスの地方の状況~ルールとツールは使いよう~

民間と行政、双方の間から見えるもの

富山市
建設技術統括監
植野 芳彦 氏

1. はじめに 

 6月議会も無事終了した。今年度の発注の業務も動き出している。今年度は、「橋梁マネジメント計画」のひとつの大きな検討課題である、「官民連携」の推進に向けて、可能性調査を実施する方針である。これまで、不可能だとされてきた維持管理の部分の官民連携の可能性を、まず検討する。

 めどが、つけば実証も行いたいと考えている。

 最近、良く聞かれるのは、「橋梁等の老朽化対策に対して、一番取り組んでいる自治体はどこか?」という質問である。正直分からない。しかし、言えることは、昔ながらの、やらされ感満載の事後保全では、もう、もたないと言うことである。競う必要はまったくなく、しかし、それぞれ工夫していかなければ、持続可能な○○市はなくなってしまう。競う必要は、ないのだが、先輩方のやってきたとおり、仕事をこなせばよいと思っているのは、面白くないと思うのだが・・・・?自分達で工夫し、(良い意味で)少しでも楽をしようとしていかなければ、これからの人口減少社会では、とても自治体自体が持たない。


維持管理は総力戦だ


2.役割分担⇒協力体制

 公共事業で、何がうまく行っていないかと言うと、まず役割分担が理解されていないということではないだろうか?役所の人間の役割、民間業者の役割、業者の中でもコンサルと施工業者と、それぞれの役割とやるべきことがある。役所の技術力と、民間の技術力では同じ技術力と言っても当然違っている。コンサルと施工業者でもまた、其れは当然である。勘違いしている場合がある。役割分担が、うまく行けば、より緊密な協力体制が構築されより効率的な体制が確立できる。


富山市が管理する橋梁の特性①(拡大してご覧ください)

 かつて、官庁はインハウスで設計から施工までをこなしていた。高度成長期の事業量の増加とともに、外部委託が行われ、基準類の整備や標準設計の整備がなされ、業務の効率化のためのツールが整備されてきた。ここで、最近、官民ともに勝手な解釈により大きな勘違いを犯してしまっている。たとえば設計業務においても計算結果や図面ももちろん大事であるが、設計ストーリーが大事であり、難しいものに成ればなるほど、役所側の担当者と受託者側の担当者で議論をつくして纏め上げる必要が有ると思う。最終納品で受託者側の説明を聞き、納得してしまっているのを見ると、「お互いに優秀なんだなあ」と感心する。担当者のうちは、とことん議論し、官も民もお互い、伸びていかなければ将来は無い。分かったふりや、間違った知識は身を滅ぼす。だいたいが、経験が乏しい者どおしが、分かった振りで打合せをしていてよいことは無い。分からないことは議論すべきだし、わかっている奴に聞けばよい。最近危険なのは民間の技術者のほうが分かっているかというとそうでもない。今後、事業量が減っていくと、経験の乏しい技術者が双方に増えていく。さらには、「働き方改革」は真の技術者になろうとするものには、辛い制度かもしれない。これは、働き方改革を否定する物ではないが、技術者と言うのは、納得するまで突き詰めなければならない場合が多々出てくる。これを阻害することにならなければよいと懸念するものである。


富山市が管理する橋梁の特性②(拡大してご覧ください)


 まず、役所にいて橋梁のプロになるのは、はっきり言って無理である。昔は可能であったかもしれないが今後は、なかなか難しい。経験する時間が足りない。本当に、橋梁のプロになりたいのであれば、民間の鋼橋メーカーかPC橋メーカーに行くことである。さらに、その中も分業しているので、出来れば全てこなすこと。役所にいて、2~3年でまったく違った部署に異動してしまったのでは中途半端である。ただし、まったく経験してないわけではないので、その経験は、橋梁の部署に戻ったときに役に立つ。「昔やった」でよいのである。それで、業務は、役割分担しているので、感性さえ磨いていれば問題ない。


 それを、補い、手助けするのが民間の技術者である。そのために、委託業務としてお金を払ってアウトソーシングしているわけである。民間側の話もしたいところであるが、自分達で考えて欲しい。若いうちは特に官と民とで議論して、場合によれば大学の先生なども入れ、議論していけば、技術者として大きく伸びることになる。だから、出来れば担当者は、お互いに若い方が良い。30代が望ましい。たとえ失敗しても、私はよいと思っている。責任は上司が取ればよい。其れが、若手を育てることになる。役所の人間が、委託業者よりも知識が無くて当たり前なのである。だから委託しているのだ。決して恥じることは無く、無理して知ったかぶりする必要はない。自分は調達のプロとして、問題なく施工し市民サービスに寄与できればよいのである。その、確認だけキチント出来ればよい。有能なコンサルタントは力になる。どんどん、お願いして協力体制でインフラメンテナンスという難局に当たりたい。