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連載詳細

首都高速道路 横浜環状北線の建設を振り返る

首都高速道路株式会社

神奈川建設局編

①はじめに

 高速神奈川7号横浜北線(以下,「横浜北線」という)は、「横浜環状北線」として建設事業を進めてきた路線であり、2017年3月18日に開通した。

 横浜北線は、高速神奈川1号横羽線の生麦ジャンクション(横浜市鶴見区生麦二丁目)から第三京浜道路の横浜港北ジャンクション(同市都筑区川向町)までをつなぐ約8.2kmの路線である。横浜北線の出入口は岸谷生麦出入口,馬場出入口,新横浜出入口の3ヵ所である。このうち、馬場出入口の開通は2019年度を目指し、引き続き、工事を進めている。出入口の整備にあたり、出入口が接続する街路も横浜市の事業として一体整備を行っている。横浜北線の案内図を図-1に、全体平面図を図-2に、縦断図を図-3に示す。


図-1 横浜北線の案内板


図-2 全体平面図


図ー3 全体縦断図

 横浜北線は、家屋の移転を少なし、周辺環境を保全するため、全長約8.2kmのうち、約7割にあたる約5.9kmをトンネル構造としており、更にこのうち約5.5kmはシールドトンネルである。両端のジャンクション(以下,「JCT」という)部周辺は既存の横羽線、第三京浜道路の高架構造の高さに接続するため高架構造としている。


②横浜港北JCT

 横浜港北JCTは既設の第三京浜道路(東日本高速道路株式会社管理、以下「第三京浜」という。)の港北インターチェンジ部において横浜北線と第三京浜とが相互にすべての方向に連結できるように高架構造により接続するジャンクションである。第三京浜から横浜北線へ向かうAランプ、横浜北線から第三京浜へ向かうBランプ、第三京浜の出口となるCランプ、入口となるDランプ、出入口が一体となる部分のCDランプにより構成されている。横浜港北JCTの全景を写真-1に示す。


写真-1 横浜港北JCT全景


(1)基礎工の構造と特徴

 工事場所である横浜市都筑区川向町は、鶴見川(一級河川)の左岸に位置している。

 表層をなすローム主体の埋土層の下は、N値0~2程度の非常に軟弱な沖積層の粘性土層と細砂を主体としたN値4~16程度の砂質土層が介在し、地表面より約17m以深に達すると、N値50以上で基礎の支持地盤と評価できる上総層群砂・砂岩または泥岩が互層で出現する。

 下部工の基礎形式は用地の制約条件や上部工反力の大きさなどを勘案し決定している。特に制約を受けない場所に位置する下部工については「鋼管ソイルセメント杭基礎」及び「場所打ち杭基礎」を選定し、用地の制約条件が厳しい下部工については「ニューマチックケーソン基礎」を選定した。

 また、事業用地内のスペースを考慮し、鉄筋コンクリート構造に高強度鉄筋(SD490)を積極的に採用し形状のスリム化を図っている。

(2)基礎の施工

 施工本数が最も多い鋼管ソイルセメント杭基礎の施工に当たっては、杭頭結合構造に着目し、中詰め補強鉄筋を高強度化することで杭頭鉄筋のスリム化と現場フレア溶接削減による現場作業の省力化を図った。

 ニューマチックケーソンの施工においては、当該地盤が軟弱粘性土層であることから沈下力に対して刃口地盤反力が小さく、作業室内の閉塞が懸念されたため1ロット分のコンクリートを2分割で打設することで沈下力の過大な増加を抑制した。この打設ロット分割化は刃口が支持層に貫入するまで実施している。

(3)上部工の構造と特徴

 A5、A3、B4及びB3ランプの橋梁形式は合理化橋梁(細幅箱桁橋、少数鈑桁橋)、床板形式は鋼・コンクリート合成床板を採用している。合理化橋梁の採用により、材片数の低減、主桁塗装面積の縮減などの他、床版工の現地工程の短縮・床板の耐久性の向上などを図っている。

 一方で断面をコンパクトにした結果、主桁のフランジ厚が増厚するため、SM570材に比べ降伏点の高い橋梁用高降伏点鋼材(SBHS500)を一部で採用し、板厚の薄板化を図った。

(4)上部工の施工

 CDランプの第一径間は支間長93mで横浜市道新横浜元石川線と交差する。市道上の架設においては、通行止めを伴わない施工方法が求められたため、市道中央部にベントを設置し、2回に分けて大ブロック架設を行った。1回目は特殊多軸台車による大ブロック一括架設にて、2回目はダブルツインジャッキ及び特殊多軸台車による送り出し工法とし、これにより市道の通行止めを不要とした。架設状況を写真-2に示す。


写真-2 架設状況

 第三京浜上の架設は第三京浜本線を通行止めして1250t吊りのクローラクレーンによる桁架設(架設工事は東日本高速道路株式会社に委託)を実施した。


③鶴見川並行部橋梁部

 当該区間は、横浜港北JCTから新横浜出入口までの鶴見川左岸に並行し、上り線と下り線が上下に分離したダブルデッキ構造となる高架橋区間である。

 (1)下部工の構造と特徴

 鶴見川並行部は鶴見川の左岸に位置し、鶴見川に沿って帯状に自然堤防が分布し、自然堤防と台地の間には後背湿地が広がっている。表層の下にN値=0の軟弱粘性土が堆積しており、その下に上総層群土丹層がPK本5橋脚付近を頂点として傾斜している。途中薄くAs層、Ag層が存在するが、ここもN値が小さいことから支持層としては上総層群土丹層以深となる。

 基礎構造としては経済性より場所打ち杭を基本とし、施工場所の制約があるPK本1橋脚についてはケーソン基礎とした。場所打ち杭基礎部は河川堤防と民有地に挟まれた用地条件によってフーチングを直角方向に拡大できず、橋軸方向に長いフーチングとなっている。

 橋脚はRC構造とし、小判型橋脚と横梁とで構成されている。

(2)下部工の施工

 場所打ち杭の施工方法は支持層が泥岩層であること、近接する建物への影響を考慮して、全周回転工法を採用した。

 フーチング構築時は、用地境界から離隔0.5m程度の位置に鋼矢板を圧入し5~7mの掘削を行うことから、躯体埋め戻し後の妬いた引き抜き時には地盤沈下を抑制するため、セメントベントナイトにて即時注入を実施した。

(3)上部工の構造と特徴

 上部工形式は、ダブルデッキ構造となるため、上部工荷重が軽く下部構造に有利となる鋼橋とし、経済性の観点から4径間連続RC床板箱桁橋+7径間連続RC床板鈑桁橋とした。

(4)上部工の施工

 当該区間は南側に一級河川鶴見川、北側には会社など建築物に挟まれた狭隘な用地であったことから、堤防を拡幅したうえで拡幅された堤防上から架設することとした。堤防の拡幅により道路事業者にとってはコスト削減効果、周辺への安全性向上及び工程短縮が図られ、河川管理者にとっても、堤防拡幅による治水性向上、堤防へのアクセスルート確保による緊急時対応性の向上及び堤防拡幅による歩行者等利便性向上が図られることとなり、道路と河川の事業者両者に利点となる架設計画となった。