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⑮多径間吊橋の可能性

現場力=技術力(技術者とは何だ?)

株式会社日本インシーク
技術本部 技師長

角 和夫

公開日:2020.12.01

(1)はじめに

「新型コロナウイルスの第三波襲来か」と巷が騒々しくなってきた。この数か月、大阪市内や神戸市内の繁華街での飲食(飲酒)は一切していないし、思い起こせば7月に親友の病院見舞いに福岡に行った際、博多駅近くで大学の先生達と飲み会をしたくらいである。25年前、北九州空港連絡橋の設計・施工で寝食を共にした盟友と言っても良いメンバー達である。当時は私が37歳、他のメンバーも30代中盤から40代中盤の働き盛りであった。現在は、名誉教授であったり、3Dの会社の社長であったり、長大橋の設計から保全部門に移った人、等いろいろではあるが、皆元気である。「角さんの記事を楽しく読んでいます」という皆さんの言葉に支えられて今も記事を書いているところである。
 前回、第14回の「防護柵の重要性」に関して、記事をご覧になった一般社団法人全国高欄協会のメンバーである昭和鉄工株式会社の広田顧問から連絡があり、防護柵に関する基準の変遷・経緯や現状の課題について是非とも紹介させてほしいという連絡があった。広田顧問とは福岡県庁時代に北九州空港連絡橋の防護柵・高欄について議論した友人である。この件については、近いうちにまとめてご紹介することにする。
 今回は、本当の意味での技術の継承・高度化に期待し、「多径間吊橋の可能性」と題して紹介する。

(2)多径間吊橋の過去~現在

 多径間吊橋は、これまでに幾度となく国内・国外の長大吊橋で検討対象に挙がっては消えていった。例えば、来島海峡大橋(中渡島ルート案)、豊予海峡大橋・伊勢湾口橋・三県架橋早崎瀬戸大橋(図-1参照)・津軽海峡大橋(図-2参照)(いずれも海峡横断道路プロジェクト構想案)、ジブラルタル海峡横断橋(構想案)、メッシーナ海峡大橋(コンペ入賞案)、サンフランシスコオークランド・ベイブリッジなどなど。


図-1 三県架橋 早崎瀬戸大橋(構想案)

図-2 津軽海峡大橋(構想案の1例)

 このうち、3径間吊橋として来島海峡大橋(世界初の3連吊橋)とサンフランシスコ-オークランド ベイブリッジ(2連吊橋)が完成している。一方、多径間吊橋として実現したものとして、小鳴門橋(徳島県)(図-3参照)、サン-マルコス橋(1955年、エルサルバドル)(図-4参照)、サベ川橋(1965年、モザンビーク)(図-5参照)、秦州長江大橋(2012年、中国、最大支間長1,080m(世界一))及びYingwuzhou Bridge(2014年、中国、最大支間長850m)がある。


図-3 小鳴門橋(1961年、徳島県)

図-4 サン-マルコス橋(1955年、エルサルバドル) (出典;下記※)

図-5 サベ川橋(1965年、モザンビーク) (出典;下記※)
※出典;長大橋講演会「長大橋の技術動向と将来展望(石崎浩氏講演資料)多径間吊橋のフィージビリスタディ(平成20年3月7日)」より

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