道路構造物ジャーナルNET

シリーズ「コンクリート構造物の品質確保物語」⑲

福島河川国道編① 南三陸での成功事例を糧に桑折高架橋の施工に挑む

横浜国立大学
大学院 都市イノベーション研究院
准教授 

細田 暁

公開日:2017.05.24

 インタビューシリーズの第七回目は、南三陸国道事務所で工事監督などを経験し、福島河川国道事務所でも建設監督官を務めた佐藤正氏に話を聞いた(現在は国土交通省東北地方整備局三陸国道事務所大船渡維持出張所長)。吉浜釜石道路唐丹第2高架橋で得た成功体験、現在担当している桑折高架橋でのチャレンジ内容などについて語り合った。(聴き手:細田暁・横浜国立大学准教授)(編集:井手迫瑞樹)

唐丹第2高架橋の成功体験
 的確な小山田課長の指示

 ――現在の仕事の担当状況を教えてください。
 佐藤 担当工事は、復興支援道路である国道115号相馬福島道路の霊山から福島間と、霊山道路の一部となります。霊山から福島間の一部区間は平成32年度供用予定です。その中でメインとなるのが、1,218mの桑折高架橋で今年度から本格的にスタートしました。
 ――福島河川国道事務所に来る前には
 佐藤 平成元年の入省から主に道路事業の調査設計に携わってきました。本局にいた最後の時期は企画部広域計画課計画調整係長として、県市町村に対する交付金審査を1年半行って、その後、三陸国道事務所、南三陸国道事務所へと異動しました。
 南三陸に行ったときはまだ工事が始まっていない設計用地買収の段階だったので、PPPを総括するリーダー的役割をしていて、施工管理はまったくやっていませんでした。
 ――南三陸に赴任したのはいつでしょうか
 佐藤 平成24年4月に南三陸国道事務所ができてからです。その前の準備期間として平成23年12月からの4ヵ月間は、三陸国道事務所でプロジェクトチームのサブリーダーをやっていました。南三陸の吉浜釜石工区及び陸前高田工区のPPP職員担当と、設計協議、地元調整です。その後、工事が発注に合わせて建設監督官となりましたが、コンクリートに関してはほぼ素人の状態からスタートでした。佐藤和徳さんが所長として来られて、さまざまな勉強会を行ううちに、私のなかでもコンクリートにおける品質と耐久性の意識が高まってきました。
 ――南三陸で思い出に残る現場はありますか
 佐藤 吉浜釜石道路の唐丹第2高架橋P1です。それまでいろいろと試行錯誤してきましたが、初めてうまくいったケースです。
 ――うまくいったと思えたのはどのようなことでしょうか
 佐藤 施工者である大豊建設の祖父江さんと一緒に、彼らの技術提案で、たとえば透明型枠の採用や、ライトウェイトホースを絡めながら、施工状況把握と品質管理を行ったことです。リフトごとに先生方にもさまざまな試験をしてもらい、良い評価をもらったことも私の初めての成功事例となり、その時期からだんだんおもしろくなってきました。


透明型枠の採用

ライトウェイトホースの使用状況

 平成27年4月に福島に赴任しましたが、一緒に石巻国道維持出張所長だった小山田課長も来ています。現場では業者さんと施工面や金銭面で話をして、総合的に判断しなければなりませんが、南三陸では佐藤和徳所長、そして福島では小山田課長がすぐに的確な判断をしてくれるので、業者さんもとても助かっていたと思います。

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