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首都高速 千駄ヶ谷付近の5径間PC箱桁橋

供用しながら3カ所のゲルバー部を改良

公開日:2014.10.16

 首都高速道路は西東京管理局管内高速4号新宿線の東京都渋谷区千駄ヶ谷1丁目付近に架かる5径間のPC箱桁橋ゲルバー部について改良工および床版補強工、コンクリート片剥落防止工を施工している。
 同橋は橋長164.15㍍のヒンジを有するPC5径間ラーメン箱桁橋で、片側2径間ずつのPCラーメン箱桁の中間部に吊桁として単純PC箱桁がある構造。ゲルバー部はP2の3㍍P3側(GE1)、P3の2㍍P2側(GE2)とP5の2㍍P6側(GE3)の計3カ所にある。TL-20からTL-25への移行時からゲルバー部は応力集中による損傷が懸念されていたが、実際に受桁部のコンクリートに大きなひび割れが生じていることやゲルバー内の支承が圧壊するなどの損傷が生じていることから改良を行うもので、GE1については連続化、GE2については支承の交換、GE3についてはフルウエブ化を図る(連結はしない)。

     ゲルバー部のコンクリートひび割れ                      支承の圧壊

     WJによってはつり出したPC鋼線                      PC鋼線の再緊張
当初は①GE1、GE2とも連続化する5径間連続ラーメン箱桁橋、②5径間を連続化するがP2とP4の剛結構造を支承構造化する手法、③A1~GE1までを一体し、P3の天端部をGE2まで伸ばし支承で受ける案などが模索された。しかし①はP2とP4が地震時の水平力に耐えられず大規模な補強が必要になる、②は支承化個所に大規模な沓座の拡幅が必要になる、③はP2~P3間の高架下を通る外苑西通りへの影響が懸念される――ことから、現行の方式に落ち着いた。
 現在はGE1の施工を始めている状況。施工にあたっては当該部全てをベントで受けた後に1列(2本分)ずつPCケーブルをはつりだしていく。その際、桁内部にあるPC鋼線および定着部を傷つけないため、対象部(受桁)全てを桁下からWJによりはつった。その上で、PCケーブルの鋼線を先端に設置した支圧板台座内に1本ずつ広げ、シングルストランド用のジャッキで再緊張、再定着する。その上でP2からGE2の手前まで外ケーブルを設置、同時にGE1部に型枠を設置して無収縮モルタルを施工し、A1~GE2の3径間を一体化する。
 G2についてはベントで桁を仮受けした上で損傷した支承を引き抜き、受桁部のPC鋼線に損傷が生じない範囲でWJによりはつって、支承全高を稼ぐ(現在は20㌢程度しかない)とともに沓座の補修やヒンジ内部の清掃を行い、すべりゴム支承に交換する予定。
 GE3については基本的にGE1と同様の施工を行いフルウエブ化する。吊桁部もフルウエブ化し、橋脚天端部を拡幅、延長して吊桁の下にも支承を設置する。
 元請は川田建設。(完全版は11月15日の「現場を巡る」に掲載予定)

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