HOME業界ニュース一覧住友大阪セメント 重金属吸着シート『マジカルフィックスシート』を発売開始

業界ニュース詳細

倉敷繊維加工と共同開発 汚染土壌から流失する重金属イオンを基準値以下に抑制

住友大阪セメント 重金属吸着シート『マジカルフィックスシート』を発売開始

 住友大阪セメントは、同社の重金属汚染対策材『マジカルフィックス』(以降『MFX』)に倉敷繊維加工の不織布加工技術を応用した重金属吸着シート『マジカルフィックスシート』(以降『MFXシート』)を共同開発し、このほど発売開始した。

 トンネルや橋梁基礎工事などで生じるずりや建設発生土には、重金属が含まれていることがあり、その仮置き時には土壌の汚染対策をしなければならない。MFXは天然鉱物焼成物(カルシウムおよびマグネシウム系複合材料)を主成分とした材料で、汚染土壌に混ぜることによって土壌に含まれる砒素や鉛、フッ素などの重金属を吸着・不溶化し、土壌を浄化する材料として使われている。MFXシートは不織布の中にMFXを担持させており(下写真)、仮置き場などで盛土の下に敷設する。MFXシートは適度な透水係数を付与することで「完全に水を止めず、さりとて流れすぎない」様に作られており、水に溶出した重金属イオンをMFXのイオン吸着効果と特殊形状(重金属が入りやすいが出にくい)により封じ込め、漏出する水中の重金属を基準値以下に抑制することができる。使い終わったシートは細かく裁断し、同社がセメント焼成時に使うロータリーキルン(焼成温度約1,300℃)に燃料として使うことにより、セメント製造プロセスを通じてリサイクル・無害化処理をする。このような汚染土壌対策ソリューションを提供するための体制を進めている。

 MFXシート(左写真)は、1巻(幅2m×長さ20m)で30㎏強と軽量で、人力で持ち運びができる。同様の理由で専用機材や重機を用いる必要がなく、人力での施工が可能だ。シートはポリプロピレン繊維製の不織布であり、ホイルローダーが直上を走ったり、砕石が落下しても破れない高い耐久性を有している。またMFXシートは優れたpH緩衝作用により、吸着後の酸・アルカリ環境下にも耐える高い耐薬品性があり、その環境下でも再溶出しにくい特長がある。

 仮置き時に降雨にさらされ、重金属が溶出する可能性があるが、それを想定したカラム試験も行っている。降雨量換算で9.6~33.4mmとなるよう砒素、鉛0.02㎎溶液を通水してシート通過水中の濃度を測定した結果、最も激しい雨を想定した条件においても環境基準を満足することができた。

 同社では施工方法についてもコストと施工工数に応じて小規模な順から①MFXシート+モニタリング装置、②遮水シート+MFXシート+外周簡易側溝+モニタリング装置、③遮水シート+MFXシート+外周側溝+モニタリング装置の3案を提案している。


MFXシート設置例

 設計価格は1㎡当たり9,500円で、1巻380,000円。売上げは年間10億円程度を見込んでいる。(2021年2月16日掲載)