HOME業界ニュース一覧NEXCO中日本 東名リニューアル工事の現場を公開

業界ニュース詳細

酒匂川橋ではNEXCO中日本初のトラス橋での床版取替

NEXCO中日本 東名リニューアル工事の現場を公開

 中日本高速道路(NEXCO中日本)東京支社は10月29日、東名高速道路の大井松田IC~御殿場ICに架かる酒匂川橋床版取替工事と都夫良野トンネル東換気塔撤去工事の現場を報道陣に公開した。両工事は、9月9日から12月20日まで実施される「2019年東名リニューアル工事」の一環として、9月30日から下り線(左ルート)を閉鎖して施工されている。

 酒匂川橋は1969年供用からちょうど50年経過している。既設RC床版の上面増厚(増厚前の床版厚180㎜を10mm切削し60㎜の増厚)や部分打替えの対策を行ってきたが、重交通による疲労などにより、床版下面に鉄筋腐食によるコンクリートの剥離、遊離石灰、ひび割れなどの損傷が発生していた。そのため、床版全面をプレキャストPC床版(厚さ220mm)に取替える。

 上部工は、橋長725mの鋼3径間連続トラス橋(A1~P3)+鋼3径間連続トラス橋(P3~P6)+鋼4径間連続切断合成鈑桁橋(P6~P10)+鋼2径間連続トラス橋(P10~A2)。今回施工しているのはP3~P6で、床版取替延長は226.3mとなる。「トラス橋での床版取替工事は、NEXCO中日本として初めて」(NEXCO中日本)の例となる。他径間についても、今後のリニューアル工事で床版取替工を実施していく。



酒匂川橋概要図(NEXCO中日本提供)


酒匂川橋全景(大柴功治撮影、注釈なき場合は以下同)


 P3~P6の床版取替工は、東京側のP6から名古屋側のP3に向かって既設床版を撤去し、新設プレキャストPC床版を架設する作業を繰り返していく。クレーンは160t吊仕様のオールテレーンクレーンを使用した。また、施工延長が226.3mと長いが、P6側に撤去床版の搬出路が確保できないことから、クレーン1台での施工となった。

 既設床版は舗装とともにカッターで切断し、ワイヤーソーで切断した壁高欄と一緒に吊上げ撤去するために2ブロックに分割した。「舗装を切削せずに残したまま撤去することで工期短縮を図った」(NEXCO中日本)ということだ。

 既設床版撤去同日に、プレキャストPC床版(橋軸方向約2~2.2m×橋軸直角方向約12m、重量約15t)を1日あたり3~4枚を架設していく。架設は10月9日に開始して、現場公開当日は全架設枚数104枚のうち42枚の架設が完了していた。同橋の平面線形はR=400mと一定の割合で徐々に曲率が変化するクロソイド曲線となっており、プレキャストPC床版の架設が課題となった。そのため、橋軸方向2mと2.2mの標準版のほかに調整版を製作して架設していく対応を行っている。



現場公開当日(10/29)までの架設状況(NEXCO中日本提供)


新設プレキャストPC床版の架設


 工期短縮の取り組みのひとつでは、三井住友建設が開発したプレキャスト壁高欄「EQ-WALL」を採用した。東名高速道路は通信管路が6条必要であり、路肩側では従来のプレキャスト壁高欄では配筋が困難であった。そこで、通信管路6条に対応したプレキャスト壁高欄を新たに開発。本年1~3月に施工された同高速道路の下長窪橋床版取替工事で初採用され、今回の工事でも採用している。



通信管路6条に対応した「EQ-WALL」


 都夫良野(つぶらの)トンネル東換気塔撤去工事は、同トンネル東坑口の本線上部に設置されている重量構造物である換気塔をさらなる安全性向上のために撤去する。1969年に供用された同換気塔にはトンネル内の換気設備や受配電設備などが設置されていたが、換気方式がジェットファン方式に変更され、換気設備は必要なくなっていた。

 坑口脇に東電気室を新設して新たな受配電設備を設置、情報板監視盤設備などを移設した後、換気塔の撤去を行う。換気塔はRC造6階建て(高さ約28m×幅約26m×奥行き約24m)で、10月上旬から撤去を開始している。



東換気塔外観/東換気塔の内部(換気ダクト)(NEXCO中日本提供)


坑口脇に新設された東電気室


 解体専用重機(ZX1000K マルチブーム仕様機)と大型油圧ショベルの2台を使用して解体を実施。現場公開当日は、解体専用重機のブームの先に取り付けられた大型破砕機で躯体内部の解体が行われていた。内部から解体を行い、最後に外壁を撤去することで、外側にガラが飛び散らないようにするとともに、万が一の際に内側に外壁が倒れるようにする工法で、安全性に配慮している。躯体撤去は今年中に完了する予定だ。工期(東名高速道路都夫良野トンネル管理施設改修他工事)は2018年8月31日から2020年5月21日の630日間。



躯体内部から解体を行う


「2019東名リニューアル工事」では両工事とともに、鶴野橋(橋長60.8m、鋼3径間連続鈑桁橋)と成就院橋(橋長138.2m、鋼2径間連続トラス橋)の床版取替工事、鮎沢PAリフレッシュ工事、都夫良野トンネル覆工補強工事(施工延長172.8m)などを行っている。

 酒匂川橋・鶴野橋・成就院橋の床版取替工事の元請は、三井住友建設・日本ファブテック・極東興和JV。都夫良野トンネル東換気塔撤去工事の元請は、大豊建設。

(2019年11月7日掲載)