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東神戸大橋全体を3Dモデリング化し、橋全体を力学シミュレーション

阪神高速道路・東芝 車両荷重影響を評価する超大規模解析技術を開発

 阪神高速道路(阪神高速)と東芝は、実在する阪神高速道路5号湾岸線東神戸大橋(橋長885m、鋼斜張橋)を3Dモデリング化し、同モデルに車両荷重を入力して走らせることにより、損傷状況が橋全体にどのような影響をおよぼすかを力学的にシミュレーションできる超大規模解析技術を開発した。東神戸大橋では、3月から実橋の様々な状態を計測しており、その数値とシミュレーション結果の誤差を検証中だ。阪神高速では単なる橋梁の3D台帳を作るのではなく、それに点検データを入力し、さらに実際の交通荷重や風荷重などをシミュレーションすることによって損傷状況が橋全体系にもたらす影響を確認し、さらに損傷の進行を予測、維持管理を適時化・効率化することを目指す。将来的にはスーパーコンピューターを用いることで、構造物単体ではなく、全線的に維持管理シミュレーションを行うことも目指す。


東神戸大橋の超大規模解析による変形シミュレーション

 両社は2017年2月から超大規模解析技術に関する共同研究を開始し、東芝がこれまでに電子機器などの研究・設計開発で培った構造解析技術と阪神高速の橋梁維持管理ノウハウを組み合わせることで、2次元の設計図面から3次元モデルを迅速に構築することを可能にした。

 従来は複雑な断面形状を持つ構造を梁で置き換えて橋梁をモデル化していたが、本技術では、設計図面から主構を構成する各部材の3次元形状を3D-CADで作成し、区間単位で組み立てた後、各区間を連結して座標転換で主構全体側面のアーチ形状を再現する。細部の形状までそのまま再現した5億自由度(※)規模の超大規模解析技術により、車両荷重のかかり方や変形が構造のどこで生じるかといった精密な解析が可能になる。従来はFEM解析などで局所的な分析を行っていたが、それを構造物全体で解析することが可能になる。

 解析には1ノード(2CPU×8コア)当たりのメモリが128GBの市販のパーソナルコンピューターを16台並列して繋げ、構造解析するシステムを用いた。

 今後は、今回の解析結果と現在実施している加速度計、変位計、風速計等から構成されるセンサーネットワークを用いた実測結果との比較を通じて解析モデルの有効性を検証していくとともに、風や車両走行による振動や、日照による温度変化で生じる伸びなど、橋梁に影響を与えるさまざまな事象に対する解析機能の拡充を図っていく。

 開発技術の詳細は、北海道大学で開催される土木学会全国大会にて8月30日に発表する。


(※)5億自由度:再現の細かさを表す。今回の実証では、コンピューター上で橋を8,000万個の点で構成し、それぞれの点が6方向自由に動くことができるため、点の数(8,000万個)×自由な方向数(6方向)で約5億としている。

(2018年8月28日掲載、井手迫瑞樹)