道路構造物ジャーナルNET

中央環状品川線山手トンネル

トンネル点灯式および現場見学会を開催

公開日:2014.10.02

 東京都と首都高速道路は、2日中央環状品川線の山手トンネル内でトンネル点灯式および現場見学会を開催した。山手トンネルの総延長は18.2㌔あり、国内の高速道路トンネルとしては最長。高松入口~大橋JCT間はすでに開通しており、大橋JCT~大井JCTに接続する約9.4㌔も来年3月までに完成供用させる予定で、首都圏三環状(中央環状線、外環道、圏央道)としては初めて環状道路として完成する。
 中央環状線の完成により、都心環状線など都心部に集中する通過交通の分散、羽田空港や東京港など人・物流のアクセス向上、災害時などのリダンダンシーの確保などが期待できる。 
 山手トンネルの工事では新しい技術をいくつも取り入れている。大井北立坑~大橋JCTの接続地点までは上下線とも1基ずつのシールドマシンで掘進した。掘進延長は約8㌔で1基のシールドマシンの掘進距離としては日本最長となる。また、出入り口部では非開削工法により施工しているが、ここでもパイプルーフ工法などを駆使し、施工性の向上を図っている。トンネルの舗装を支える床版には主に鋼・コンクリート合成床版を配置、床版厚さは31㌢と通常よりも厚くした。これは床版を支える側壁間が8㍍と通常の床版パネルの倍近くあるため、たわみがでないよう剛性を確保するのが目的。

五反田出入口付近シールドマシンにより掘進されたものと非開削工法により施工された形状の差が分かる(左)
五反田入口の外からトンネルを望む(左)

 耐火性を向上させるためケイ酸カルシウム系の耐火パネルを採用
 また、防災とりわけ耐火性を向上させるため、鋼製のセグメント部にはケイ酸カルシウム製の耐火パネル、コンクリートセグメント部にはポリプロピレン繊維を混入させることで火災時のコンクリート爆裂を防ぐなどの対策を施した。
 トンネル照明には全線にLED照明を採用しており「従来照明の7~8倍の耐久性を有し、ランニングコストも年間数百万円縮減できる」(首都高速道路・遠山雄一東京建設局長)。また、壁面には全線にわたって視線誘導塗料を施工している。同塗料は安全性を考慮して反射率、清掃を考慮して耐摩耗性という要求性能を課しており、今回の現場ではその要求性能を満足した2種類の塗料(シクソンアトミクス)を採用している。(井手迫瑞樹)

お問い合わせ
当サイト・弊社に関するお問い合わせ、
また更新メール登録会員のお申し込みも下記フォームよりお願い致します
お問い合わせフォーム