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スクエアダイヤモンドブレードで、床版防水前の下地形成効率化

ヒートロック工業 「FCチッピングマシン」で床版表面不陸を最小限に

公開日:2017.07.12

 ヒートロック工業は、橋梁における床版防水前の下地処理用途に「FC-チッピングマシンシステム」(全体は右肩写真)を展開している。同システムの特徴は、研削材に「4枚1回転する」(同社、以下括弧内は同)スクエアダイヤモンドブレードを採用したこと。これにより床版表面の凹凸やマイクロクラックの発生を最小限に抑えることができる。(井手迫瑞樹)

 スクエアダイヤモンドブレードとは、通常の円形のダイヤモンドブレードではなく円形ブレードを長方形に分割したようなブレードを組み合わせ、それが床版表面を毎分4000回転チッピングすることで、表面の舗装や前にかけた床版防水の残滓など不純物を「カンナのようにそぎ落としていく」ことで、表面を研掃するもの。一回の施工で最大幅600mmまでの研削が可能だ。1台当たりの1日(8時間施工として)平均施工面積は約80㎡としている。

ボディのサイドに搭載しているブレード/ブレードの一部を取り出したもの。表面が平滑である
 動力は電動式のため静粛性に優れている。研削機内にエンジンを内蔵する必要がないため、重量を600kg弱(584kg)、サイズをL1500×W1350×H890に抑えることができる。運輸効率が高く、重量制限のある個所や狭小空間でも適切に運用できる。
 ボディのサイドにブレードを搭載している形状であるため、壁や橋梁地覆などの障害物際ギリギリ(50mm残し程度)まで研削することが可能だ。また、研削中もブレード角度を任意に変更できるブレードアジャスト機能を有しており、一方が研削済みの床版表面、一方が研削前の舗装面に載っている場合でも状況に合わせて角度を変更することで、凹凸の少ない研削面を形成することができる。
 ブレード表面も従来のチッパーやビットのように表面が尖っておらず平滑(やや円みを帯びている)であるため、従来よりも凹凸を「1mm以下まで大きく減らす」ことが可能。表面への衝撃も小さく、マイクロクラックの発生を最小限に抑えることができる。また、研削時はブレードにカバーをかぶせ、集塵しながら研削していくため、研削後の塵芥が構造物表面にほとんど残らず、わずかに残った粉塵はブロアーで吹き飛ばす程度で次工程の防水工に移行できる。
 ブレードは「4枚でちょうど1回転する感覚で動いている」。従来に比べ、研削機内に大きな間隔を有するため集塵し易い。(集塵による吸気により)空冷機能が働くことで、ブレードによる研削熱を冷ますことが可能なためブレードの寿命を長くでき、湿式研削のように水を必要とせずドライ施工できるため汚泥なども生じないという利点がある。
 従来方式では切削機、バックホー、小型マシンまたは人力研削という3工程を経た上で下地清掃を行い、さらに不陸が大きい部分の断面修復を行い防水工に移行するという手順が必要であった。同システムは、「一次研削次いで同システムによる研削を経るだけで防水工に移行できるため(但し、母床版の損傷による不陸は別途断面修復が必要)、作業効率を大きく改善できる」としている。

研削前の床版表面/FCチッパーで研削

研削後の床版表面

 既にNEXCOの東名道や国交省、自治体などの橋梁で床版防水前の研削工法として実績がある。同社では今後もブレードの改良や、広幅員に対応したマシンの開発を進めていく方針だ。レンタル費は1日当たり17~18万円。売出価格は1,150万円(税別)。

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