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第一白川橋りょう架替えが過半の約40億円を占める

南阿蘇鉄道 全面復旧には約65~70億円が必要

 国土交通省鉄道局は、このほど昨年の熊本地震で被災した南阿蘇鉄道の災害復旧調査結果報告を発表した。その結果、同鉄道を全面復旧するには約65~70億円の費用が必要であることが明らかになった。第一白川橋りょう(昭和2年供用、橋長166.3m、鋼スパンドレルブレーストバランスドアーチ橋)については架け替えが必要で、これに概算費用の過半を占める約40億円が必要な見込み。ほか犀角山、戸下両トンネルに合わせて20~25億円、立野橋りょうや擁壁の損傷・斜面崩壊、長陽~中松駅間の軌道の返上などに合わせて約5億円の費用を見込んでいる。なお、復旧に要する期間としては、第一白川橋りょうが設計着手から5年程度、犀角山、戸下両トンネルが同3年程度、その他が同1年程度の見通し。但し「発注主体などのスキームは全く決まっておらず、着手時期は見通せない」(鉄道局)としている。(井手迫瑞樹)


 第一白川橋りょうについて架け替えを選択したのは、1A橋台(以下1A)および1P橋脚(以下1P)側の損傷がひどいことなど損傷が極めて大きいため。損傷は1Aが先行して移動し、1Pが追従するように変位した可能性がある、としている。変位量は最大で鉛直方向に418mm(1A橋台上流側)、白川下流方向に404mm(1A橋台)、支点間距離縮小方向に337mm(1A橋台)移動していた。それに伴い部材も1A橋台~1P橋脚間の部材が破断や著しい変形を示し、1A橋台と3P橋脚のローラー沓の逸脱、1P下流橋脚基礎のせん断破壊、2P橋脚ピン支承の台座コンクリートからの浮きあがりが確認された。


第一白川橋りょうの損傷状況①


第一白川橋りょうの損傷状況②

 加えて同橋の基礎も起点側(犀角山トンネル出口)の下方斜面(橋りょう基礎部の斜面)は風化した凝灰角礫岩で構成され、割れ目が多く入っており、脆弱な岩質であることが確認された。また同橋の終点方(戸下トンネル入口)斜面では、沢の上流側では不安定な浮き石が多く、下流域では橋脚基礎周辺が表流水による浸食が進んでいることなどから、架け替えに際して下部工の補強も必要な状況だ。


第一白川橋りょうの損傷状況③

 復旧手順は①犀角山トンネルの出口側地山を切り取り、橋梁架け替えのための施工ヤードを整備、②崩壊した斜面を補強し、既設橋撤去の準備とて下弦材を支えるブロックを斜面上に設置、③下部工を補強するためコンクリートおよびPSアンカーなどを打設、④既設橋撤去のための鉄塔およびケーブル、クレーンを設置した上で部材撤去、新設橋への架け替えを行う――いった内容が報告されている。


第一白川橋りょうの対策手順


 立野橋りょう(大正13年に供用されたトレッスル橋脚を有する鋼プレートガーダー橋)については、1P橋脚(コンクリート形式)では全周ひび割れ、2P橋脚基部(トレッスル橋脚)では一部でアンカー破断、3Pおよび4P橋脚(トレッスル橋脚)ではトレッスル橋脚基礎のひび割れ、ブロックの浮きが確認された。その復旧方法として1P橋脚は鋼板巻き立て、2P橋脚は基礎コンクリートを拡幅し、ブラケットを取り付けて新たに設置したコンクリートブロックにアンカーで繋げる補強方法、3P、4Pについては鋼板による補強をそれぞれ報告している。


立野橋りょうの損傷状況と対策方法