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川熱、朝日工業と共同開発 既に2件で実績

大林組 PVB樹脂を用いた高性能防食鉄筋「サンドグリップバー」を開発

 大林組は、川熱、朝日工業と共同でポリビニルブチラール樹脂(以下 PVB樹脂)および硅砂を用いた高性能防食鉄筋「サンドグリップバー」を開発した。

 サンドグリップバーは、エポキシ樹脂よりも伸び率の高いPVB樹脂で鉄筋を被覆し、さらにその周囲に硅砂を付着させることで、付着強度の低下や補修などの課題を解決した新しい防食鉄筋。価格はエポキシ樹脂塗装鉄筋と同等以下にできる。また、「PVB-S被覆鉄筋」という名称で2016年9月に一般財団法人沿岸技術研究センターの「港湾関連民間技術の確認審査・評価事業」の評価を取得している(評価証番号第16001号)。試験施工として既に電源設備の基礎や防波堤の根固めブロックなどで活用事例があり、さらに今後2現場で導入することが決まっている。

実証実験の様子


 防食鉄筋は塩害による鉄筋の腐食、コンクリートの浮きや剥離、鉄筋爆裂を防ぐため、飛沫や飛来塩分の影響が大きい沿岸部や凍結防止剤を多量に散布する寒冷地及び山岳部のコンクリート構造物で採用が拡大している。使われているのは、主にエポキシ樹脂塗装鉄筋だが、「普通鉄筋よりもコンクリートとの付着強度が低下するため、重ね継手の重ね合わせ長さを普通鉄筋と比べて18%以上より長くとる必要や、曲げ加工や組み立て時の衝撃によって、エポキシ樹脂塗膜を損傷する場合があることから、コンクリート打ち込み前に損傷部を補修する必要があった」(大林組)。

 サンドグリップバーは、鉄筋周囲に付着させた硅砂の効果により表面が粗くなり、鉄筋からコンクリートがすべり始めるときの付着応力度がエポキシ樹脂塗装鉄筋の約2.8倍と大幅に増加すること、また鉄筋がコンクリートから完全に分離する際に発揮する最大付着応力度が普通鉄筋より10%増加することを実証試験により確認した。こうしたことから重ね継手の延長は不要で、従来のエポキシ樹脂塗装鉄筋よりも鉄筋の総量を2~6%低減することができる。エポキシ樹脂塗装と同じ製造ライン上で製作可能で、一部PVB樹脂の特性を考慮した工程を入れることで品質を確保している。防食膜厚はエポキシ樹脂と同様に220μm±40μmとしている。


PVB樹脂とエポキシ樹脂の伸び率の対比


 防食に用いているPVB樹脂は、エポキシ樹脂に比べて伸び率が大きく、変形に対する追従性が高い。従って曲げ加工や組み立て時の衝撃による塗膜の損傷が生じにくく、補修に要する手間を低減でき、工期短縮にもつながる。万が一損傷した場合でもPVB樹脂を塗料化したものを用意しており、防食効果を落とすことなく補修できる。

 一方、大林組は「海水練り・海砂コンクリート」を開発している。これは真水や良質な陸砂の確保が困難な場所でも現地で容易に原材料を調達できる利点がある。同コンクリートとサンドグリップバーを組み合わせることで、材料運搬に係る環境負荷を低減し、低コストかつ信頼性の高い鉄筋コンクリート構造物を実現していく。また適用分野も港湾構造物以外に拡大を目指している。(井手迫瑞樹)