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自治体管理の跨道橋約400橋も今後5年間で優先的に実施

ロッキングピア 未対策の約450橋を3年程度で耐震補強

段差が生じないように支承の補強や交換も加速化

 国土交通省は、16日に開催した社会資本整備審議会第57回基本政策部会において、①高速道路や直轄国道や同道路を跨ぐ跨道橋などのロッキング橋脚を有する約450橋について、概ね3年程度で耐震補強を実施することを決めた。②また、ロッキングピアだけでなく高速道路や直轄国道を跨ぐ跨道橋(約400橋)については、少なくとも落橋・倒壊の防止を満たすための対策を今後5年間で優先的に支援を実施していく方針(直轄国道・高速道路本体が)。③合わせて路面に大きな段差が生じないように支承の補強や交換などを行う対策を加速化することも決めた。(井手迫瑞樹)


各課題の代表事例(国土交通省公開資料より、以下同)

 これらの施策は熊本地震を踏まえて橋梁の耐震化を加速させるもの。

 国土交通省は、今次震災で浮き彫りになった課題として、①熊本地震で落橋したロッキング橋脚については、熊本地震(前震と本震の2度の大きな地震)と構造の特殊性から、これまでの対策では不十分で落橋の可能性が否定できない、②落橋した場合の影響が大きい高速道路・直轄国道を跨ぐ跨道橋で落橋防止対策が一部未了(完了率95%、地方管理のみ)、③高速道路や直轄国道等の緊急輸送道路は、落橋・倒壊防止の対策は完了しているが、被災後、速やかに緊急輸送が可能となる耐震補強は未だ不十分な状況(完了率76%)を挙げている。特にロッキングピアに関しては、府領第一橋の落橋という致命的な事象を生じたことから概ね3年で対策を終わらせることとした。③については、九州道の木山川橋や秋津川橋、大分道並柳橋などが桁の移動や損傷(桁が)沓座から脱落するなど大きな損傷を生じ、一次的に通行不能になったことから、こうした事態を防ぐために耐震補強を加速化させるもの。対策方法としては落橋防止装置の設置、橋脚全体の補強、支承の交換、水平力分担構造の設置、段差防止構造などを挙げている。


ロッキングピアの落橋メカニズムと耐震補強実施例


跨道橋の耐震化進捗状況と実施イメージ


耐震補強を加速化させる


 財源としては、自主財源のほか、社会資本整備総合交付金((防災・安全交付金)総費用の55%)などが充当される。

 但し、実現に際しては課題もある。ロッキングピアは跨道橋やランプ橋などで用いられているが、その直下には当然、供用中の高速道路や直轄国道がある。通行車両は多く、厳しい条件下での規制を行った上での施工となる。自治体とりわけ中小規模の自治体などの中には、そうした現場への対応が厳しい機関もあるかもしれない。まずは都道府県、より難易度が高ければ直轄や高速道路各社が代行するなどの施策が必要ではないだろうか。

 ロッキングピアの補強方法は、橋脚全体をRCで巻き立てて壁化し上下部も剛結する手法、上部もしくは下部を剛結し、一方の支承だけを存置する完全自立構造を基本として耐震補強していく方法などが示されている。

 段差の発生については、支承脱落による段差だけでなく、橋台の移動もしくは沈下による発生もあった。支承交換や段差防止構造も重要だが、既設橋への踏み掛け版や延長床版工の設置なども考慮していくべきかもしれない。(2016年11月18日13時20分、井手迫瑞樹)


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