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グースは、品質確保のため一部で2層打ち

川崎市 多摩川スカイブリッジの建設が大詰め

公開日:2022.01.01

 川崎市と東京都の多摩川スカイブリッジの建設が、3月中の供用を目指し急ピッチで進んでいる。現在は主に舗装、標識、車両用防護柵等を施工しており、今後は、国道409号のオーバーレイ等の施工を予定している。工事進捗率は95%に達している。(文、写真=井手迫瑞樹)

 同橋は、川崎市の国道409号と、東京都の都市計画道路環状8号線を結ぶ。工事延長は約870mであり、そのうち675mが橋梁形式で、その中でも600m強が鋼3径間鋼床版箱桁(複合ラーメン)橋となっている。
 鋼床版部は、各架設で施工した部分の鋼床版上に添接ボルトが出ており、それに対応するために、基層であるグースアスファルトの舗装厚を60mmと厚くしている。一方で、勾配は最大7%に達しており、品質を確保するため、勾配がきつい箇所は30mmずつ2層打ちにして施工している。施工は車道部の総幅員約14mのうち、上下線片側ずつを施工している。1回ごとの施工長は約70mを施工している。
 施工は、まず、鋼床版表面をショットブラストで研掃し、カチコートで防水した後、グースを全面施工したのち、表層を全面的に施工する。それと並行して標識柱や車両用防護柵を施工していた。

鋼床版直上をショットブラストで研掃してカチコートを塗布していく

グースアスファルト防水の施工

 自転車道の舗装は殆ど仕上がっていた。自転車道部と車道部の境のコンクリート地覆は、一定間隔ことに通水孔があり、雨天時はそこから車道部の水を導き、歩道と自転車道の間に設置してある排水溝に入れ、両端部の6か所の排水桝から下に落とす構造としており、桁外面の導水樋を一切なくしている。

自転車道の舗装(中央部)。自転車道と車道(左部)堺のコンクリート地覆には一定間隔ことに通水孔を設けていた

 歩道面の舗装は、基本的に脱色アスファルトを用いた。猿投石という自然石を用いたアスファルトで景観的に優れている。さらに長い橋であるため、歩行者に飽きを感じさせないように、アクセントとして約30mピッチで小型の舗石を配置した。舗石にはサインプレートがあり、橋周辺の特色や、現在位置などを記すなど、目を楽しませるものになっている。

歩道部(写真左部)脱色アスファルトを用いた/舗石とサインプレート

 そうした舗装が完了した後で、上部工の仕上げを行う。というのも舗装などの死荷重が車道部分で約1,000tに及ぶため、それが確定しないと端部の沓周りの調整ができないためだ。そのため舗設など桁上の死荷重が確定したのちに、TMDを調整し、端部の沓周りの台座モルタルなどを施工していく。合わせて、桁上のキャンバーも微妙に変わるので、高欄部材も調整用の部材を入れて、高欄の通りを乱さないように工夫していく。

多摩川スカイブリッジ(2021年12月24日撮影)
 元請は五洋・日立造船・不動テトラ・横河・本間・高田JV。舗装工の一次下請は鹿島道路、二次下請はエコワーク、フタミ、大阪防水建設社。排水溝は巴製作所の製品を採用している。(速報版、完全版は2月下旬に掲載予定です)

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