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短工期施工のため2班体制で床版を撤去・架設 移動式伸縮屋根も設置

NEXCO東日本 東北道 磐井川橋の床版取替工事現場を公開

公開日:2021.10.29

 東日本高速道路(NEXCO東日本)東北支社は28日、東北自動車道の若柳金成IC~一関IC間に架かる磐井川橋(下り線)床版取替工事の現場を公開した。同橋は橋長164.46m(有効幅員11.4m)の鋼3径間連続鈑桁橋。1978年の供用から43年が経過し、繰返し荷重による経年劣化や凍結防止剤散布による塩害などにより既設RC床版に損傷が発生していることから、床版全面1,700㎡をプレキャストPC床版に取替える。


磐井川橋/既設床版切断面

 本現場では、終日対面通行規制期間の制約により「急速施工が求められた」(NEXCO東日本)ことが施工上の課題となった。例年、10月の体育の日を含む3連休は紅葉などの観光の車両で当該区間を含む上り線で渋滞が発生することから、3連休後からの規制を計画しなければならなかった。さらに、11月からは東北支社管内の雪氷対策期間となり、できるだけ早く規制を解除する必要があった。このため、終日対面通行規制期間を10月12日から12月9日までとし、その期間も短縮すべく準備工や床版防水工、舗装工を除いた床版取替工を約3週間で完了する計画を立て、施工に臨んでいる。
 具体的には、昼夜24時間施工とし、床版の撤去・架設では200t吊トラッククレーン2台を用いて中間地点から両端に向かって2班体制で作業を行っていく。また、足場上にレールを敷設した移動式伸縮屋根を設置し、既設床版撤去後の鋼桁の研掃と塗装などの作業時の雨天による工程遅延を防いでいる。なお、足場は屋根を設置するため、それに耐えられる最大積載荷重350kg/㎡の「クイックデッキ」を採用した。壁高欄もDAK式プレキャスト壁高欄を採用して工程短縮を図る。


クレーン2台を用いて両開きで施工していく/橋上に設置された移動式伸縮屋根

 現場公開時は新設のプレキャストPC床版の架設作業を実施していた。新設床版は、橋軸方向1.7m×橋軸直角方向11.4m、厚さ220mmで重量は15.1t。これを1日当たり2班合計で12枚架設していく。架設は午後から夕方にかけて行い、その後、夜間に既設床版の剥離、撤去、早朝から鋼桁の研掃、塗装という1日のサイクルを繰り返し、新設床版総枚数73枚の架設を8日間で完了させる予定だ。継手はループ継手を採用している。



架設状況

 床版取替工事後には、同橋および同橋と連続する磐井高架橋で耐震補強工(橋脚巻立)と支承取替工(24基)を実施する。当日は、一関市役所土木技術者の現場見学も2回に分けて行われ、24人が参加した。
 元請は、清水・東鉄JV。一次下請けは、共成建設、東北ビルドなど。

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