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デッキプレートを傷つけることなくUリブ型鋼床版を下面補強する工法を日本ファブテックと共同開発

ダイヘンスタッド F8T相当の強度を有する「トルシア形高力スタッドボルト」を開発

公開日:2021.09.21

 ダイヘンスタッド(神戸市東灘区向洋町西、電話078-275-2040)は鋼橋の部材接合や腐食・疲労損傷の当て板補強用として業界初の高強度化を高力ボルトの摩擦接合の活用により実現した「トルシア形高力スタッドボルト」を開発した。同製品は日本ファブテックと共同で道路橋鋼床版補強向けに開発した「下面当て板補強工法」に用いられている。同工法の工事受注は9月から開始されており、至近では阪神高速道路の高架橋(工事名「鋼床版大規模修繕工事(2020-岸)」)でUリブ床版の疲労に対する予防保全的な工法として使われる予定だ。

トルシア高力スタッドボルト/Uリブ床版の疲労損傷状況と下面当て板補強工法概要図

 トルシア形高力スタッドボルトの特徴は、①引張強さ800N/mm2以上のスタッド業界トップクラスの高強度(高力ボルトのF8T相当)で大型構造物の主要部材への摩擦接合も可能となり適用範囲が拡大した、②母材に直接スタッド溶接ができるため孔明け加工が不要で既設部材を傷つけずに耐力の低下防止にも寄与する。電動トルクレンチによる施工でボルト軸力を確実に導入可能であり、接合部の品質向上と締付けトルク測定の省略化を実現している――など。
 トルシア形高力スタッドボルトを用いた下面当て板補強工法は、道路橋鋼床版下面に逆L型の当て板を用いて補強する工法で、デッキプレート下面には高力ボルトを直接スタッド接合し、Uリブは従来通り高力ワンサイドボルトを使って摩擦接合するもの。鋼床版デッキプレートの孔明け加工が不要で、片側(道路下面側)の溶着だけで済むため、デッキプレートを傷つけることなく当て板補強できる。また、道路上面側のアスファルト舗装の撤去などの手間を削減し、工事を簡略化し、交通規制や工事にかかる期間の大幅な短縮も図れる。

機械概要図

 施工にあたっては上向き溶接が品質上最大の課題であったが、専用の「スタッド上向き溶接システム」を開発した。システムは「上向きスタッド溶接装置」、「支持レール」、「テンプレート」、「溶接モニタリング装置」で構成されている。


 なお、同製品・工法ともに国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」に登録済み(QS-170046-A)だ。
 高速道路をはじめ橋梁や鋼橋では、軽量で経済性に優れたUリブ鋼床版が採用されている。ただ、近年は大型車の交通量や車両総重量の増加、老朽化によりデッキプレートとUリブの溶接部の腐食、疲労損傷が進行し、損傷部の適正な補修や補強が必要となっているが、溶接による補修では強度的に限界があった。

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