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大林組、横河ブリッジ、コンクリートコーリング(大阪)

交通規制期間を従来の65%程度に短縮する床版乾式水平切断工法『サブマリンスライサー』を開発

公開日:2019.08.09

 大林組、横河ブリッジ、コンクリートコーリング(大阪)の3社は、鋼橋の床版取替工事において、床版下から乾式のワイヤーソーを用いた超低空頭の乾式水平切断装置により、桁と床版の接合部をずれ止め含めて水平切断することで施工ステップを大幅削減し、床版撤去に伴う交通規制の期間を短縮する乾式水平切断工法『サブマリンスライサー』を開発した。従来工法に比べて施工ステップを削減でき、交通規制期間を従来の65%程度に短縮することができる。また、乾式ワイヤーソーを用いているため、従来用いてきたコンクリートカッターとブレーカに比べて、排水や騒音が少なく、床版が桁上に載ったままの安定した姿勢で作業できるため、安全に施工できる。(井手迫瑞樹)

 従来の橋桁と床版がスタッドなどのずれ止めで接合されている合成桁における床版撤去工事の施工ステップは、①桁の両側の床版をコンクリートカッターで鉛直に切断して撤去、②桁上に残った床版コンクリートをブレーカやWJなどで撤去し、③最後に設置されたずれ止めを切断するーというものだった。

 同工法は、乾式水平切断装置を床版の下に取り付けて、ハンチ部をずれ止めと共に切断し、桁と床版を切り離すことができるため従来の施工ステップを大幅に削減できる。具体的には、例えば4主鈑桁でG2桁上のハンチを水平切断したい場合、ワイヤーソーを支える治具をG1-G2間とG2-G3間に置き、事前にG2のハンチの2か所をコアドリルで削孔し、そこにダイヤモンドワイヤーを挿入してつなげ、足場や桁などに備え付けたレールなどでプーリーを備えた治具を橋軸方向に動かしていき、切断していく。これで床版と桁の接合部を切り離した後にクレーンの能力に応じて小割にし、撤去することができる。切断面が上フランジの上面から非常に低くなり、上フランジ上面のスタッドの研掃や残されたコンクリートの処分も最小限に抑制することが可能だ。

 つまり、プーリーやその治具をコンパクトにした結果、切断用ワイヤーが装置の上端に配置することができ、上フランジ上面から1㎝上の床版ハンチ部を切断できるため、ハンチ高さが低い床版に対しても利用できる。

 湿式ワイヤーソーやWJなどの水を用いる切断工法ではないため、排水処理の必要がなく、床版下の作業となるため、周囲への音が拡散され、騒音を抑制できる。

 加えて、床版が桁上に載ったままの安定した状態で切断できるため、切断完了時に床版が動くことがなく作業の安全性も向上させることができる。従来は「切断時に床版が落下しないようにクレーンで吊っておく必要があったが、床版が切断する瞬間に急に吊り上がったり吊り下がったりして事故を起こす危険があった」(3社)

 3社では高速道路の大規模更新などにおいて積極的に採用を働きかけていく。

(2019年8月9日掲載)

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