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橋梁では取付部と支承周りに被害が発生

土木学会 「北海道胆振東部地震の被害調査速報会」を開催

公開日:2018.09.25

 土木学会地震工学委員会は21日、東京電機大学東京千住キャンパスで「北海道胆振東部地震の被害調査速報会」を地盤工学会と共同で開催し、約300人が出席した。「構造物とライフラインの被害」の枠では、寒地土木研究所の佐藤京研究員と北見工業大学工学部の宮森保紀准教授が橋梁被害について報告を行った。
 佐藤京研究員は、最大加速度200gal以上を記録した地域にある歩道橋を含む道路橋58橋を9月11日からの3日間で調査した結果を報告した。橋台背面に段差が生じた橋梁は58橋のうち12橋で、最大加速度500gal以上の地域に広く分布していた。支承の応答痕跡が確認できた橋梁は58橋のうち19橋となり、線支承とゴム支承では橋軸方向の擦過痕、BP支承では橋軸直角方向に対する衝突痕が確認された。
 宮森保紀准教授は、厚真川沿いの橋梁15橋を対象にした9月9日の調査結果をもとに報告。15橋のうち、取付部の段差が9橋で発生し、構造部材の損傷は7橋だった。


取付部の段差発生状況(宮森准教授発表資料から/以下同)

 震央から北北西10kmにある厚真新橋(PC単純桁橋+3径間単純鋼鈑桁橋+PC単純桁橋。適用示方書は昭和47年)では、取付部に約12cmの段差が発生し、コンクリート橋と鋼橋のジョイント部(左岸側)に10数センチの橋軸直角方向のずれが発生したほか、パット支承のずれが確認された。



厚真新橋の被災状況

 震央から西南西13.7kmにある上厚真大橋(4径間単純合成桁+単純ワーレントラス。適用示方書は昭和30年)では、両取付部に段差が発生するとともに、上沓と下沓が線で接触する部分にずれが発生していた。
 宮森准教授は調査にあたって、「損傷要因の特定には、支承の変位、遊間など、被災前の橋梁の状況を把握する必要がある。そのためには定期点検結果を定量的に残すことが重要」と述べた。


上厚真大橋の被災状況

(2018年9月25日掲載)

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