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従来比半分以下の線膨張係数を利用

四国総研、大日本塗料、関西ペイント、神東塗料 1mm以上塗り重ねても層間剥離しない新塗料「αシリーズ」を販売開始

公開日:2018.07.11

 四国総合研究所(四国総研)と大日本塗料、関西ペイント、神東塗料は、道路や鉄道の鋼橋やプラント設備などの塗り替え用途に「剥離抑制型弱溶剤変性エポキシ樹脂塗料『αシリーズ』」を共同開発した。3社以上の塗料メーカーによる新規塗料の共同開発は業界で初めて。対象は500μm以上の既存膜厚の3種ケレンによる塗り重ねで1,000μm以上の既存塗膜に塗り重ねても高い耐久性を期待できることから、「塗り替え後60年間のLCCを考慮すると1種ケレンによる塗り替えに比べて3割以上のコスト縮減効果を有する」(大日本塗料)としている。

 同塗料は、線膨張係数を従来塗料の半分程度に抑えることで従来塗料と異なり、塗り重ねにより厚膜となるほどむしろ剥離リスクを低減できるもので、従来の常識を覆した。四国総研は平成23年度から開発に着手し、25年度からは大手塗料メーカー3社と共同研究を開始。鉄道総合技術研究所などの協力も得て、商品化にこぎつけた。

 従来塗料の線膨張係数は、母材である鉄と比べて約6倍も大きく、塗り重ねを繰り返すことで厚膜化すると環境温度によって層間剥離を引き起こしやすくなり、防食機能を大きく損なう要因になっていた。剥離抑制型弱溶剤変性エポキシ樹脂塗料は、線膨張係数が鉄の約2.5倍程度と低いため、同様に線膨張係数が低い鉄と挟み込むことで既設塗料の剥離を抑え込むことができる。さらに同塗料は塗り重ねても、線膨張係数が低いことから既設塗料を引き締める効果があるため、1種ケレンにより旧塗膜を除去する時期を大幅に遅らせることができ、LCCの縮減に大きく寄与する。耐久性も従来の変性エポキシ塗料と同等の性能を期待できる。

αシリーズの剥離抑制メカニズム

 施工方法は、従来の補修工法と同様。3種ケレンおよび4種ケレンで錆の除去、活膜の形成を行った上で刷毛、ローラーないしスプレーで塗装可能だ。


ローラーないしスプレーで塗装可能

 大日本塗料は8月にも『ケルビンα2.5』という商品名で上市する予定。関西ペイントも、ほどなく『クロゴα2.5』という名称で発売する予定だ。

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