知多2号橋 ベトナムでも耐候性鋼の適用を図る
JFEスチール 50年を経過した耐候性鋼材使用橋梁の見学会を実施
JFEスチール(柿木厚司社長)は10月6日、同社知多製造所で耐候性鋼橋梁セミナーを開催した。知多2号橋の架橋50年を記念して技術資産としての価値を再認識するとともに、耐候性鋼の性能をアピールする目的で行われたもの。NEXCO総研やNEXCO西日本、NEXCO東日本、ベトナム交通省交通科学技術研究所、ベトナムのホーチミン工科大学の教授、業界記者など約30名を招き、架橋50年目を迎える知多2号橋(下写真)の見学会と耐候性鋼の基本と最新技術、アジアでの適用事例などの講習会を行った。
見学会は、1967年にJFEスチール(旧川崎製鉄)知多製造所内に建設された日本初の無塗装耐候性鋼橋梁である知多2号橋を訪れ、耐候性鋼の特徴である安定したさびと腐食の状況を確認。その後、ヴィラシェトワHAKUSANに移動して知多2号橋の現状について調査・計測した結果や耐候性鋼の性能、海外での採用事例について講習会を開いた。
セミナーで登壇した長岡技術科学大学の岩崎英治教授は、「耐候性鋼橋梁の概要と最新動向」をテーマに耐候性鋼の現状について、「ライフサイクルコストが重視されるなかで耐候性鋼は近年でも鋼橋に使用される鋼材の平均24%を占め、その性能は高く評価されている」としたうえで、「離岸距離が近い地域や凍結防止剤を多く使用する地域など設置環境によって腐食が進展するケースも少なくない」と指摘し、「橋梁建設において環境の評価が重要になる」と述べた。
このほか、ホーチミン工科大学のダンダントゥン教授はベトナムのインフラ建設の現状について、「今後、メコン川デルタ地域において小規模な橋を含めて3万橋の需要がある。これまではODAによるインフラ整備が行われていたが、これからは現地行政などによる事業が増加するだろう。また、大型インフラのプロジェクトにおいては寿命100年を目標に進められており、ライフサイクルコストを含めたコスト低減が重視されており、耐候性鋼の性能が認められる機会は多いだろう」と話した。さらに、「今年、ベトナムにおける耐候性鋼の基本的な使用基準が作成され、より使いやすい環境が整備され始めている」と報告した。
セミナーには約30人が参加した