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施工時は水性、形成面は無機系

大成ロテック「HLG」 施工環境性、防食、防汚性能に優れる

公開日:2016.06.13

 大成ロテックは、鋼構造物やコンクリート構造物の保護、落書き防止剤用途に常温ガラスコーティングシステム「HLG(ヒートレス・グラス)システム」を展開している。同工法は、構造物表面にガラス質の膜を形成することで、外部からの塩分その他の劣化要因を遮断する工法。また落書き防止用途においても通常の水性、油性塗料では満足に描くことができず、残った落書きもただ拭き取るだけで除去することができるものだ。
 下地に特殊カチオンフィラー、下塗りに特殊シーラーEホワイトおよび上塗りにポリシロキサン系無機ハイブリッド塗料を構造物の表面に塗布することで、無機質系ガラス塗膜を形成し、長期に亘りコンクリート構造物や鋼構造物等を保護することができるのが特徴だ。すでに新既問わずトンネルの防火対策、防汚対策、視線誘導のほか、擁壁やカルバート、橋脚などの落書き防止対策等で活用されている。最近では環境の厳しい首都高速道路株式会社東京港海底トンネル内のNTT・東京電力排気ダクト、車道側天井部・壁部でも採用されている。同社ではコンクリート構造物の表面保護や鋼構造物の防食用材料としても広く展開していきたい方針だ。

頂版・側壁面保護塗装仕様
 同工法の耐用年数は15年~20年以上と比較的長期耐久性能を保持している。また、色調は日本塗料工業会の各色から選定することができ、景観性も考慮できる――などの特徴を有する。
 必要に応じて「HL-ST工法」(落書き防止、防汚対策)、「HL-TN工法」(トンネル内装専用工法)、「HL-SC工法」(既存塗装面への防汚、落書き防止対策)、「HL-HG工法」(塩害対策)、「HL-WP工法」(意匠性を考慮した防汚対策)等があるほか、最近では、水性無機系塗料のSL-700S(水性ポリシロキサン系無機ハイブリッド塗料)も展開している。
 SL-700Sは、水性塗料であるため引火性が無く、狭隘なトンネルダクト内でも使用可能。不燃材料のため火災による延焼を防ぐことができ、トンネル内部の火災など災害時でも人命や構造物を守れるほか、施工中においては有機溶剤を使用していないため、火災等からの安全性が確保できる。

施工前(左)/施工後(右)
 先述した首都高速道路の現場などでは条件から下地養生の簡略化が望ましいが、同材料は表面をディスクグラインダーで研磨し、電気掃除機で塵芥除去する程度でよく、プライマーを用いる必要が無く工期短縮を図ることができる。同現場では不陸部をレジガード断面修復システムで修正した後、カチオンフィラーを1.4㌔/平方㍍塗布し、その後SL700Sを0.12~0.15㌔/平方㍍ローラーおよび刷毛で塗布した。2層塗りの方が光沢性および仕上がりの面では良好だが、同現場は光沢性などを重視する必要が無いため、1層塗り(30~35µ程度)でも所定の性能を満足させることができた。

研掃工と電気掃除機での塵芥除去

断面修復工

下地調整フィラーの攪拌(左)/塗布(右)

上塗り材の塗布

 同社は同工法をコンクリート構造物の防食や既設で溶融亜鉛めっき防食している鋼部材の補修塗料などの用途にも展開していく方針だ。

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