道路構造物ジャーナルNET

無機質コーティング協会

守屋進氏を招いて鋼構造物長寿命化の講演会

公開日:2015.06.30

 無機質コーティング協会(会長・平良一夫氏)は6月27日、JR尼崎駅北のホテル・ポップインアミングで「鋼構造物の超寿命化における防食の現状と課題」をテーマとした講演会を開催した。
 講師として、元独立行政法人土木研究所の統括主任研究員で、現在は日本塗料検査協会の評議員や日本鋼構造協会の鋼構造物塗装小委員会委員長などを務める守屋進氏(右上写真)を招いた。
 守屋氏は、鋼構造物の防食法として①陸上部一般環境(橋梁、歩道橋)などで用いられる塗装、金属溶射、溶融亜鉛めっき、アルミニウムや耐候性鋼材②河川環境・感潮域(ダムゲート・バルブ、堰、閘門、水門)での塗装、電気防食、ステンレス鋼③海浜・海上環境(沿岸道路橋、海上橋、桟橋)などでの重防食塗装(金属溶射+塗装)、ライニング、電気防食(エレクトロコーティテング)、耐候性ステンレス鋼、チタンクラッド鋼――などの工法を分類しながら、過去に問題が生じた事例を題材に、問題の原因を分析し、各工法の特性を活かすあり方を説明した。
 特に現場施工の場合、金属溶射や塗装など物理的接合による工法は、界面素地調整のあり方がポイントで、問題例の多くは界面の管理に不備があり、適切な接合強度が得られず剥離した、などの原因を指摘した。
 また、防食性能で評価が高い溶融亜鉛めっきも、鋼管内部などめっき洩れがあると、当該部から腐食が進んだ事例も少なくないとし、過信は禁物で、適切な管理あってこそ防食性能が発揮されることを強調した。
 防食工法で最も多く用いられている塗装については、一般塗装系と重防食塗装系に分類するとともに、塗装の長寿命化を図るための一般塗装系皮膜の重防食系への塗り替え塗装などが行われている現状を説明する一方で、旧皮膜に含まれている有害物(鉛、クロム、PCB等)が及ぼす作業者の安全対策や、周辺環境汚染対策が問題として露呈していることを指摘。有害物の飛散を防止する塗膜除去法としてインバイロワン工法などを説明した。また近年は、水性塗料を使用した塗り替え塗装VOC削減工法や、無溶剤型塗料などの新技術が実用化されつつあることを紹介する一方で、現場塗装作業性などの課題や、実用化に向けての体制整備と基準や規格の整備の必要も指摘した。

講演会には多数の聴講者が訪れた

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