増厚時の材工コストを1割縮減
補強材を格子状に成型、形状は自在
日本大学とJFEシビルは橋梁床版や梁部の増厚補強の際のコスト縮減、工期短縮工法として「グリッドメタル工法」を開発した。従来の増厚はコンクリート打設前に鉄筋を組む必要があるが、グリッドメタル工法は最初から格子状に製作されているため配筋の手間を省ける。また、表面にはエポキシ樹脂粉体塗装を施しているため配筋後に生じる錆の除去の必要がなく、長期的な(凍結防止剤を含む)塩害にも強い。加えて(軸方向と直角方向に)鉄筋を重ねる必要がないため、コンクリートの被り厚も2㌢程度薄くできる。そのため、従来の増厚コンクリートに比べて材工コストを1割程度縮減することが可能だ。
A型グリッドメタルの配置 一次吹き付け完了後の状況
グリッドメタルは形状に従いA型とB型に分かれ、いずれも成型により製作される。B型は従来の格子状だが、A型はアコーディオン状の「Aに近い形状」(JFEシビル・塩田啓介技術部長)となっている。これは完成品の3分の1程度の鉄板にスリットを入れて引き延ばすことで網状の格子筋に成型するためで、「生産時の材料ロストを大幅に少なくできる」(同)。成型による製作のため、最初から隅角を伴ったグリッドメタルも製作可能だ。
アコーディオン形状のA型 通常の格子状のB型
鉄筋厚さは4.5~16㍉程度まで自由に設計できる。鉄筋の裏面および側面には凹凸がついており、コンクリートとの付着強度の向上を図っている。現状では継手部は重ね継手により施工するが、将来はカギ状の継手構造により平面的に継手できる手法も模索している。
今月中旬には日本大学の阿部忠教授の指導下、1.5×1.5㍍の供試体(A、B型ともに上面および下面にコンクリート増厚したもの、また、増厚コンクリート接着剤塗布体と未塗布体を1体ずつ)を8体製作し、輪荷重走行試験機による載荷試験も行っている。(井手迫瑞樹)