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インタビュー詳細

常磐自動車道拡幅工事では下部工4基を受注

エム・テック社長インタビュー 会社のDNAを生かしアジアで新設橋梁受注を目指す

株式会社エム・テック
代表取締役社長
向山 照愛 氏

 10年間で売上高が約86億円から約265億円に急増したエム・テック。創業者で前社長(現工事本部統括部長)の松野浩史氏のバイタリティとリーダーシップのもと、PC工事専業から土木・建築分野への事業拡張を図ってきたことが、その大きな要因だ。急成長を遂げたなかで、2015年に社長に就任した向山照愛社長に、今後の目指す方向性や現在の事業展開、強みとなる社内体制などを聞いた。


成長を含めた巡航軌道を目指す

 ベトナムとミャンマーで事業展開を検討中

 ――2015年9月に社長に就任されていますが、就任前のことをお教えください

 向山社長 弊社は創業者の松野浩史がピーシー橋梁で本州四国連絡橋工事プロジェクトリーダーとして瀬戸大橋を担当し、その完成とともに独立をして、1988年に設立されました。私は旧勝村建設の最後の社長で、弊社が勝村建設を合併した2009年に副社長として入社しています。

 勝村建設の社長に就任する前は、外資系のさまざまな業種の会社の再建を担当していました。勝村建設がアメリカのファンドの傘下に入ったときに、そのファンドから再生を託されましたが、結果的にうまくいかず、弊社との合併となりました。それまで建設関係とはまったくかかわりがなく、弊社入社後、戸惑いもありましたが、勉強を重ねてきています。

 2013年には別会社となっている埼玉本庄工場の社長に就任して、2015年から現職です。



埼玉本庄工場


 ――御社入社後はどのようなことをされていたのでしょうか

 向山 おもに海外案件を担当していました。沖縄の米海兵隊のグアム移転が2011年から2014年に計画されていました。そこで、地元企業と合弁会社をつくりダイワハウスさんと一緒にグアムに米軍家族住宅をつくる準備をしていましたが、鳩山政権時にグアム移転計画自体が凍結になりました。現在、再び移転計画が進み出していますので、改めて検討を始めているところです。大和ハウスさんとは国内でも事業を一緒にさせていただいており、共同開発をした軽量鉄骨材と高強度プレキャストコンクリート床版を組み合わせた「サイレントハイブリッドスラブ50」が国土交通大臣の特別評価方法認定の最高位を本年3月に取得しています。

 ――社長として目指す方向性は

 向山 私のモットーとしては社内の調和をとりながら、成長を含めた巡航軌道を目指したいと考えています。極言すれば、建設業界でこれだけ急成長した会社は珍しいと思います。それはひとえに前社長のバイタリティと強力なリーダーシップがあったからです。しかし、その中で、社内の人材面や施工体制において成長に現実がなかなか追いつかないところがありました。日本建設業連合会や経団連に入れていただいているなかで、フリクションを起こすようなことはできなくなっています。

 日本国内では成熟した企業として変わっていくべきだと思いますが、弊社が持っている成長のDNAをつぶしてしまうのもよくないと思いますので、そのバイタリティをアジアに伸ばしていきたいと考えています。1970年ごろから日本のゼネコンさんがアジアの建設マーケットに進出していきました。当初は、高い技術力で日本がリーダーシップをとれていたと思いますが、アジアの経済成長とともに韓国や中国のゼネコンに追い抜かれました。彼らの即断即決の姿勢やトップダウンのリーダーシップに対して、日本の円熟した大企業が対抗していくことは難しいと思います。その意味では、弊社が持っているDNAはまさに競争社会の中でアジアの諸企業に打ち勝っていくのに適しています。

 ――アジアでの具体的な展開は

 向山 先のグアム移転計画が中断している間に、ベトナムやミャンマーでの橋梁建設の可能性を検討していました。2015年にベトナムの地方自治体から800mの橋梁を100億円で直接受注したのですが、資金回収に不透明な部分があり、現在でも交渉中となっています。ミャンマーではJICAの調査事業を一緒に行って、さまざまなことを検討している段階です。

 ――海外案件を進めるにあたり、社内体制はどのようにされているのですか

 向山 施工体制をつくるまでには至っていません。営業体制では、農林省のOBでかつてミャンマーに駐在されていた方と、本州四国連絡橋公団のOBエンジニアで海外を専門にしているコンサルタントにいた方に入社してもらい、国際的なネットワークを構築しているところです。


PC分野での粗利率は20%が目標

 高速道路関係の売上がPC分野の半分以上を占める

 ――業績についてお教えください

 向山 2016年度(2017年7月期)の総売上高は約265億円で、2017年度(2018年度7月期)は約5%増の約278億円を想定しています。2015年度と2014年度も約265億円でした。



売上高の推移


 ――先の話にもありましたが、御社は創業以来、急成長を遂げました。その要因はどこにあると考えていますか

 向山 創業時はPC専門業者でしたが、土木と建築分野への展開も模索していました。契機は勝村建設との合併で、土木・建築分野が加わることで順調に成長ができたと思います。

 ――現在のPC、土木、建築の売上割合は

 向山 それぞれ3分の1ずつです。PCの売上には、橋梁含めたPC構造物施工と工場製作が含まれています。

 ――利益目標の基準はありますでしょうか

 向山 基本的に直接人件費を含む粗利率が、土木、建築分野で15%、PC分野で20%となるようにしています。そのための施工管理をきっちりとやっています。

 ――土木・建築分野のおもな事業をお教えください

 向山 現在、土木分野の中心は東日本大震災復興事業として行われている東北での防潮堤建設で、多数受注しています。その他には、東京都の上下水道工事があります。建築分野は関東を中心に公共工事を行っています。今後は民間も少し手がけていきたいと思っていますが、勝村建設はマンションをたくさん受注しすぎて失敗しましたので、慎重に考えています。

 ――PC分野での事業は

 向山 高速道路の高架橋建設が非常に多くなっています。高架橋を含めた高速道路関係がPC分野の売上の半分以上を占めます。国と地方自治体から単独で受注している橋梁事業と、建築部材の製作が残りの半分となっています。

 ――新設の事業は

 向山 常磐自動車道拡幅工事(福島側)で下部工4基を受注しています。弊社はPC業者なので上部工が強いと思われていますが、下部工もかなりの数で施工をしています。ただ、下部工のみを受注するのは珍しいケースです。高松自動車道拡幅工事では、大谷高架橋や末高架橋の上部工工事を行いました。その他、拡幅工事では中国横断自動車道で牧山本橋他2橋(PC上部工)工事を受注しています。



(左)大谷高架橋/(右)末高架橋


 橋梁では、関越道花園インター線花園ランプ1号橋、中部横断自動車道原高架橋、東関東自動車道藤沼跨道橋などの上部工施工も行っています。



(左)花園ランプ1号橋/(右)原高架橋


藤沼跨道橋


 道路構造物ではありませんが、話題性があるものとしては東京オリンピック・パラリンピック関連の工事があります。カヌー・スラローム会場の整備(管理棟新築工事)、有明テニスの森公園の整備(土木工事)です。その他に、東京都障害者総合スポーツセンターの改修・増築工事も受注しています。