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インタビュー詳細

ロッキングピアや長大・特殊橋梁の耐震補強も対策進める

NEXCO西日本関西支社 大規模更新・大規模修繕が本格化

西日本高速道路
関西支社
保全サービス事業部長
中村 順 氏

 西日本高速道路関西支社は、名神高速など高速自動車国道721kmと一般有料道路176kmの合計897kmを管理している。日本で最も古い高速道路区間の1つも抱えるなど、全管理延長の約4割が供用から40年経過しており、維持管理はいよいよ喫緊の課題になっている。反面、大規模更新・大規模修繕を行うには、その利用率の高さから非常な困難を伴うため、様々な知恵を要求される。ほかロッキングピアや長大・特殊橋などの耐震補強の進捗状況、鋼橋の塗装塗り替えなどを含めて、中村順保全サービス部長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)


全体の2割が6万台以上の交通量

 平均経過年数も30年に達する

 ――管内の地勢的特徴と道路網の現状から

 中村 当支社は名神高速、山陽道、中国道、阪和道、新名神、第二神明、西名阪など高速自動車国道721kmと一般有料道路176kmの合計897km(※H30.3.18開通予定の新名神高速道路(川西~神戸間)開通延長含む)を所管しています。特徴としては、やはり重交通量を抱えている点で、1日6万台以上が全体の約2割(延長183km)を占め、そのうちの2割(全体の5%)が10万台以上の交通量となっています。また、暫定2車線の対面区間も地方部を中心に全体の約2割に当たる158kmで残っています。


供用中の路線概要(NEXCO西日本関西支社提供、新たに供用予定の新名神は入っていません)

 経過年数で言いますと、平均経過年数は既に30年に達しており、日本で最初に高速道路として供用を開始した名神高速の栗東IC~尼崎IC間は供用から54年が経過、次いで第二神明道路も47年が経過しています。また、西名阪道と中国道、近畿道、阪和道の一部区間を合わせた全管理延長の約4割が供用から40年以上経過しています。10年後には30年以上経過割合が現在の43%から75%まで増加します。

 高度成長期に急速に整備され、日本の経済成長を支えてきた管内の各路線が半世紀を迎えようとしており、取り分け1970年の大阪万博のため近畿道のほぼ全線や中国道吹田IC~豊中IC間は経済設計がなされ、且つ急ピッチで施工が進められていました。また、当時はコンクリート中の塩分規制がなかった時代だったこともあり、一部区間では除塩が不十分な海砂がコンクリート骨材として使用されたため、床版などに大きな損傷を招いてしまっています。

 関西支社はこうした供用年次の古い重交通区間の道路構造物を多く抱えており、特に経年劣化の進行、道路施設の老朽化への対応・対策が最重要課題と認識しています。


橋梁とトンネル合わせた全体比は39%

 2,131箇所の橋梁と238チューブのトンネルを管理

 ――それらを踏まえて、管内の構造物比率から教えてください

 中村 当支社の構造物比率は土工が61%、橋梁26%、トンネル13%で橋梁とトンネルの構造物比は4割弱となっています。

 橋梁は全体で2,131橋を管理しており、鋼、PC、RCの比率は約3分の1ずつです。供用年次別では30年以上が44%、20年以上30年未満が27%となっています。延長別は250m未満が全体の71%を占め、1,000m以上の長大橋は3%程度となっています。路線別で最も橋梁が多いのはやはり名神高速で388橋、次いで阪和道(292橋)、中国道(226橋)が200橋を超えています。


管理している橋梁の内訳

 トンネルは全体で238チューブを管理しており、NATM工法が69%、在来矢板工法が13%、開削工法が18%となっています。供用年次別では30年以上が24%、20年以上30年未満が30%と続きます。延長別では、500m未満が全体の49%を占める一方で、1,000mを超える長大トンネルも4分の1に達しています。路線別では山陽道が最も多く、51チューブ、次いで舞鶴若狭道が34、阪和道が30となっています。


管理するトンネルの内訳


変状が最も多いのは伸縮装置周り

 ついでRC床版が続く、特に張り出し床版下面

 ――点検を進めてみて感じている構造物の劣化状況はどのようなものですか

 中村 橋梁点検を進めている中で、変状が最も多い部位と言えるのは、伸縮装置です。これが橋梁における変状のうち全体比20%程度を占めます。中でも伸縮装置からの漏水が大部分です。詳細を言いますと伸縮装置本体ではなく打ち継ぎ目の部分からの漏水が多くみられます。これが問題となっています。


RC桁の端部損傷


PC桁の端部損傷


鋼桁の端部損傷



 次いで多いのがコンクリート系床版の変状で全体の15%程度を占めます。特に張出床版下面の塩害による浮き・剥離が多いようです。RC桁やPC桁でも1割程度の変状が見受けられます。これらは凍結防止剤によるものおよび除塩不足の海砂を使ったことなどが原因とみられます。鋼桁においては腐食(凍結防止剤由来)や疲労による変状が5%程度生じています。これらの変状については計画的に補修してきておりまして、緊急性の高いものは現時点ではありません。


塩害などによって損傷した鋼橋のRC床版


 ――同様にトンネルについては

 中村 トンネルでは、覆工の変状がトンネル内変状のうちの約4割を占めています。覆工目地部の浮き・剥離(角欠)が顕著です。次いで内装版の経年劣化(胴縁の腐食など)が2割存在しています。覆工の変状については、在来工法で覆工厚が薄い箇所について改めて調査し、注入などを施しています。