道路構造物ジャーナルNET

気仙沼湾横断橋、津谷川橋など長大橋が続々と進捗

仙台河川国道事務所 復興・復興支援道路建設佳境へ

国土交通省
東北地方整備局
仙台河川国道事務所
所長

松居 茂久

公開日:2017.11.16

591橋、25トンネルを管理
 鋼橋が216、コンクリート橋が375橋

 ――次に管内の構造物保全状況について、内訳から教えてください
 松居 当事務所は591橋、25トンネルを管理しています。橋種別内訳は鋼橋が216橋、コンクリート橋が375橋となっています。トンネルの工法別内訳はNATMが12、在来工法が9、開削が4となっています。


橋梁およびトンネルの橋種・工種別割合

橋梁 50年以上が190橋と3分の1占める
 トンネルは40年以上が5箇所

 ――橋梁から統計的特徴についてお願いします
 松居 50年以上が190橋と3分の1弱を占め、40年以上50年未満が151橋、30年以上40年未満が102橋となっており、20年後には50年以上経過している橋梁が4分の3弱に達します。長寿命化対策は必須です。橋長は100m以上の長大橋は72橋と比較的少なく、20m未満の橋梁が315橋と3分の2に達します。これは宮城県が比較的なだらかな地形が多く小規模河川に架かる橋梁が多いためです。路線別では国道4号が217橋、次いで45号が195号となっています。


橋梁 供用年次別/橋長別

 ――同様にトンネルは
 松居 50年以上のものはなく、40年以上50年未満が5箇所、30年以上40年未満が8箇所となっています。2000m以上は3箇所と比較的長大トンネルが多くなっています。路線別では45号が過半を占め17箇所、次いで48号が6箇所となっています。


トンネル 建設年次別/延長別

橋梁 早期補修要は18% 鋼橋が3分の2占める
 主桁端部やRC床版など水回りに関する損傷が顕著

 ――点検を進めてみて管内各路線の構造物の劣化状況を橋梁から述べてください
 松居 法令による点検義務化以降の平成26年度~平成28年度の3年間の点検結果を見ると、早期に補修が必要な橋梁の割合は全体の18%です。橋種別では鋼橋が12%、PC・RC橋が6%になっています。


橋種別健全度状況

 ――損傷が顕著に表れている部位は
 松居 鋼橋では主桁やRC床版、コンクリート橋では主桁です。損傷状況は、鋼橋が腐食が最も多く、次いで変形および欠損となっています。コンクリート桁は、コンクリート浮き次いで剥離・鉄筋露出となっています。全体として端部やジョイント周り、高欄・地覆・床版などの打ち継部など水回りに関する損傷(漏水・遊離石灰、漏水・滞水)の増加が顕著です。


橋梁 主要部位の損傷状況

PCT桁の間詰め部の損傷/被り不足と水周りの不具合

伸縮装置の止水処理の不具合/本橋と側道橋の漏水対策の不備

鋼桁端部の腐食および当板補強

トンネル 大きな修繕を考えなくてはならない時期に
 概ね目地周りにひび割れ

 ――同様にトンネルは
 松居 工法別に言いますと、補修が必要なⅢ判定はNATMにはなく、従来工法が5箇所存在します。供用経過年数が長い箇所で損傷が生じており、大きな修繕を考えなくてはならない時期に来ていると思います。損傷状況は鳴子トンネル(国道47号、1970年建設、延長225n)が漏水によるつらら、青葉山トンネル(48号、1982年、2,223m)上り線が背面空洞、ひび割れ、うき剥離、同下り線(同、1987年、同)が背面空洞、うき剥離、唐桑トンネル(45号、1967年、830m)が背面空洞、安波トンネル(45号、1985年、1646m)が浮き剥離をそれぞれ生じています。鳴子トンネルは補修を終えています。


トンネルの損傷状況と補修後の状況

 ――トンネルのひび割れは軸方向ですか、それとも目地周りですか
 松居 軸方向に表れているひび割れは顕著ではありません。概ね目地周りにひび割れが生じており、そこから漏水も生じています。NATMで掘ったトンネルでも漏水などが生じていますが、これは施工時に水処理等を上手くやれていなかったのが原因であろうと考えています。 

耐震補強 耐震性能2に満たない橋梁は57橋
 今年度は7橋で補強 ロッキングピア1橋は今年度対策完了予定

 ――橋梁耐震補強の進捗状況は
 松居 管内591橋のうち534橋が耐震性能2を満たしています。耐震性能2に満たない57橋については緊急輸送路や鉄道を跨ぐ橋梁や今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が26%以上の地域を優先しながら、計画的に補強を実施していきます。今年度は7橋で耐震補強工事を実施する予定です。基本的にフルスペックです。管内に熊本地震で落橋を起こしたロッキングピア形式の橋梁は1橋、国道4号の白石高架橋(上り)がありますが、今年度対策完了の予定です。
 ――橋梁長寿命化対策に基づいた対策の実施状況について教えてください。また具体的な補修補強についても例を挙げてください
 松居 予算状況を踏まえて、点検結果により緊急性の高い橋梁などから修繕を実施しています。平成27年度は83橋、28年度は80橋実施しており、今年度は59橋で施工する予定です。具体的な補修内容はRC床版、PC・RC桁ではひび割れ補修、断面補修、炭素繊維シート貼り、鋼桁では桁端の腐食・孔食が起きている箇所で当て板、部分塗り替え、桁端塗装などを実施しています。
 ――管内は有数の交通量を抱えていますが、鋼床版形式の橋梁はありますか。また、疲労損傷などは生じていませんか
 松居 管内では国道6号と国道45号に併せて7橋ありますが疲労損傷は生じていません。

床版防水工施工済みは208橋(35%)

 ――コンクリート床版防水工の管内の敷設状況や採用している防水工の種類と床版の損傷状況についてもう少し詳しく教えてください。東北地方整備局の床版の一部では骨材が原因で早期に損傷している箇所もあると聞きます。また、管内は10万台を超える重交通路線もあります。そうした状況も踏まえて答えてください
 松居 管内ではそうした状況は発生していません。管内591橋の内、防水工施工済みは208橋で35%程度です。橋種別に見ると鋼橋が216橋のうち120橋で55%、PC・RC橋は378橋のうち88橋で24%になっています。防水工は重交通路線も含めて通常のアスファルトシート系防水工を採用しています。


橋面などからの水じまい処理の不具合/床版打ち替え時の防水処理の不具合

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