道路構造物ジャーナルNET

復興道路・復興支援道路 復興・創生期間内に9割完了

東北地方整備局 気仙沼、桑折、新思惟など続く長大橋の施工

国土交通省東北地方整備局
前 道路部長

山田 哲也

公開日:2017.07.27

 東北地方整備局は、平成32年度までの復興・創生期間完了までに復興道路・復興支援道路の大半を供用するため、急ピッチで事業を進めている。残事業の中には、同局道路部所管橋梁初の鋼斜張橋形式を採用した気仙沼湾横断橋、90m以上のハイピアを要する新思惟大橋、東北新幹線を跨ぐ桑折高架橋など、まだまだ長大橋が目白押しだ。そうした事業の進捗状況や技術的課題、維持管理分野も含め、平成29年6月9日に山田哲也道路部長(現奈良県県土マネジメント部長)にインタビューした。(井手迫瑞樹)

縦4本、横7本のラダーネットワークを整備

 ――東北地方整備局の道路整備の概要から教えてください
 山田部長 東北地方整備局では、険しい奥羽山脈などが南北を貫き北上川など様々な河川が注ぐ中で、縦4本、横7本の格子状のラダーネットワークの道路整備を進めています。
 東日本大震災以降は、縦軸の復興道路と3本の横軸となる復興支援道路に事業が集中していますが、日本海沿岸東北自動車道や東北中央自動車道などについても着実に整備も進めています。
 復興道路関係については、平成32年度までが復興創生期間で、随時開通、開通目標を公表しています。それと合わせて今年は、東北中央自動車道の一部区間で開通があり、道路事業としては大きなトピックになります。
 日本海側や横軸となる道路もしっかりと整備し、東北地方全体の復興につなげていきたいと考えています。開通効果の一例としては東北横断自動車道釜石秋田線の整備により、釜石港では一般貨物コンテナ取扱量が増加し、港を利用する国内外の企業が増え、有効求人倍率も高倍率を維持し、法人市民税も大幅に増加しています。また、東北は自然豊かな観光資源を有しており、日本海沿岸東北自動車道や新庄酒田道路の整備によって酒田港を起点とした周遊観光エリアの拡大が期待されます。東北中央道では、各自治体等の地域の方々に開通後の使い方について論議していただいております。

28年度末までに268kmが開通
 用地買収は9割以上完了


 ――震災時にも高速道路や自動車専用道路は復旧におおいに役にたちました。東北の今後を支える復興道路・復興支援道路の現況は
 山田 東日本大震災から7年目を迎え、国土交通省が中心となって整備している路線、全長約550kmの約5割となる268kmが開通しました(左図表、東北地方整備局公開資料より抜粋)。震災後に開通したのは108kmです。「復興・創生期間」とされる平成32年までにできるだけ開通させるよう事業を進めており、東北地方では嘗て経験したことのなかった膨大な工事が行われています。用地買収は9割以上進んでおり、主要な構造物は既に着手するなど、現在が最盛期と言えます。
 現在事業中の約282kmは、早期開通に向けてトンネル、橋梁などの主要な構造物の工事を引き続き推進していきます。「開通の見通し」として、これまで平成30年度のラグビーワールドカップ開催に合わせた釜石~花巻間の全線開通を含め、平成32年度末までに復興道路・復興支援道路の約9割の開通予定を公表しています。
 また、被災地以外の高規格幹線道路である、日本海沿岸東北自動車道や東北中央自動車道などについても、これまで全体の約9割が開通しており、引き続き整備を推進していきます。

金ケ崎拡幅、真室川雄勝道路に着手
 真室川雄勝道路 4トンネル、4橋を計画

 ――平成29年度直轄改築の新規事業個所について
 山田 まず、国道4号の岩手県金ケ崎町付近において「金ケ崎拡幅」事業を進めます。同事業は国道4号の交通混雑の緩和と交通安全の確保のほか、東北の復興を支える自動車産業(トヨタなどの工場がある)を支援するために4車線化を進めるもので、事業延長は5.2kmです。今年度は調査・設計を実施します。
 国道7号「真室川雄勝道路」事業は、東北中央自動車道の一部を構成する山形県最上郡真室川町大字及位~秋田県湯沢市上院内の県境部に位置する延長7.2kmの自動車専用道路建設事業です。冬期交通機能を確保するとともに、地域機能連携強化による冬季周遊観光の支援などが目的です。山形‐秋田の県境は豪雪地帯であり、雪崩や落雪の予防作業が不定期に頻発することによって、交通機能の低下を招きやすくなっています。雪に強い道路ネットワークが延伸されることによって、速達性や定時制が確保され、地域の連携強化をしやすくすることが期待されています。今年度は調査設計を実施します(計画段階では1000m超の3本を含む4本のトンネルと100m超2橋を含む4橋を予定)。

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