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今年度の鋼橋発注見通しは約22万t

橋建協 坂本眞会長が就任会見

日本橋梁建設協会
会長

坂本 眞

公開日:2017.06.12

 日本橋梁建設協会(橋建協)は8日、東京都の同本部で坂本眞(日本ファブテック取締役社長)新会長の就任記者会見を開催した。坂本会長は、昨年度は鋼橋発注量の20万t割れ、重大事故と不祥事の発生があり、厳しい外部環境であるとの認識を示したうえで、「会員会社の意見を集約して、魅力ある業界をアピールしていきたい。個社のレベルを上げることが協会の底上げにつながるので、協会からの支援を行っていきたい」と抱負を述べた。主な課題として、「発注量の確保と安定、担い手の確保、i-Bridgeの推進」の3つをあげた。以下、記者会見内容を一問一答形式に再構成した。(大柴功治)

 ――発注量の現状は
 坂本会長 平成11年度のピーク時(80万t)から75%減少しており、会員会社も61%減少(平成12年度のピーク時76社、現在は31社)しているが、発注量よりも会員会社の減少率が少ないことから、供給能力に比べて需要が少ない現状と見ている。今年度の予算などから見た発注見通しは約18万tで、これに過去のデータからの上乗せ予測分を含めると22万t台となるが、20万t台の回復に注力していきたい。
 ――発注量の確保と安定のために為すべき施策は
 坂本 鋼橋の採用に向けたアピールを行い、ミッシングリングの解消にむけた高速道路ネットワークの早期完成への対応や、暫定2車線区間の4車線化プロジェクトの対応などを協会として強力に推進していく。事業化が確定している大阪湾岸道路西伸部への協力、個別プロジェクトに早期参画することで協会の持つノウハウを提供していくことや、関係諸機関との意見交換会で現在抱えている課題を明確にしながら解決していく取り組みも継続していく。
 ――保全事業への取り組みは
 坂本 工事自体が会員会社にとって魅力あるものでなければならず、その改善は進んできている。
 業界の関心度は高いが、まだ工事に対する取り組みで弱い部分がある。適正価格や歩掛の問題などもあり、そこを発注者側に伝えていき、各社が参入しやすい環境をつくっていきたい。協会としても維持保全は重要な課題だと認識している。
 大規模更新事業への取り組みとしては、昨年度に立ち上げた床版取替のWG報告をNEXCOに行い、その反応を待っている状況だ。一方、首都高速道路でも床版取替をはじめ大規模更新の研究を行っているので、アドバイスやノウハウを提供できるところについては協力をしていきたい。
 ――担い手の確保について
 坂本 業界の魅力度を上げ、長時間労働を含めた労働環境を変えていくことが重要であり、若者に魅力を感じてもらうために、きちんと休める環境整備に向けて、国土交通省で行っている週休2日制のモデル工事から課題を抽出して、完全週休2日制を実現できる方向にむけて努力をしていきたい。単工種であるため、橋梁業界の先鞭を着けたいが、短工期などのケースや、元請と下請関係で技能労働者の賃金の問題など、発注者とともに課題を解決していかなければならず、目標としては1期2年の任期中に方向付けを行いたい。
 担い手には建設技能労働者だけでなく若手技術者も含まれるが、業界に目を向けてもらいにくくなっている現状があり、そのためにも鋼橋の魅力をアピールできる夢のあるプロジェクトの実現や大プロジェクトの事業化に期待したい。
 ――i-Bridgeの取り組みは
 坂本 協会内にICT活用推進にむけた「i-Bridge推進WG」を4月に技術委員会の下に設置した。3D設計データと工場製作データの連携への取り組みや、現場の生産性や安全性向上のための取り組みを推進する。さらに業務と工事関係書類の削減のためのIT活用を発注者と一緒に進めていきたい。会員会社で展開したものを協会としても共有して展開していく。
 ――事故防止とコンプライアンスの問題は
 坂本 昨年度のことを受けて今年度は各社の取り組みが非常に重要であると考えているので、襟を正して会員会社とともに前に進んでいきたい。協会では昨年、鋼橋架設工事における安全対策の基本的な考え方や事故防止対策の冊子を刊行しており、それを各社が実践するように引き続き指導を継続していく。コンプライアンスについても、行動規範の改定という文書を出し、各社の取り組みを継続して促していく。
 ――ありがとうございました

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