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「収益拡大で社員にやりがいと夢を」

IIS新社長インタビュー ICT化や受注拡大で橋梁国内トップを目指す

株式会社IHIインフラシステム
代表取締役社長

川上 剛司

公開日:2017.05.25

 4月1日付けで社長に就任した川上氏。2009年にIHIの橋梁・水門部門と橋梁メーカー2社の統合により設立した同社の3代目のトップとなる。海外での大規模橋梁、イズミット湾横断橋の架設工事を一括受注した同社で工事責任者としてプロジェクトを統括した実績を持つ新社長に同社の今後について聞いた。(佐藤直人)

学生時代からの橋に対する熱意を仕事で実現 

 ――橋梁に興味を持ったきっかけやこれまでのおもな経歴を教えてください
 川上社長(以下、敬称略) 中学時代の修学旅行で見た関門大橋や家族旅行で大鳴門橋の工事現場を見て、橋を造る仕事に就きたいと思いました。徳島大学・大学院では、橋梁の講座を専攻、担当の指導教員が橋梁・風工学関係を研究されている方で、私の研究内容が明石海峡大橋級の吊り橋の補剛桁の耐風安定性に関する研究だったことも関連して、当時、明石海峡大橋の耐風安定性の検討に関わっていたIHIに入社しました。同工事に対しての思い入れは強く、入社当時に自ら「携わりたい」と希望するほどでした。
入社後しばらくして携わったのは、当時、日本で最長級の鋼斜張橋である名港中央大橋(愛知県名古屋市)の工事でした。この工事では、設計から架設完了まで関わり、「橋を造る」という学生時代からの願いが叶いました。
以後、40歳頃までは、設計や建設部門に所属、その後は製造部門の経験を経て、海外プロジェクト部門、橋梁・エンジニア部門の部長に就きました。2009年11月、IHIインフラシステム設立後は技術本部プロジェクト部長となり、2011年からはトルコのイズミット湾横断橋の工事を担当しました。この海外での大規模橋梁プロジェクトでは、過去の全部門の業務での経験が活きました。そのほかの工事では、設計部会長として携わった名古屋南インターチェンジ高架橋が印象深いですが、イズミット湾横断橋が携わった工事のなかで一番規模が大きいプロジェクトですし、思い入れは最も強いです。

世代交代した経営陣と新ビジネスユニットでスタート

 ――社長就任の打診を受けたときの心境や就任後の考えは
 川上 2011年夏から昨年の10月末までイズミット湾横断橋(下写真)の工事を担当したためトルコに駐在していました。同工事の担当を終えたあと、国内橋梁や海外プロジェクト関連の担当役員として、「さあこれから」というときに社長の内示があり、とても驚きました。当社や業界の通例と比べて若い年齢での就任は意外でした。

 当社は、2009年11月の設立から7年が経過し、社長としては3代目となります。そのほかの経営陣も50代半ばへ世代交代し、設立から第二世代とも言える新しい体制で、スピードを持って力強い経営を進めたいと思います。
 ――企業の組織や体制はどう変わりましたか
 川上 4月にIHIグループ全体で組織変更がありました。IHIは事業領域制をひき、当社は社会基盤・海洋事業領域の橋梁や水門部門の戦略ビジネスユニット(以下:SBU)に属することになりました。橋梁・水門SBUは、当社の他にPC橋梁工事や橋梁・水門メンテナンス専門のIHIインフラ建設(以下:IIK)やIHIインフラストラクチャー・アジア(以下:IIA)、ミャンマーのPC関係の生産を実施するI&Hの4社で構成され、当社が旗振り役となって4社の連携を強化していきます。当SBUでは、鋼構造だけではなく、コンクリート構造部門ともしっかりと協業体制を取りながら国内外の社会インフラ整備事業を拡大する基盤を構築していきます。また、同じ事業領域内にあるコンクリート建材やシールドマシン、交通システムなども含めたビジネスモデルを検討し、海外向けを中心にチャレンジしていきたいと思っています。

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