道路構造物ジャーナルNET

技術検討委員会より提言

大規模修繕に着手 ~26年間で1400億円投資へ~

名古屋高速道路公社
保全施設部長

志水 公敏 

公開日:2014.10.06

82,000平方㍍をリフレッシュ
IH、ビーストなど新技術を活用

 ――今年のリフレッシュ工事について詳細を教えてください
 志水 昨年同様、RC床版(63,000平方㍍)、鋼床版(19,000平方㍍)上の舗装打ち替え、床版防水、補修補強を行う予定です。鋼床版部では今回も沿線に住宅が特に多い個所および、既設舗装が接着剤で堅固に接着している箇所を選択してIH工法(電磁誘導加熱による鋼床版アスファルト舗装撤去工法)を使用して撤去しその他はバックホウで撤去します。
 また、舗設前の処理として、鋼床版では舗装撤去後も既設接着層が残ってしまうため、それらを乗用タイプの大型剥がし機と手押しタイプの床剥がし機(ビースト、ストロングベッカー等)を用いて撤去し、その後ショットブラストで下地処理を行い、グースアスファルト舗装に打ち替えます。


鋼床版上では舗装接着層を乗用タイプなどの床剥がし機で撤去しショットブラストで下地処理する
 ――鋼床版には疲労き裂などの損傷が出ていませんか
 志水 一部でき裂損傷はありますが、デッキプレート貫通き裂のような構造物に直ちに影響を及ぼす大きな損傷は出ておらず、大規模修繕においても対象とはしていません。必要な箇所については、ストップホールや当て板等の対応をしています。ただし6月に発注した道路維持管理に関する検討業務の中でき裂状況についても詳細調査を行う予定です。
 ――SFRCを用いた補強は
 志水 料金所付近で施工していますが、いわゆる疲労対策を念頭に置いた施工実績はありません。
 ――耐震補強の進捗状況は
 志水 平成8年道示対応は16年度末で完了しています。24年道示のチェックも標準的な構造を3箇所選び照査しています。対策は特に必要ないという結果が出ておりますが、今後も他の橋梁についてチェックを拡大していく方針です。

大高線は床版取替えの可能性
万場線は今年度詳細調査

 ――今年度の上部工の補修補強メニューについて
 志水 先ほど話した大高線ともう一つ万場線でRC床版の補修補強および複合床版防水の設置と合わせて舗装打ち替えを行います。
万場線については現地調査も含めて、今年、対策工法を詳細に検討します。
大規模修繕ということで大きな枠組みは作りましたが、細かいものをどう対策していくのかは状況によって異なりますので、調査も兼ねて施工して確立していこうというものです。
 ――亀甲状のひび割れが生じている場合、取り替えも選択肢には入ると思いますが。
 志水 最悪ありうると思います。大高線の増厚箇所は劣化進行が顕著です。前にコアを抜いて調べたところ、損傷個所では発錆限界を超えた塩化物イオン量が測定されています。
 ほかの路線は亀甲状の割れと言ってもそんなに大きな損傷は出ていません。できれば下から炭素繊維シートをクロス貼りする形の補強で対策したいとは考えています。
 道路維持管理に関する検討業務の中で、床版上面増厚区間の損傷に対する詳細調査及び補修補強方法を検討していきます。
 ――ジョイント対策について
 志水 今年度の取り換え予定はありません。
 ――コンクリート剥落防止対策について
 志水 大高線の床版補修個所でガラスクロスを貼りました。それ以外は壁高欄の端部からの剥落対策として被りが不足している箇所でガラスクロスを張っており、完了しています。
 ――道路騒音対策について
 志水 平成26年3月末の実施状況は遮音壁の設置が対象213.2㌔中178.7㌔(84%)、低騒音舗装の設置が145.2㌔中114.1㌔(79%)となっています。裏面吸音版の設置は完了しています。大規模修繕検討の中で見ていると吸音版も色々なシミが生じていたり、さびが出ていたりする個所もありますので、吸音版も今回の大規模修繕に合わせて対応していく必要があると考えています。低騒音舗装は表層を15年に1回、基層までを30年に1回打ち替えていきます。

       裏面吸音板の損傷

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