道路構造物ジャーナルNET

2021年わが社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ③瀧上工業

新中期3カ年計画スタート デジタル技術の活用促進

瀧上工業株式会社
代表取締役社長

瀧上 晶義 氏

公開日:2021.09.27

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業のひとつと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を尋ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。2回目は、瀧上工業の瀧上晶義社長と、高田機工の髙橋裕社長の記事を掲載する。

 ――20年度の業績は
 瀧上 売上高が161億7,000万円(連結)、営業利益が8億6,200万円、経常利益が12億8,500万円と減収増益となった。この収益面の結果をもたらした要因は、原価低減と設計変更の獲得に努めた結果によるものと分析している。
 各部門別でみると、橋梁事業は鋼道路橋の発注量が前年度比で高速道路関連工事を中心に伸びたものの、発注量全体では2年連続20万t割れの厳しい状況にある。当社は技術本部を立ち上げ、技術提案力を強化したことで同事業の受注高は132億5,000万円(前年同期比43.5%増)となった。保全工事は順調に受注量を伸ばしている。
 鉄骨事業でも大型電力案件の新設市場が縮小する中、民間建築案件への受注に注力した結果、同事業の受注高は21億3,000万円(同23.8%増)。全体として鋼構造物製造事業の総受注高は153億8,000万円(同40.4%増)となった。
 一方、損益では橋梁事業は大幅な収益改善が実現できたが、鉄骨事業の一部で採算の厳しい民間工事を取り込んだことから収益は厳しいものとなった。
 ――今期からの新3カ年計画については
 瀧上 前中期経営計画で「再生と創造」をキーワードに新設橋梁事業の再生と橋梁保全事業の創造拡大、鉄骨事業の再生創造を事業方針とした。今期からはコロナ禍を契機に社会環境の変化に合わせ「柔軟で強靭な企業体質」を目指している。
 その体質実現のため、各事業の基盤強化とともに入札だけに頼らない企業体を作り、多角化戦略が重要と考えている。
 こうした事業計画により、新規3カ年の最終年度には売上高180億円、営業利益5億円、経常利益8億円を目標としている。
 具体的な事業計画、課題として、鉄骨事業は年間の生産目標である1万2,000t体制を早期に構築し、事業拡大を図る。カーボンフリーを受けてこれまで得意としていた火力発電関連工事が風力等へ転換されていくことになるだろう。この変化を注視しながら、民間の高層案件に挑戦し、ビジネスチャンスを拡大したい。その実現のためには、工作図の作成能力向上や生産コスト高解消のため、引き続き同業他社との協力体制を強化する。
 橋梁事業では、国土強靭化計画の中で大都市圏環状道路や代替道路ネットワークの整備が必要とされ、引き続き技術提案力と積算精度の向上を図っていく。生産設備の更新とITの積極的な活用を進め、生産性向上を図る。
 保全事業では、インフラ老朽化対策が必要とされる中、今後は高速道路の床版取替えや橋梁の耐震補強が拡大していくだろう。6年前発足した保全本部を一昨年5月に瀧上建設興業の所在地に移転し、協力体制を確立した。最近の実績では大規模補修工事の受注に結びついている。技術者も年々増加しており、グループ各社の力を結集し、高度で総合的な技術力を確保して大規模、中小規模の保全工事の受注拡大を目指している。
 海外・新規事業では、ベトナム現地法人とフィリピン駐在員事務所を活用し、橋梁案件の受注に注力している。中でもアスファルト添加材をフィリピンで拡販し、その他の国へも展開していく。
 その他、材料販売事業では新規顧客の開拓と既存顧客への販売強化、不動産事業ではグループ会社資産の一括管理と新規物件の開発を図る。


常磐自動車道 折木川橋(鋼上部工)工事

 ――人材確保や育成については
 瀧上 今年の4月に4人の新入社員を迎えた。各事業の課題に取り組む中、最大のリスクは人材不足にある。そのためにはまず、デジタル技術・ロボットの活用促進を進めていく。具体的には今年4月にシステム管理室を立ち上げ、管理職を対象にIT端末を提供、情報の見える化を目指し、デジタル化によるポストコロナの働き方改革を推進する。こうした方針に沿って、各部署でDXの導入など必要な労働環境の改善に取り組む。
(聞き手=和田徹、文中敬称略)

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