道路構造物ジャーナルNET

2021年わが社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ②日本ファブテック

秋口から稼働率上昇へ 課題は橋梁補修の人材確保と育成

日本ファブテック株式会社
代表取締役社長

野上 勇 氏

公開日:2021.09.20

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業のひとつと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を尋ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。1回目は、日本ファブテックの野上勇社長と、巴コーポレーションの深沢隆社長の記事を掲載する。

 ――前年度の業績は
 野上 売上高356億円、経常利益17億5,000万円、受注高は324億円だった。昨年度は受注競争の激化や海外ファブの参入増などで工場の山が低く、平均稼働率は80%を切る状態だった。ただ、そうした中でも各工事が止まることなくほぼ予定通りに進捗したこと、さらに橋梁分野でリニューアル工事の受注が堅調だったことなどで一定の業績を確保できた。受注の構成比率は鉄骨と橋梁がほぼ5対5となっている。
 ――今期ここまでの状況は
 野上 第1四半期を振り返ると、鉄骨は案件がかなり少なかった。とくに再開発案件は施工体制の決定等が遅く、下期偏重の傾向が強まっている。一方の橋梁は予定通りに入札があり、これまでのところ受注も順調だ。現状、工場の稼働率は70%前後にとどまるが、秋口からは80~90%まで上昇する見通しにある。鉄骨については引き続き再開発案件の受注に努める一方、工場の一時的な谷を埋められる足の短い物件の確保にも注力していく。
 ――今年度の業績目標は
 野上 売上高360億円、経常利益12億5,000万円、受注は370億円を目指す。受注量は鉄骨5万5,000t、橋梁1万4,000tを目標に掲げている。
 ――設備投資の状況と今後の計画について
 野上 BCP対策の一環として熊谷工場の事務所の建て替え工事を進めており、10月中旬に完成する予定だ。生産設備では、大型橋梁案件の受注を想定して防府工場に1,000tプレス機、千葉臨海工場にフェーシングマシン、取手工場に天井クレーンなどの整備や更新を計画している。その後、老朽化が進む各工場の管理棟の建て替え、再整備を進める方針だ。
 千葉臨海には取手の柱大組立溶接ロボットを移設して鉄骨柱製作のウエイトを高め得る体制になっているが、今後の同工場の生産品目については市場動向や市況を見極めながら柔軟に対応していく。


10月に完成予定の熊谷工場新事務所

 ――新技術・新分野の取り組みについて
 野上 生産性向上・省人化に向け、工場内で溶接ロボットの有効活用を進める一方、親会社である清水建設が推進する現場溶接ロボットのサポート業務を展開している。また橋梁のリニューアル関連では合成床版「SLaT-FaB床版」を清水建設と共同開発したほか、「パイプスラブ」も順調に施工実績を伸ばしている。フィンカバー付き橋梁伸縮装置「N-FCフィンガージョイント」は、先に国交省の新技術情報提供システム『NETIS』に登録された。
 品質向上技術では大日本塗料と付着防止塗料の開発を進めている。今後も引き続き生産性の向上やリニューアル部門の対応強化につながる新技術の開発に注力し、会社の存在意義を高めていきたい。新規事業は、ゼネコン各社が取り組む洋上風力発電分野などで、親会社との連携を深めながら我々が貢献できることを模索していきたい。
 ――課題と今後の戦略
 野上 橋梁は年々需要が増加するリニューアルの受注対応強化が最大のテーマとなる。同分野は工事規模にかかわらず技術者の常駐が求められ、一方では設計条件が不統一なこともあって、相応の技術と知識を有する者でしか対応できない。そうした人材の育成に努めるとともに、中途採用を含めた人員確保に取り組んでいく。新設橋梁は提案力等をさらに引き上げ、国土強靭化関連など大型案件の受注を目指す。
 鉄骨は、材料はじめ諸コストが軒並み上昇するなか、単価をいかに維持していくかが課題。弊社の技術を生かせる付加価値の高い物件の受注に努め、採算確保を図っていきたい。全社的な共通課題は担い手の確保であるが、DXや脱炭素社会への対応なども求められる。老朽化設備を更新するなど、身の丈に合わせた形で環境に配慮した企業体制の構築を進めていきたい。
(聞き手=田中貴士、文中敬称略)

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