道路構造物ジャーナルNET

山陰道・出雲~仁摩間の全線開通を目指し工事を全面展開中

松江国道事務所 大田・静間道路の静間川橋では送出し支間長96.4mの架設を実施

国土交通省
中国地方整備局
松江国道事務所長

藤田 修 氏

公開日:2021.06.22

 松江国道事務所では、山陰道・出雲~仁摩間(延長37.1km)の2024年度までの全線開通を目指して、残る4区間(延長約22km)の整備事業を進めている。橋梁は全体で20橋あり、4橋が完成し、16橋が施工中、トンネルは4本すべてで覆工まで完成した。各区間の進捗状況と施工上の特徴とともに、国道9号約158km、国道54号約65kmを管理する同事務所の保全への取り組みについて、藤田修所長に聞いた。

国道9号と国号54号の合計約223kmを管理
 山陰道の整備で企業の進出、増設が進む

 ――管内の特徴と事業概要からお願いします
 藤田所長 当事務所が位置する島根県は中国地方の日本海側に位置し、東西約200km、南北約40kmと細長い地形になっています。日本海を臨む自然豊かな土地で、出雲大社や岩見銀山、松江城といった歴史的な観光資源に恵まれています。さらに、昔からたたら製鉄等製鉄業が盛んで、現在でも東部地域、とくに安来市には日立金属などの鋳鉄鋳物産業が数多く集積し、生産量、生産金額ともに全国第3位(2019年)となっています。
 その中で、当事務所は山陰を東西に結ぶ国道9号のうち、安来市から大田市までの約158km、山陰と山陽を結ぶ国道54号のうち、県境の飯南町から松江市までの約65km、合計約223kmの維持管理を実施しています。加えて、改築事業で国道9号のバイパスである山陰道の整備を行っています。
 ――山陰道の整備事業は
 藤田 現在、出雲~仁摩間(延長37.1km)のうち、仁摩・温泉津道路(延長11.8km)が2014年度に、朝山・大田道路(延長6.3km)が2018年度に、多伎・朝山道路(延長9.0km)が2019度に開通しました。残る、出雲・湖陵道路、湖陵・多伎道路、大田・静間道路、静間・仁摩道路の4区間(延長約22km)で事業を進めていて、2024年度までの全線開通を目指しています。


山陰道の整備状況(松江国道事務所提供。以下、注釈なき場合は同)

 工事は全面展開中で、4区間全体の事業進捗率は約7割(事業費ベース)となります。構造物は橋梁が20橋で4橋が完成、16橋が施工中です。トンネルは4本あり、すべて覆工まで完成しています。
 ――事業進捗による整備効果について
 藤田 高速道路がなければ工業団地への企業立地もなかなか進みません。島根県においても高速道路の整備により、進出または増設した企業は2014年からの6年間で2.3陪となりました。西部の大田市でも部分開通により工業団地の立地が進むなどのストック効果が発現してきております。また、事業中区間の開通目途を公表後には、大田市内の工業団地への問い合わせが増えております。
 物流においても、高速道路の整備により、おもに東部地域で生産される鋳物製品の九州方面へのトラック輸送の負担が軽減されるとともに、農産物の商圏拡大にも貢献します。
 また、「命の道」としての役割も大きいと言えます。救急搬送ではドクターヘリが飛んでいますが、夜間や荒天時は飛べず、救急車で現道の国道9号を使用しています。高速道路がさらに整備されれば時間短縮につながります。病院入院における自圏域内完結率では、松江や出雲には大きな病院がありますので、そこに1回入院すれば完結できますが、大田市などの県央部は入院患者の約4割が二次医療のために圏域外の病院に再入院しなければなりません。それらの救急車による緊急対応にも高速道路は役立ちます。


山陰道の整備による企業の進出/『命の道』としての役割

出雲・湖陵道路 橋梁5橋のうち3橋で上部工施工中
 常楽寺第2高架橋の下部工施工ではBIM/CIMを活用

 ――事業中の4区間について。出雲・湖陵道路からお願いします。
 藤田 出雲市知井宮町から出雲市湖陵町三部までの延長4.4kmの道路で、2024年度の開通を目標に事業中です。切土と若干の盛土区間、橋梁、トンネルという線形になり、構造物比率は33%で、橋梁が5橋(総延長約1km)、トンネルが1本(延長約0.4km)です。事業進捗率は約8割(事業費ベース)となります。


出雲・湖陵道路および湖陵・多伎道路の概要図

 ――5橋の進捗状況は
 藤田 東神西第1高架橋(橋長74.0m、PC3径間連続プレテンションT桁橋)の1橋が完成しています。残りの4橋はすべて下部工が完成していて、3橋で上部工を施工中です。


東神西第1高架橋

 ――橋長の長い橋梁はありますか
 藤田 最長の橋梁は常楽寺第2高架橋で460.5mです。湖陵IC(仮称)側にある連続高架橋となります。トラッククレーン+ベント工法での架設を行っています。


常楽寺第2高架橋の施行

 ――施工にあたって特徴的な取り組みがありましたら教えてください
 藤田 同橋の下部工施工ではBIM/CIMを活用しました。沓の箱抜きなどで鉄筋が干渉する箇所が、3次元モデルで事前にわかりましたので設計を変更して、手戻りなく施工することができました。



出雲・湖陵道路 橋梁・トンネル一覧

湖陵・多伎道路 二部高架橋と久村第1高架橋は今夏までに閉合予定
 二部高架橋上部工施工では透明型枠を採用

 ――湖陵・多伎道路は
 藤田 出雲・湖陵道路の終点から出雲市多伎町久村までの延長4.5kmの道路で、こちらも2024年度の開通を目指しています。橋梁は4橋(総延長約0.6km)で、久村第2高架橋(橋長126.0m、PC2径間連続ラーメン箱桁橋)が完成していて、3橋が上部工施工中です。トンネルは1本(延長約0.2km)で、構造物比率は19%となります。トンネルを挟んで谷地形に架かる橋梁があります。


久村第2高架橋

 ――橋脚高は高くなっていますか
 藤田 20~30mの橋脚高となっていて、久村第1高架橋のP1は約31mです。
 ――架設工法は
 藤田 二部高架橋、久村第1高架橋、久村第2高架橋は張出架設です。二部高架橋と久村第1高架橋は架設中で、今夏までに閉合する予定です。


二部高架橋の架設

久村第1高架橋の架設

 ――施工で工夫した橋梁はありますか
 藤田 日本ピーエスが施工した二部高架橋PC上部工事では、コンクリートの締固めがうまくいくようにウェブ部分にアクリル板の透明型枠を使用しました。側面からコンクリートの打設状況が良く分かり、均質なコンクリートを打設することができました。


二部高架橋で採用した透明型枠と脱型後(右写真)


湖陵・多伎道路 橋梁・トンネル一覧

ご広告掲載についてはこちら

お問い合わせ
当サイト・弊社に関するお問い合わせ、
また更新メール登録会員のお申し込みも下記フォームよりお願い致します
お問い合わせフォーム