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道路分野は橋梁検査路、遮音壁、中空床版の補修技術などを積極展開

栗本鐵工所 チームクリモトで売上1100億円、営業利益40億円のその先へ

株式会社栗本鐵工所
代表取締役社長

菊本 一高 氏

公開日:2021.04.01

 栗本鐵工所は、4月1日から菊本一高氏が新社長に就任した。同氏は、大阪工業大学工学部機械工学科を卒業後、1982年に同社に入社。ビル、住宅、工場などに使われるスパイラルダクトなどの分野に関わってきた。一方で、コンクリート橋とのかかわりもあり、中空床版橋の円筒型枠やシースなどの分野で、PCファブの様々な要望にも対応する工場長(交野工場)として、親しく接した人も少なくないであろう。その菊本氏に新中期3ヵ年計画などを主とした就任の抱負、売上の1割を占め、大幅な拡大を目指す道路関連商材への取り組み、日本カイザーやゼンテックなど、土木・橋梁に関わる子会社とのシナジーなどについて聞いた。(井手迫瑞樹)

前中期3ヵ年計画は計画通り達成
 新中期3ヵ年計画 環境を自ら変革していくことが重要

 ――新社長就任の抱負を教えてください
 菊本新社長 前中期3ヵ年計画は、おおむね計画通り達成できそうです。従来の事業領域の内側は堅持し、越えられる箇所は越えて拡大していくことを目指しました。「鉄」という母材の分野以外として化成品事業部や建材事業部が所管するFRPやポリエチレンを用いた商材が少しずつ拡大し、顧客層を増加させつつあります。
 今年度からの新中期3ヵ年計画は、これをさらに深化させていきます。環境の変化に対応することはもちろん、環境を自ら変革していくことが重要であると考えています。そのために特定の市場や技術に寄りかからず、それ以外にも製品ジャンルを広めていくことが大事です。手持ちのシーズを元に現在の成長市場以外にもアンテナを張って、お客様のニーズと当社のシーズをマッチングさせていきます。それが利益を出し続けることに繋がります。そして発見した有望な市場に人や資金を適切にシフトさせていきます。「チームクリモトで一体となり、諦めることなく、さりとて力まずに、焦らず進む」が私の掲げるモットーです。
 ――材料的なアプローチではFRPをあげられましたが、それ以外のエンジニアリング的なアプローチで考えておられることはありますか
 菊本 パイプシステム事業部においてDB方式への対応を推進しています。上下水道事業においては、自治体など専門職員の減少傾向から、既存インフラの保全環境が厳しさを増しています。そのためダクタイル鉄管やバルブなど上下水道関連のアイテムを有する当社としては、そうした設備の設計・施工などエンジニアリングまでを受託できるよう体制を整えていきます。他にも、トンネル内の消火配管用ダクタイル鉄管といった、新しい製品の開発も積極的に行っていきます。



トンネル内の消火配管用ダクタイル鉄管

2019年度は売上・利益とも上方修正 20年度も当初見込みを達成
 道路関連事業は売上比率を10%から15%に上げていきたい

 ――2019年度、2020年度の売上・利益及び、今期の売上・利益目標は。また中期的な経営目標、その中における道路関連事業の割合などについて教えてください
 菊本 2019年度の当初目標は売上が1,080億円、営業利益が30億円でしたが、結果は売上1,099億円、営業利益43億円と上方修正することができました。要因としてはパイプシステム事業の販売価格が改善したこと、原料となるスクラップ材のコストが計画よりも安くなったこと、そして建材、化成品などの産業建設資材事業についてオリンピック需要が高まったことがあります。2020年度は当初目標が売上1,100億円、営業利益40億円でしたが、官需の堅調もあり、着実に達成できそうです。
 新中期3ヵ年計画を取り巻く事業環境は少し不透明です。新型コロナウイルスの影響は未だ見通せません。官需は堅調に推移すると思いますが、民需は軟調が続く可能性があります。そうした状況ですが、新中期3ヵ年計画最終年度においては、持続的成長により売上1,200億円、営業利益50億円は超えていきたいと考えています。
 道路関連事業は現在、当社全売上の1割弱を占めています。成長分野と考えており、今後は15%程度の割合まで上げていきたいと考えています。2019年度にはハイウェイテクノフェアに初めて出展し、当社の道路関連商品についてPRさせていただきました。

道路関連 土木PTを建材事業部に立ち上げる
 部門の垣根を取り払い一体となって取り組む

 ――御社は、円筒型枠、シース、遮音壁、検査路など道路・橋梁に関する商品を有していますが、どのようにこれらの分野を発展させていきますか
 菊本 そうした製品群は事業部も多岐にわたっており、生産する工場も別になっています。効率的に発展させるためには、部門間の垣根を取り払う必要があります。そのため、土木プロジェクトチームを立ち上げ、そこには化成品事業部や子会社の栗本商事、ゼンテック、日本カイザーなどの担当者も参画し、情報を共有することで、グループ一体となって取り組んでいます。
 当社は鉄が母業ですが、FRP成形品生産の歴史も古く、1971年から取り組んでいます。化成品事業部ではガラス繊維強化プラスチック(GFRP)製の点検歩廊(検査路)も新たに商品化しており、これには人やモノ、資金を注いでいます。高速道路各社などの大規模更新・大規模修繕では検査路の新規取付や既設交換などの需要が大きくそうした分野に食い込むことができればと考えています。


橋梁検査路(FRP製)設置例①

FRP製橋梁検査路 中空一体成型でたわみにくい
 添接ボルト/ナットもGFRP製を使用し維持管理性を向上

 ――力を入れて取り組んでいる分野としてGFRP製検査路を挙げられましたが、既に先行製品も沢山出ています。御社の製品はどのような特徴があるのでしょうか
 菊本 施工性、維持管理性、歩行時の安定性を追求しているところに特徴があります。検査路の床材は中空構造となっていますが、これは一体成型で製造されておりたわみにくく、桁通しもボルトやナットで接合されているわけではないので維持管理コストが低減できます。
 手摺りも剛性を増した構造にしており、さらに床材との接合にはボルトやナットを使用していますが、これらはGFRP製であり腐食の心配はありません。
 紫外線劣化による経年劣化については、標準のフッ素樹脂を進化させ、さらなる長寿命化も研究しています。


橋梁検査路(FRP製)設置例②

日本カイザー 鉄道高架橋用スラブを展開 道路橋へ拡大目指す
 ゼンテック 維持管理分野への商品開発、コスト競争力のシナジー目指す

 ――近年、日本カイザー、ゼンテックという土木あるいは橋梁の保全を行う会社を傘下に収めていますが、その狙いを教えてください。グループのシナジーについても語ってください
 菊本 日本カイザーは建築用途を中心にハーフプレキャスト合成床版(カイザースラブ工法など)を展開しています。さらにはカイザー鉄道高架橋用スラブもラインナップしており、これは北陸新幹線の鉄道RCラーメン高架橋において支保工不要の型枠兼用床版として活用されています。道路橋用においてもカイザーBARD床版工法(右図)がありますが、これは広く展開されている状況ではありません。これを当社のコンクリート中空床版用の円筒型枠を納めている部署などと連携しながら、シナジーを出していきたいと考えています。
 ゼンテックに関しては、NEXCO各社など高速道路の橋梁・高架を中心に維持管理・工事を行っており、当社もそうした事業領域へ参入したいことや、当社の持つ製品群をより使い勝手の良い製品に磨き上げるフィールドを得たいという考えから傘下に収めたものです。材工が一体となることで、ゼンテックとしての営業力も高め、シナジーを発揮していきたいと考えています。


ゼンテックの施工例

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