道路構造物ジャーナルNET

長大特殊橋の耐震補強対象は25橋で対策完了は5橋

2021年新春インタビュー② NEXCO中日本名古屋支社 ネットワーク活用と新工法採用で大規模更新を展開

中日本高速道路株式会社
名古屋支社
保全・サービス事業部長

合田 聡 氏

公開日:2021.01.01

 中日本高速道路名古屋支社は、東名、名神、伊勢湾岸道などの重交通路線と中央道などの環境条件が厳しい路線を含む合計約936kmを管理している。大規模更新事業ではこれまでに中央道や東名などの14橋で床版取替工事を完了しており、2021年度からは東名阪道・弥富高架橋や名神・長良川橋といった重交通かつ施工延長が長い橋梁での床版取替工事を展開していく。そのような厳しい条件下での施工上の工夫をはじめ、耐震補強、伊勢湾岸道のジョイント取替えなどの詳細を合田聡保全・サービス事業部長に聞いた。

橋梁2,157橋、トンネル205チューブを管理
 供用後40年以上経過している橋梁は全体の約35%

 ――名古屋支社の管理延長および管理橋梁数、トンネル数からお願いします
 合田部長 2019年12月に東海環状道の大野神戸IC~大垣西IC、2020年3月に同道・関広見IC~山県ICの2区間が開通し、管理延長は約17km増えて約936kmとなりました。それにともない橋梁延長も10km増の約247kmとなっています。管理橋梁数は2,157橋、トンネルは205チューブを管理しています。


名古屋支社所管エリア/各保全・サービスセンターの所管(NEXCO中日本名古屋支社提供。注釈なき場合は以下同)

 ――開通した2区間の橋梁10km増の詳細は
 合田 大野神戸IC~大垣西ICは延長7.6kmですべて高架橋となります。関広見IC~山県ICは延長10kmで、そのうち2.4kmが橋梁となります。


2019年12月に開通した東海環状道の大野神戸IC~大垣西IC(弊サイト掲載済み)

 ――管理橋梁の内訳は
 合田 コンクリート橋1,613橋、鋼橋(複合構造)807橋で、橋長50m以上が1,398橋、50m未満が759橋です。供用年次別では、40年以上が753橋、30年以上382橋、20年以上79橋、20年未満943橋となります。
 ――管理トンネルの内訳は
 合田 在来工法41チューブ、NATM工法164チューブで、5km以上の長大トンネルが3チューブ、5km未満が202チューブです。供用年次別では、40年以上が18チューブ、30年以上11チューブ、20年以上45チューブ、20年未満131チューブとなります。


路線別の管理延長と橋梁・トンネル数

 ――長大トンネルの3チューブは
 合田 延長約10.7kmの東海北陸道 飛騨トンネル1チューブと、中央道の恵那山トンネル(上り線約8.6km/下り線約8.5km)2チューブです。
 ――管内の構造物の変状について全体および部位ごとの傾向とその理由をお教えください
 合田 橋梁については、供用後40年以上経過しているものが全体の約35%となっており経年劣化もありますが、重交通に起因する疲労、多量の凍結防止剤散布に起因する塩害が発生しています。2019年度末のA判定(変状が進行して性能低下の影響が高い)以上の箇所数では、全体の約5割が上部工で、そのうち床版が約3割、桁が約2割を占めています。特に鋼橋のRC床版で損傷が多く、はく離や浮きが発生しています。
 トンネルでは、2019年度末のA判定以上の箇所数の約7割が覆工コンクリートとなっており、供用年次が古いトンネルで変状が多く発生しています。


橋梁(左)とトンネル(右)におけるA判定上の変状部位別割合

床版と桁端部の損傷事例

 ――重交通に起因する疲労が多い路線は
 合田 おもに伊勢湾岸道で、大型車の交通量も多いことから鋼床版の疲労損傷が目立っています。


鋼床版の損傷事例

 ――凍結防止剤の散布量が多いエリアは
 合田 中央道の飯田保全・サービスセンター(以下、HSC)、多治見HSC管内、名神の羽島HSC、彦根HSC管内、北陸道の彦根HSC管内、東海北陸道の高山HSC管内です。
 ――桁の変状はどのようなものでしょうか
 合田 桁端からの漏水にともなうコンクリートのはく離や鋼桁の腐食が多く見られています。
 ――中空床版橋の損傷についてはいかがでしょうか。発生していたら、具体的な事例とどのような対策を実施もしくは検討しているか教えてください
 合田 伸縮装置部からの漏水による桁端部下面の損傷が多く発生しているとともに、ボイドのかぶり不足により、床版上面の変状が顕在化している橋梁があります。床版上面の損傷に対して、小規模な場合は部分的な打換えを行いますが、非破壊調査などにより広範囲にわたると想定される場合は、上面増厚を基本に対策を行っていく予定です。また、損傷の程度が著しい場合は全面的な打換えも対策工法のひとつとして実施していくことを考えています。


中空床版損傷事例 中央道(園原IC~中津川IC)・四ツ目川橋

 ――下部工については
 合田 掛違い部からの漏水による損傷が目立っています。
 ――トンネルの変状発生が多い路線と具体的なトンネル名は
 合田 A判定以上の損傷の約45%が中央道のトンネルで、網掛トンネル(上下線)、多治見トンネル(下り線)などで変状が発生しています。
 ――供用年次が新しいトンネルで変状が発生しているトンネルは
 合田 供用後10年以内のトンネルでもA2判定(適切な時期に措置を行うことが望ましい状態)に該当する損傷は確認されています。主な損傷は、目地部のはく離などです。
 ――トンネルの覆工コンクリートではどのような変状が発生していますか
 合田 ひび割れとはく離です。


覆工コンクリート損傷事例 中央道・網掛トンネル(上り線)

 ――ひび割れで軸方向と断面(鉛直)方向の両方で発生している箇所はありますか
 合田 断面方向がほとんどとなります。
 ――地山の影響を受けて変状が発生しているトンネルは
 合田 ほとんどないと考えています。
 ――背面空洞未充填のトンネルはありますか
 合田 矢板工法における背面空洞注入はすべて完了しています。

ご広告掲載についてはこちら

お問い合わせ
当サイト・弊社に関するお問い合わせ、
また更新メール登録会員のお申し込みも下記フォームよりお願い致します
お問い合わせフォーム