道路構造物ジャーナルNET

2018年わが社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ⑪IHIインフラシステム

海外案件の受注拡大に注力 経験を蓄積して将来につなぐ

株式会社IHIインフラシステム
代表取締役社長

川上 剛司 氏

公開日:2018.10.15

 当NETの姉妹メディアである「週刊 鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業のひとつと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を訪ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。最終回となる今回は、IHIインフラシステムの川上剛司社長の記事を掲載する。

 ――業界の状況は
 川上 国内の新設鋼製橋梁は、近年の需要水準から大きな変動はなく、20万t超の発注が続いている。また、既存橋梁の保全および修繕、更新工事の大規模工事が昨年度以上に発注されている。災害時への備えやインフラ整備のニーズが高まっており、今後は大型の保全・修繕工事は増えるとみている。
 このほか、関西圏では阪神高速道路の西伸部のプロジェクトが具体化しつつあり、大型新設工事が期待できる。
 ――2017年度業績は
 川上 売上高総額は427億円、橋梁が329億円、水門その他が98億円。受注金額は総額770億円、橋梁が700億円(海外390億円)、水門が約60億円、その他が10億円となった。
 主な受注案件は、国土交通省東北地方整備局の「気仙沼湾横断橋」(JFEエンジニアリング・IHIインフラシステム・日本ファブテックJV)と首都高速道路の「大師橋」。そのほか、海外でルーマニアの「ブレイラ橋の建設工事」と、インドの「ムンバイ湾横断道路建設事業」があり、いずれも受注規模は約190億円。
 2018年度は総額420億円(海外100億円)、水門その他60億円の受注を目標としている。
 ――経営体制に関して
 川上 国内の新設工事、既存橋梁の保全・修繕、海外の橋梁新設工事の3分野において、人や設備などリソースの配分が経営戦略上重要となるなか、新設工事は国内の総需要で20万tを維持する限り人的リソースは現状を維持していく。
 また、海外の橋梁新設工事では、質の高いインフラの輸出といった国の施策に合わせて受注件数を増やしていく。そのなかで、昨年はイタリアの建設会社アスタルディ(Astaldi)社とのJVでルーマニアの「ブレイラ橋の建設工事」、インドのゼネコン最大手・Larsen & Toubro Limited(L&T)とコンソーシアムを組み「ムンバイ湾横断道路建設事業」の橋梁建設工事を受注することができた。海外案件を重視するなかで、今年度はパートナー企業との連携強化を図っている。
 海外工事では、年間100~200億円規模の受注を300~500億円規模に伸ばし、10年後には1,000億円規模に広げたい。現在、応札機会は増えており、これを継続していきたい。また、海外展開を進めるためには社内のグローバル化が必要だと考えており、現地エンジニアの採用も進めている。
 一方で現状の人的リソースの再配置も、適正なバランスを考慮しながら行いたい。これは人材育成の面からも重視しており、積極的にマネージャークラスの人材が海外事業を経験する機会を増やしていく。こうした国家プロジェクト級の工事では国のトップクラスとの交渉が増え、スピーディーな決断が必要となる。マネージャーたちがそうした経験を多く積むことで将来の会社の礎となってくれる。そのためには、チャレンジングな案件も受注していきたい。
 このほか、生産体制の合理化を目的に昨年度以上の設備投資を行い、生産ラインを見直した。これにともない外注部分を減らして内製化を進める。これによりコスト圧縮など効率化が図れるだろう。


中防内5号線橋りょう

 ――人材育成について
 川上 実際、自分が海外の経験を積むことで多くのことを学ぶことができた。先日の関西空港連絡橋が台風で流されたタンカ―により橋桁を破損した事故では、素早い判断が求められた。社員にはそうした対応力を身に付けてほしいと思っており、当該工事もできるだけ若手のマネージャーに任せている。社員には「社会インフラを支えている仕事」というやりがいを感じてほしい。
 そのためにも、会社が一丸となって2019年4月末までの完全復旧に向けて交代制で土日を返上して再製作している。

(聞き手=実末和也、文中敬称略 2018年10月15日掲載)

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