道路構造物ジャーナルNET

2浴工法で高品質の防食を実現 溶融亜鉛アルミニウムマグネシウム合金めっき

興和工業所 鋼製の排水溝、壁高欄、検査路などにSGめっきSPを展開

株式会社興和工業所
土木建材事業本部長

今岡 豊志

公開日:2018.06.14

初期に黒く変色するも防食性能は全く影響なし
 今や9割がSGめっき以上

 ――SGめっきシリーズの課題は
 今岡 SGめっきは、マグネシウムとアルミニウムが入っていることによって、黒く変色してしまう特質があります。初期に雨が降ると、突然色が悪くなることもあります。しかし、防食性能には全く影響を及ぼさないことに加えて、3カ月程度するとこの症状は安定します。当初は、この性質にご懸念を持たれた方も多くいました。
 ――耐候性鋼材と同じような指摘ですね。美観を期待しているのか。長期の防食性能を期待されているのか、整理できていない発注者は確かにいます
 今岡 私の立場では(苦笑)。ただ、何がサブでメインかを考えて性能を評価してほしいとは感じます。
 ――今、どれくらいSGめっきシリーズの実績はありますか
 今岡 2017年度直近ではSGめっきの生産量は8,000~1万tに達しています。土木建材事業部としては、約90%がSGめっきまたはSGめっき+樹脂粉体塗装仕様での販売となっています。溶融亜鉛めっき仕様は10%程度しかありません。
 製品別でいうと、最も売り上げ割合の高い鋼製排水溝「FDドレン」は03年から販売を開始しており、17年度末までに延長で約250km、約1,600物件を納入しています。現在の事業部売り上げの6割を占めます。ついで鋼製高欄が2割弱、あとは鋼製壁高欄「コプロ」、投物防止フェンスや落下物防止策、検査路など一括加工物などが占めます。


FDドレン(左隅の鋼製排水溝)/セラミックアンカー

 「コプロ」は2011年にSGめっき、SGめっき+粉体塗装仕様をベースとして近畿地方整備局の新御殿橋向けに納入を開始して以降、北九州市の夕原跨道橋、NEXCO中日本、NEXCO西日本、にも納入しました。首都高速道路向けでは高谷JCT、堀切小菅JCT、小松川JCTなどの高速道路橋(SGめっき+粉体塗装仕様)や、本牧1、3、4、5橋(SGめっき仕様)などにも多数納入しています。


鋼製壁高欄コブロ (左)高谷JCT (右)本牧

 また、2013年にはNEXCO中日本でフェンス類の塩害地域向け表面処理にSGめっきが規定化された通達が出ました。また、翌14年度には首都高速道路でSGめっきが評価されて鋼製壁高欄「コプロ」、鋼製検査路、鋼製排水溝、排水管バンド、門型標識柱などへ採用が広がりました。
 さらに2016年には首都高速で恒久足場へSGめっきが仕様化されました。
 今年は、鋼製排水溝「FDドレン」へ、セラミックインサート(従来の施工方法と同じ施工が出来るステー付)を有して、事故時の取り替え、経年後の取り替えが安易にできる、型式「FDドレンRE」を開発し、PAT(特許、意匠登録)申請し、販売開始しました。
 表面処理仕様は、SGめっきSP又はSGめっきSP+ナイロン12粉体、の2種類を標準仕様としています。既にこの3月に有明海沿岸道路の「大川高架橋」へ納入しました。次いでNEXCO西日本さんの京滋BP向け3橋へ営業中です。

FDドレンにセラミックインサートを採用
 何度も脱着可能な構造にし、取替を容易に

 ――セラミックインサートとはどのような構造ですか
 今岡 今までの鋼製排水溝は、全部後ろからアンカーを取って、地覆の中にコンクリートを埋める方法を採用していました。排水溝本体が経年劣化によって腐食したり、事故により損傷した場合、カッターで切断して取り外さなければならず、大きな手間を要していました。その手間を減らすため、前側からボルトを用いて、外してすぐに付け替えられる構造を考えました(図参照)。しかし、コンクリートの中にはナットを入れておかなくてはなりませんが、普通の鋼材では錆びてしまいます。そのために明電セラミックス製のセラミックインサートを採用して施工方法は従来通り行なえるステー化とし、何度も脱着可能な構造にして構造物本体に負担をかけず取り外しができるようにしました。鋼製排水溝は、これから同インサート型式を標準仕様にします。


FDドレン一般図とFDドレン概要写真
FDドレン実績表(拡大してみてください)

遮光フェンスのエキスパンドメタルにSGめっきSPを提案
 橋梁検査路は電位腐食のない構造を展開

 ――今後はどのような分野を狙っていきますか
 今岡 橋梁、高架橋以外の、道路関係鋼構造物への普及や港湾、離島、など塩害腐食の激しい地域の鋼構造物への普及を考えています。
 例えば、橋梁の検査路は従来の溶融亜鉛めっき製検査路が早期に経年劣化する例が出ており、アルミ製検査路やFRP製検査路が使用される実績が出てきています。そこにコストが安く防食性能も高いSGめっきSPで防食した本体及びアンカーボルトで電位腐食のない検査路を展開しています。
 大和鋼管工業さんと一緒に橋梁やトンネル内部の厚電線管向けに「SGねじ無しカップリングシステム」(NETIS登録CB-120039-VE)を展開しています。同製品は、現場ねじ加工作業がなくなり、接合制度にばらつきが無く、精度が保てる特徴があります。防水ゴムパッキン内蔵型ですので安定した防水性能を保つことができます。接合強度はパイプ外周を均一に締め付ける形状であるため、2500Nの引張強度があり、耐震性能にも優れています
 メーカーとしては通常のめっきで防食した遮光フェンスのエキスパンドメタル製のものが大きく腐食している状況を鑑みて、最低でもその防食手法をSGめっきSPにしようという提案をしています。
 ――ありがとうございました
(2018年6月14日掲載)

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