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桑折高架橋、阿武隈川橋など下部工が進捗

福島河川国道事務所 霊山~福島間の建設が最盛期

国土交通省
東北地方整備局
福島河川国道事務所
所長

石井 宏明 氏

公開日:2017.11.16

今年度は8橋で橋梁補修補強
 2ヵ年および3ヵ年国債で工事発注

 ――長寿命化関係の進捗状況は
 石井 先ほどの健全度3判定を優先で進めています。今年度は、4号と13号の8橋について工事を行っています。橋面防水、桁補修、塗装塗り替え、伸縮装置交換などがありますが、昨年度から2カ年、3カ年国債で工事を発注して、そのなかで補修工事を行っています。河川内の工事もありますので、橋梁によっては渇水期の1シーズンで完了できない場合がありますので、このような発注形態としています。
 ――経年変化、劣化による上部工の補修・補強の実績は
 石井 28年度は2橋、おもには13号の篭岩橋(1966年供用、橋長37.5m、単純非合成鈑桁×3連)、13号の八反田川橋(1974年、20.5m、単純合成鈑桁)について補修を行っています。篭池橋は上部工架け替えを行い、終日片側交互通行で施工しました。


八反田川橋の損傷状況と補修内容

篭岩橋 上部工を架け替え
 八反田川橋 主桁端部腐食箇所を炭素繊維シート補強

 ――篭岩橋はすごい工事ですね。普通だと仮橋を横に設けるものですが。交通量は
 石井 10,000台弱の交通量で、山形方面との大型車も多くなっています。主桁端部の垂直補剛材に著しい断面減少と欠損を伴う腐食が見られたことやRC床版で鉄筋露出も確認されたことから上部工を架け替えたものです。


篭岩橋の片側交互通行状況/架け替え状況

架け替えが完了した篭岩橋

 工事中は特車規制をかけてご迷惑をおかけしました。工事期間短縮のため片側車線を生かし終日片側交互通行としたため、仮設防護柵の設置に必要な幅員確保のため規制をかけさせていただきました。
 ――上部工はどのような形式に架け替えたのですか。また、床版はどのようなやり方で施工したのですか
 石井 上部工の形式は、鋼3径間連続非合成鈑桁としており、ノージョイント化を図っています。また、床版はプレキャストPC床版を採用しています。
 ――八反田川橋の補修はどのような内容ですか
 石井 主桁端部の支点上垂直補剛材に著しい断面減少と欠損を伴う腐食が見られたことなどから桁端や主桁の補修や塗り替えを行いました。また主桁腐食部にはCFRPシートを用いた補強も施しています。

松川橋 疲労によるひび割れをシート補強
 大滝橋 部分的に打ち替え施工

 ――鋼床版やコンクリート床版で補修補強を行っているケースは
 石井 鋼床版を有する橋梁は5橋ですべて側歩道橋となりますが、疲労き裂は見受けられません。コンクリート桁・床版部の損傷については、4号の松川橋で疲労によるひび割れが顕著に出ていて、床版下面に炭素繊維シートを貼付し、同時に部分的な打ち替えと防水工を行いました。また、床版上面に一部土砂化が見られ、床版の打ち替えを行っている橋梁もあります。13号の大滝橋は、24年の点検ではBs判定でした。しかし、今春のパトロールで土砂化を確認、床版の損傷が早く進んだことから、緊急的に1箇所の部分的な打ち替えを行いました。


松川橋の損傷および補強/大滝橋の損傷状況

 ――パトロールは下から見ていますよね。舗装の状況はどのような
 石井 もちろん見ています。舗装部分を撤去し、床版の状況を確認しています。
 ――それは全部を、あるいは該当部分のみですか
 石井 該当部分を広めに確認し、部分的に緊急対応を行いました。
 ――舗装を開けた時の床版の損傷状況は
 石井 一部は砂利化していました。


大滝橋 床版上面が砂利化

 ――上部の砂利化が起きているということは、延長部分も損傷の可能性がありますね
 石井 今後、点検を行って全体的な対応はこれから検討していきます。今春の場合は、部分的に土砂化していたので、その部分だけまず打ち替えを行った状況です。
 ――塩はどのくらい撒いているのですか
 石井 1㎡20gの規定量で行っていますが、山岳部にあたるため撒く回数は多くなっています。
 ――コンクリートをはつって、もう一回型枠をはめて、ジェットコンで断面修復ですか
 石井 はい。
 ――鉄筋の状態は
 石井 床版上面の鉄筋の一部に腐食が見られたため鉄筋の補強を行ったと聞いています。
 ――床版防水工を始めてかけたのはいつですか
 石井 大滝橋は新設時の1990年(平成2年)に行っています。
 ――支承取替は
 石井 今年度は13号の福島跨線橋のみの予定で、鋼製をゴム支承に交換します。
 ――ジョイントについては
 石井 4橋で予定しています。うち、短い2橋は突合せ型のノージョイント化を予定していて、それぞれの工法は現在検討中です。
 ――塩害、アル骨による劣化は
 石井 塩害については、凍結抑止剤による影響はありますが、それ以外はありません。アル骨は5橋で疑いありと確認されています。4号の松川橋(福島市北部/橋脚の張り出し部分に網目状のひび割れ)と松陵橋(福島南部/橋台の顎部分に網目状のひび割れ)。いずれも伸縮装置からの漏水や、雨水が当たる箇所に劣化が見られます。
 ――福島の場合、それに加えて凍結融解は考えられないですか
 石井 管内ではそれほど見つかっていません。
 ――損傷は橋台と橋脚ということですが、RC桁やPC桁でも同様のものはありますか
 石井 桁ではありません。
 ――鋼橋塗替えは
 石井 今年度は2橋の全面塗替えを予定し、循環式エコクリーンブラストで施工します。


循環式エコクリーンブラストを採用

 ――鉛の処理はどうしていますか
 石井 鉛処理はPCBと同様に処分しています。
 ――耐候性鋼材は
 石井 採用している橋梁は2橋となります。若干うろこ状の錆がみられていますが、部材の耐荷力に対する影響はないため、B判定となっています。
 ――スラブドレーン貫通部が損傷しているようですが、どのような状態ですか
 石井 スラブドレーンの周辺部の一部が抜けて、広範囲に雨水が拡散している状況が見受けられます。
 ――今後の対応は
 石井 まだ詳細を調査中です。
 ――別の現場でもありましたが、耐候性鋼材ははつりができないですよね。硬くてブラストは非常に難しい。業者に聞くと1.5倍くらいかかり、それでもきちんととれているのかわからないとのことです。耐候性鋼材の採用と管理にあたっては慎重にする必要があると思います。しかも、これだと裸仕様ですよね
 石井 裸仕様だと思います。
 ――現段階での対応は考えていないということですね
 石井 健全度3の橋梁が多いため、現状ではそちらの対応を優先せざるを得ないのが現状です。
 ――NETIS登録の新技術や新材料の活用は
 石井 塗装片の処理に循環式エコクリーンブラストなどを用いています。

トンネル 点検を平準化するよう計画を見直し
 国道13号のトンネル群について設備の老朽化対策検討

 ――トンネルの補修補強計画の予定は
 石井 トンネルについては点検を平準化するよう点検計画を見直す予定です。予算や点検期間などに制約もあり、見直しの必要性を感じています。トンネルの補修設計は今年度実施しており、来年度から計画的に実施していきたいと考えています。大規模補修や橋梁の架け替えについては現在のところ予定はありません。
 東北中央道の福島~米沢間が今年度開通しましたので、現道13号のトンネル群について、供用後の交通量もみながら、トンネル設備等の老朽化対策も計画的に行っていきたいと考えています。現在は夜間の大型車の交通量も多く、山形方面との物流を担う主要幹線道路となっており通行止めすることはできませんでしたが、今後は検討していきたいと思います。
 ――新設にも既設に関係することですが、新設においては他の国道事務所長の取材時に、いいのは春先から夏にかけてはきちんと落札してくれるのだけれど、盛夏以降はどのように不落を回避するのかが課題、と話していました。もうひとつは災害時に人手がないことも話されていました。この2点についてお考えは
 石井 不落の原因が何であるかによると思います。技術者がいないとなると、適正な時期に入札手続きを行うことが必要になります。
 不落対策としては、なるべく3月に公告を出すことになるかと思います。まだ技術者がいる段階で早く出すことが、一番の鍵です。実際に歩道橋の補修工事で下半期に入札手続きを行ったところ、技術者が不足していたということはありました。維持修繕工事ですと金額がそれほど大きくなく、地元の建設会社さんが施工する場合が多いですけど、現在は自治体も含めた復興工事や除染工事に技術者が行ってしまうケースも多いようです。
 ――全国的に災害が続いており、私も去年は岩手と北海道、今年は九州に行ってきましたが、非常に山がちな地形なところで豪雨が起きた時に河川をふくめて道路が被災して甚大な被害が起きます。とくに、のり面、自然斜面の崩落など、今回の福岡でも結構なところでみられています。こうした状況下で道路や河川を守らなければならないわけで、現在、道路防災総点検などでおもな崩落危険個所は定めていると思いますが、その対策と進捗状況については
 石井 のり面対策の点検対象箇所は81カ所あり、すでに79カ所が対策完了済みです。残りの2カ所についても来年度に補修が完了する予定です。重点点検の要対策箇所については、100に近い状況です。
 ――河川も管理しているのでお聞きしますが、直轄河川がどうなるというのはあまり考えにくいことではありますが、技術支援も含めて、上流の直轄にそそぐ河川も含めたネットワークを維持していくなかで、どのようにやっていくべきか少し聞かせてもらえますか。
 石井 直接の答えではないかもしれませんが、たとえば相馬福島道路でいくと、現道の県管理である115号は斜面が多くて、実際に27年のときには台風で崩壊したことがあります。そのような地形的に厳しいところのバイパスルート、今回でいえば復興支援道路の相馬福島道路という新しいルートをつくることによって、信頼性の高い道路にしていくというのがひとつであると思います。
 実際に115号が崩れてしまった際は、1週間通行止めになったわけですが、この災害復旧には、相馬福島道路の工事と並行していて、そこで発生する土を災害箇所に持ち込んで、早期復旧を支援するというようなことを行っていました。
 後は、自治体の管理する道路が被災した場合には、復旧の技術的な支援に対応していくことが大事だと思います。雨の降り方が変わってきているのは感じますし、温暖化の影響なのかともいわれていますが、九州で発生するような台風が東北まできてしまうような感じがするので、秋田のような300mmを超える雨が降れば、福島でもおなじようなことになると思うので、危機感をもって対応しなければいけないと考えています。
 ――ありがとうございました
(2017年11月16日掲載)
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