道路構造物ジャーナルNET

桑折高架橋、阿武隈川橋など下部工が進捗

福島河川国道事務所 霊山~福島間の建設が最盛期

国土交通省
東北地方整備局
福島河川国道事務所
所長

石井 宏明 氏

公開日:2017.11.16

霊山~福島北JCT間構造物建設が最盛期
 桑折高架橋は下部工が終盤、上部工も発注進む

 ――桑折高架橋の話題が出てきましたが、相馬福島道路の橋梁やトンネルの進捗状況を教えてください
 石井 相馬玉野IC~(仮称)霊山IC間においては、橋梁が10橋、トンネルが7箇所ありますが、彦平橋を除き、全て完成済みです。(仮称)霊山~(仮称)福島北JCT間については橋梁が12橋、トンネルが4箇所ありまして、現在は5橋(下小国橋、古川橋、上保原こ線橋、阿武隈川橋、桑折高架橋)を施工中です。また、今年度は東根川橋に着手します。トンネル4箇所(掛田、柱田、富沢、上保原)のうち2箇所(掛田、富沢)については、坑口付近の改良工事を実施中です。


管内で建設中の橋梁一覧表

 ――構造物の進捗状況をもう少し具体的に
 石井 下小国橋は橋長130mのPC2径間連続Tラーメン箱桁橋です。現在はA1橋台を施工中で、その他の下部工および上部工は今年度発注します。掛田橋は175mのPC4径間連結ポステンコンポ橋で、今年度下部工を発注します。古川橋は352.4mの鋼8径間連続非合成鈑桁橋で、橋台を1基、橋脚を2基施工中で、今年度残る下部工を発注します。上保原こ線橋は84.5mの鋼2径間連続鈑桁橋で下部工を施工中です。阿武隈川橋は398mのPC4径間連続箱桁橋で橋脚を2基施工中で、残る下部工も今年度発注します。福島北JCT橋は42mの鋼単純非合成鈑桁橋で、NEXCOの東北縦貫道を跨ぐ位置に架設するため、工事はNEXCO東日本に委託します。


阿武隈川橋の架設位置

 ――最大の橋長を誇る桑折高架橋はどのような進捗状況ですか
 石井 桑折高架橋は鋼3+5+4+3+4径間連続箱桁橋です。橋長は1,218mと管内で最大の長さを誇ります。下部工は全部で23基(ランプ橋含)あり、それを10工区に分けて発注しており全面展開中です。上部工も4工事のうちA1~P3を除く3工事を発注済みで、残る1工事も今年度発注します。31年度中に架設まで完了する予定です。


桑折高架橋一般図(抜粋)

桑折高架橋の進捗写真①新幹線を隔てて東側(井手迫瑞樹撮影)

桑折高架橋の進捗写真② 新幹線を隔てて西側(井手迫瑞樹)

十分な耐久性有するコンクリートを
 ひび割れ抑制鉄筋を現場に合わせてパターン化

 ――構造物の耐久性を向上させるための各種施策で、桑折でさまざまなことに挑戦していると、細田先生などからお聞きしています。勉強会も3回ぐらい開催していて、地元のゼネコンを含めてレベルを上げることができるいい取り組みをされているとのことなので、それを教えてください。まずは品質確保ではいかがでしょうか
 石井 東北地方のコンクリート構造物においては、塩害(飛来塩分、凍結防止剤に由来する塩分)や凍害、ASRなどによる厳しい環境条件からその対策は必須です。そのため今後の維持管理を踏まえて、十分な耐久性を持つコンクリート構造物の構築が必要なことや構造物比率が35%に達する霊山IC~福島北JCT間の工事が最盛期を向かえることから、平成27年度から勉強会を有識者やインハウスエンジニア、現場関係者で行っています。
 最近ですと、今年6月に現場のフィールドということで、大学の先生や発注者、事業内にいる関係者を集めて、取り組みの事例紹介や現場見学の勉強会を行いました。50人の関係者が集まり、自らの成果を披露し合い、現場品質をさらに高めていく効果をもたらしました。
 ――耐久性向上のための対策ということでは東北地整は平成27年12月に「コンクリート構造物品質確保の手引き(案)」を発行し、各地で実践されています
 石井 手引きは局内の委員会や大学の先生方にはいってもらって、平成27年度にできましたし、山口県方式などを援用、拡充した三陸の取り組みがありましたので、その知見を桑折でもフルに使って行っていきます。施工の基本事項の遵守に用いる施工状況把握シート、打設リフト毎の施工改善を目的とした表層目視評価に加え、施工中に生じる不具合の抑制と緻密性の向上を企図してシートなどよる追加養生も行っています。
 また、ひび割れ抑制鉄筋を現場に合わせていろいろパターン化しています。いずれの温度解析でもひび割れが発生するということでしたので、膨張材をミックスして、それを入れる、入れない、あるいはひび割れ抑制鉄筋のピッチを150や300に変えたりしています。



温度応力解析およびそれを受けての対策

 ――実際にどのような解析を行い、そのようなパターンを決めたのですか。また、ひび割れ抑制鉄筋を採用したことによって、以前と比べてどのようなメリットがあるのかを教えてください。手戻り工事の減少や、コストダウン効果、ひび割れ抑制効果について示してください
 石井 桑折高架橋の中で最初に工事着手した工区がP10~P15です。その中でも最初に着手したP10で試験施工を実施しました。
 部材厚さが3mを超えるマスコンクリートであったため、FEM解析を行いました。その結果を受けて、ひび割れ抑制鉄筋の適切な鉄筋量の検討や膨張材の添加の要否の検討を行いました。具体的には、橋脚の柱を現場打ちする際、第2リフト部の施工条件を膨張材有、ひび割れ抑制鉄筋無で施工を行った結果、鉛直方向に0.04mm幅と僅かですが微細なひび割れが生じました。これにより膨張材を投入し、打設温度も抑制しましたが、それだけでは、ひび割れが十分に抑制できないので、ひび割れ抑制鉄筋が必要であることが判りました。
 これを踏まえて今後は、膨張材の添加は外部拘束の大きい箇所として1回目のリフトのみにし、2回目以降はひび割れ抑制鉄筋で対応していこうと考えています。また透水型枠を活用するとともに、養生期間もしっかりとり、シートで追加養生していきます。夏場や温度が上がる時期については内部応力の低減を図るためパイプクーリングを併用して品質を確保しています。
 またこの工区は碁盤状のパネルの上に不織布のようなものをつけているLHTシート(保温と養生両方の効果を有する)というものを採用しています。コンクリート打設中に余分な養生水を効率よく出すという効果を有します。

杭長は最長30m前後
 A2橋台部にネガティブリフレクションの懸念

 ――現場は田圃が多くを占めており軟弱地盤が予想されていますが基礎形式は
 石井 φ1,500mmの場所打ち杭を採用しています。杭長は最長30m前後です。
 ――山形の田園地帯で恐らくネガティブフリクションを起こすところがあるので、桑折の現場で、農地が傾くのが一番怖いと思います。板を入れるなどの対策をした上で行っているなど、基礎の対策を知りたく思います。また、延長も盛土との経済比較により決めたようですが、どのような盛土形式の経済比較の結果によるもので、桁橋のほうがいいとなったのか。盛土ですと風を通さなくなり、農地に悪影響があるので、盛土はあまりしないほうがいいというのもあると思いますが、それも含めて教えてください
 石井 A2橋台部のみネガティブリフレクションの懸念がありましたので、地盤改良をした上で杭を打設しています。
 盛土との経済比較についてはA1橋台の位置決め時に行いました。当初は直下の桑折町道を移設し、橋長を現行案より短くして建設コストを下げる案で考えていましたが、町道の直下にある送水管を移設する費用が想定より高く、そのため町道を跨ぐ形にし、A1の位置を下げました。その結果当初設計より3,000万円程度コストを縮減できる見込みです。送水管の切りまわしの手間も要らないので工期も短縮できます。


町道を跨ぐ形にし、A1の位置を下げた。またP17橋脚は鋼製ラーメン橋脚としている

 ――門型の鋼製ラーメン橋脚が1基ありますが、採用している理由は
 石井 直下の桑折町道1174号線にはガスパイプラインが占用されており、A1検討時と同様に移設は非常に困難かつコストを要します。そのため径間割の検討を行い、かつ経済性も考慮した結果、当該橋脚(P17)を鋼製ラーメン橋脚としました。
 ――鋼桁部の防食や地覆・高欄とりわけ新幹線直上の塩害・剥落対策は
 石井 鋼桁部の防食は従来同様重防食塗料を採用しています。

桑折高架橋 PCaPC床版からRC床版へ変更を検討
 エポキシ樹脂塗装鉄筋は目地部のみに限定

 ――桑折だけではありませんが、耐久性向上の施策としてエポキシ樹脂塗装鉄筋など、コンクリートの長寿命化に対して、どのような防食的な対策を行っていますか。桑折に関して、床版の高耐久化も検討していると聞いています。高耐久性鉄筋や高炉スラグ、フライアッシュの使用や、特殊な防水工の採用についてはいかがでしょうか。
 石井 床版については、今年度に彦平橋において、塩化物イオン浸透抑制ならびにASRの抑制効果の高い高炉セメントを使用した高耐久床版を試験施工しました。同地では当初PCaPC床版を考えていましたが、手が足りてきたことや、コストなどを考え220mmの現場打ちのRC床版で施工する変更を検討しています。エポキシ樹脂塗装鉄筋についても目地部のみに限定して使用することを考慮しています。また、新幹線を跨ぐ個所とその前後の3径間については維持管理性を考慮してグレーチング床版を採用する予定です。
 防水工について、一般部については従来のアスファルト防水を考えていますが、端部のみ何らかの対策を行うことも検討しています。防水ではありませんが床版上面の純被りは、従来の30mmを40mmに増厚することを検討中です。

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