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57号北側復旧ルートも建設へ

九州地方整備局 阿蘇大橋の架け替えに尽力

国土交通省
九州地方整備局
熊本河川国道事務所長

森田 康夫 氏

公開日:2017.03.30

延べ10,000人のTEC-FORCEが復旧を後押し
 応急復旧 橋梁前後の段差解消が主

 国土交通省九州地方整備局は、昨年4月に発生した熊本地震以来、震災復旧にまい進している。震災直後は管理国道の復旧工事はもちろん、その後もミルクロードの啓開作業や俵山トンネルルートの暫定復旧、阿蘇大橋の架け替えや、国道57号北側復旧ルートの工事着手など、さまざまな事業に着手している。そうした話題を中心に熊本河川国道事務所の森田康夫所長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)

 ――2016年4月に発生した熊本地震は、28時間の間に震度7が2回起きたかなりレアなケースの地震だったわけですが、被災状況と、初動の状況を教えてください。
 森田所長 熊本河川国道事務所が管理している国道3号、57号、208号については、4月14日の前震の時はほとんど被害がありませんでした。震度4以上だったので、管内にある全ての国道維持出張所がすぐに緊急点検を行いましたが、管理(直轄)国道に大きな変状はなく、交通を止める必要もありませんでした。
 直轄国道は大丈夫だったので、初動では九州地方整備局全体として、熊本県庁や熊本市、益城町などの自治体支援に動きました。前震の段階で、被害の大きかったところに災害対策現地情報連絡員(リエゾン)や緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)を派遣するとともに、照明車など災害対策用車両も送りました。また、事務所の庁舎は耐震上安全でしたから、地域住民の方を受け入れて、毛布やペットボトルなどを提供することはすぐに行いました。
 16日1時25分に本震が発生しますが、前震の段階から、TEC-FORCEが全国、北は北海道開発局から南は沖縄総合事務局まですべての機関から熊本(九州)に入っていました。TEC-FORCEは熊本河川国道事務所への支援もありますが、県や被災した自治体の支援に入ってくれたことが大きかったです。
 TEC-FORCEの人数が一番多かったのが4月22日で、約440名が被災地に入ってきてくれました。延べにすると、10,000人以上が入ってきてくれて、被災地調査を実施してくれました。


地震発生後の初動対応(熊本河川国道事務所提供資料より抜粋)

 前震の段階で、九州縦貫自動車道が止まり、GW前まで植木IC~八代IC間が通行止めになりました。熊本県の交通の縦軸である九州縦貫自動車道が止まると、熊本都市圏に北から入ってくる車は植木ICで全部降りてくる。そうすると、植木ICに接続している国道3号が大渋滞を起こして、その渋滞解消に頭を悩ませました。また、益城町手前の補助国道443号が大きく陥没したので、その修復も手がけていました。
 そのような状況のなかで本震が発生しました。国道57号が南阿蘇村立野地区で大規模な斜面崩壊により通行止めとなっただけでなく、国道3号、57号は熊本都市圏を中心にしてかなり大きな被害が出ました。特に顕在化したのは橋梁前後の段差です。明らかに10センチ以上の段差ができているところがありました。九州縦貫道が通行止めになっているので、熊本県の交通の南北軸である国道3号や57号東バイパスを止めるわけにはいかないものですから、直轄国道をできる限り早く、そしてしっかりと通すことが私どもの第一ミッションとなりました。
 何箇所もの修復を同時並行で行い、本震発生後24時間以内には、国道57号南阿蘇村立野地区の大規模斜面崩壊箇所を除いて直轄国道は全て通行可能にしました。

直轄国道は本震から24時間以内に応急復旧
 ミルクロード(迂回路)は一週間で大型車通行可能に

 ――本震から24時間以内に、修復を完成させたのですか
 森田 そうです。
 そして、二つ目のミッションは、熊本県の東西交通の軸である国道57号が立野地区を境にして止まってしまったことで、その迂回路をいかに確保するか、ということでした。最有力ルートとしては、ミルクロードと呼ばれる県道(北外輪山大津線)がありましたが、ここも山が崩れて、たくさんの被災箇所がありました。しかし、躊躇している時間はありません。県に了解をとり啓開作業に着手しました。そして、本震の2日後には、4トン以上の大型車を除いて通行可能にし、最終的には1週間以内に大型車を含めて通行できるようにしました。


ミルクロードで国道57号の迂回路確保(熊本河川国道事務所提供資料より抜粋)

 本震では国道57号だけではなく、県が管理している県道熊本高森線(俵山トンネルルート)も通行ができなくなり、熊本県の東西軸が完全に止まってしまいました。その迂回路候補としてグリーンロードと呼ばれる山側の村道がありましたが、これも被災をしていました。こちらも啓開作業を約1週間で行い、4月22日には交通開放を行いました。さらに、益城町に向かう南北軸の国道443号にも大きな陥没がありましたが、こちらも4月20日には応急復旧が完了しています。


グリーンロードの啓開(国土交通省発表資料より抜粋)

 約1週間で東西軸のネックになる部分、広域の迂回路を確保するというミッションをこなしていました。以上が初動対応として一番力を入れたところです。

地元建設企業 担当区間は自分で管理するくらいの気概
俵山トンネルルートは架け替え不要 耐震対策が効く

 ――話をお聞きして一番驚いたのは、損傷の度合いはさまざまだったと思いますが、国土交通省は1日で段差を修復したことです。熊本県や熊本市は段差の修復に苦慮していた感じがありました。
 森田 県も市もさまざまな形で災害時の対応はされていると思いますが、私どもが管理している直轄国道は交通量の多い重要路線ばかりです。延長にして300km強。これらの路線については毎年、地元建設企業と私ども熊本河川国道事務所との間で災害協定を結んでいます。前年度末に公募して、区間(10km前後)毎に担当の企業を選定、災害が発生した場合は、選定企業に修復などを任せるという形の災害協定を年度当初に結ばせてもらっているのです。そのため、地震等が発生した段階で、すぐに点検をして問題があったら修復に入るという、臨機の体制が区間ごとに組めています。また、協定締結企業のモチベーションも高く、担当区間は自分で管理するくらいの気持ちでいてくれています。
 橋梁前後の段差修復は、段差を埋めて舗装をし直す工事となりますから、いかに資機材を早く現場に持ち込めるかということが重要になります。協定締結企業は、普段からそういうことを準備してくれているのです。
 ――NEXCO九州道の木山川橋、秋津川橋ではレベル1地震対応の耐震補強で、まだレベル2対応の対象としていませんでした。しかし、木山川橋では主桁から脱落しましたし、秋津川橋も損傷が大きくなりました。はからずもレベル2対応の橋とレベル1対応の橋で明確に有意差が出たという感じを受けますが、国土交通省では3号、57号は、ほぼレベル2対応していたということですか
 森田 その通りです。
 ――そのことが大きかったですね。今後は段差を起こさないということと、起きてもすぐに修復対応できるということが、今回の地震ではっきりしたことでしょうか。
 森田 段差はどうしても起きます。そのときにいかに通行止めを最小限にするか、また、そのために如何に準備をしておくかということが重要なポイントになるのだと思います。もちろん構造的にどう担保しておくかということもあります。


段差は起きたが、通行止め時間を最小限に抑えた

 木山川橋の事象は、確かに課題にはなったと思っています。ただ、今回の地震は震度が非常に大きくて、しかも2回も揺れた。しかし、府領第一橋を除けば落橋はしていないわけです。その意味では、これまでの耐震対策は非常に効果があったのだろうと思います。実際に、俵山トンネルルートの橋もまだ工事中ですけど、ほぼ使えるわけです。


落橋した府領第一橋/国道57号の跨道橋でもロッキングピアが傾斜した

 ――あとは阿蘇大橋の落橋ぐらいですかね。
 森田 阿蘇大橋の落橋原因については、斜面崩壊土砂との関係も含め、正式な見解は示されていません。


落橋した阿蘇大橋

 国直轄で管理をしている橋でいうと、いくつかの橋で、支承部分に損傷は出ましたが、大きなダメージをうけて、長期間通行止めを余儀なくされることはありませんでした。

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