道路構造物ジャーナルNET

今後年間700~800億円コンスタントに執行していく必要あり

NEXCO中日本 大規模更新・大規模修繕事業は総額1兆円超

中日本高速道路株式会社
取締役常務執行役員 保全企画本部長

猪熊 康夫  氏

公開日:2016.05.19

  中日本高速道路は今年度からいよいよ大規模更新・大規模修繕事業を本格化する。中でも床版取替は大きなウエイトを占めるが、交通量、技術者の確保などその着実な施工には多くの課題を有することも確かである。それに対して、同社がどのような体制、契約方式を駆使し臨もうとしているのか。また、施工会社や各材料メーカーにどのような手法を求めているのか。猪熊康夫・取締役常務執行役員保全企画本部長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)

安全性向上3カ年計画は無事完了
 2,450億円を投じて各種対策を実施

 ――大規模更新及び大規模修繕の全体計画および進捗状況は。中日本高速道路は安全性向上3カ年計画を進めていましたが、その進捗も含めてお答えください
 猪熊 安全性向上3ヵ年計画では、2013~2015年度にかけて約2450億円を投じて対策を行いました。2015年度までに完了する対策は道路上などに設置された重量構造物、例を挙げるとトンネルの天井板やダクトなどの撤去や移設、ジェットファンや標識柱、トンネル内の大型標識などの対応が1つ、もう1つは重要交差個所や変状があるところのコンクリートの剥落対策であり本線の交差箇所や、高速道路本橋が県道以上の道路と交差しているところで、剥落の可能性があるものは全てその対策を行います。高速道路のOVに関しても本来管理者に要請して剥落対策をしていただくようお願いしています。もちろん本線を跨ぐランプ橋については全て対策を行います。
 また、3ヵ年以降も継続して実施する対策として、床版の打ち替え、舗装のオーバーレイ、トンネルの照明の交換、通常設備の更新、トンネルの監視設備の設置、などがあり、これらは、継続的に進めていく方針です。
 ――2,450億円という予算は無事消化できましたか
 猪熊 初年度、2年目は計画や設計が多く、最後の年度に工事が集中した結果、約6割の工事を進めることになりました。この3月は規制も多く、お客様には大変ご迷惑をおかけすることになりました。またSAなどの商業施設においても高所に設置している設備や建物本体の補修補強を行いました。

床版取替区間は約74㌔、7,000億円を見込む
 大規模修繕は主桁が約59㌔区間で1,320億円等

 ――大規模更新・大規模修繕の中日本高速道路としての予算的総枠を教えてください
 猪熊 大規模更新は床版取替が約74㌔区間あり、約7,000億円を見込んでいます。桁取替は当社では予定していません。大規模修繕は橋梁床版が約100㌔区間で約390億円、主桁が約59㌔区間で約1,320億円、土構造物が4,977箇所で約740億円、トンネルが約35㌔区間で約700億円をそれぞれ見込んでいます。
 次いで各年度の費用実績ですが、平成27年度は、安全性向上3ヵ年計画を優先していたこともあり、11億4,600万円にとどまりました。今年度は協定ベース(引渡額ベース)で140億円超を見込んでおり、今後は拡大していく方針です。15年間の計画を期間内に完遂しようとすれば平均でも1年当たり700~800億円ずつ執行する必要があります。


中日本高速道路の大規模更新・大規模修繕事業内訳(写真、資料類は以下、全て中日本高速道路提供)

用宗高架橋などを施工
 PcaPC床版で取替、壁高欄もプレキャスト化

 ――今年度の施工予定橋梁は
 猪熊 大規模更新では今年度内に現場が何らかの形で取り組めそうな箇所は5箇所あります(下表参照)。用宗高架橋については 5月18日から床版取替のための車線シフトを行う予定です。同橋は路肩が3㍍と比較的広いために、下り線を通行止めして、上り線は路肩を使って上下2車線ずつ確保(50㌔走行規制)しながら、下り線の既設床版をプレキャストPC床版に取り替える方針です。床版だけでなく壁高欄についてもプレキャスト部材を用いて施工します。また高性能床版防水を施工する予定としています。これは以下全ての床版取替でも共通して施工します。工事の受注者は川田建設株式会社です。


今年度工事に取り組む5箇所

用宗高架橋の位置と工事箇所

同橋の損傷状況

沢底川橋下り線にも着手
 小早川橋も下り線床版取替へ

 中央道岡谷JCT付近の沢底川橋も昨年度の上り線に引き続き下り線の床版取替を行います。同橋は国内で初めてPC連続合成桁を対象とした床版増厚・PC外ケーブル補強の併用工法を行っている橋梁です。ここも5月17日から施工に入っています。工事の受注者はオリエンタル白石株式会社です。


先に施工した沢底川橋上り線の現場

 中央道ではもう1つ諏訪IC~諏訪南IC間にある小早川橋(鋼単純合成鈑桁)の下り線の床版を取替えます。

北陸道は早月川橋と日野川橋で床版取替
 フライアッシュや高炉スラグの採用を検討、エポ鉄筋も使用

 次に北陸道滑川IC~魚津IC間にある早月川橋(鋼連続鈑桁)でも既設RC床版をプレキャストPC床版に取り替えます。施工時期は今秋を考えています。規制方法は片側を止めて対面通行し、(上下いずれか)片側の床版を全面取替する工法を考えています。北陸道は凍結防止剤を散布する環境にあるため、塩害やASR対策として、北陸電力の発電所から出るフライアッシュ、または高炉スラグを混入したコンクリートの採用を考えています。合わせてエポキシ樹脂塗装鉄筋も使用する予定です。


日野川橋の床版下面

 北陸道ではもう1つ今庄IC~武生IC間にある日野川橋(鋼連続鈑桁)についても既設のRC床版をプレキャストPC床版に取替を行います。規制方法や施工手法、使用材料などは早月川橋と同様と考えています。工事の受注者は、株式会社日本ピーエスです。
 床版防水などをはじめとした大規模修繕分野についてもできるだけ多く取り組めるよう規制計画や施工計画を検討し対応を進めています。

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