道路構造物ジャーナルNET

現実に即して社名を変更 平成34年度までに売上倍増目指す

ヤマダインフラテクノス 構造物総合補修補強会社への脱皮図る

ヤマダインフラテクノス株式会社
代表取締役社長

山田 博文 氏

公開日:2016.01.07

 鋼橋の既存塗膜除去において循環式エコクリーンブラスト工法で知られる山田塗装は、昨秋社名をヤマダインフラテクノスに変更した。事業範囲が従来の鋼構造物保全からコンクリート構造物保全も包含する形で広がっている現実に即したもので、「構造物総合補修補強会社」化すべく、名称を革めたもの。その決意と進むべき方向性について山田博文所長に聞いた。(井手迫瑞樹)

80件約35万平方メートルで実績
 循環式エコクリーンブラスト工法

 ――社名を変更しましたね
 山田社長 当社は昭和28年に現在の東海市内に山田ペンキとして創業し、40年1月に山田塗装に社名変更するとともに法人登記しました。東海市は新日鉄住金の名古屋製鉄所が創業する鉄の街で知られています。鉄とともに歩んで来た街です。そうした中で当社は「鉄は錆びる。だから守る」をモットーに鋼構造物の補修業者として歩んできました。技術力が評価され、中部電力の浜岡発電所など非常に高い能力が要求される個所のメンテナンスでも実績があります。また、PCBや鉛等を含む、鋼橋を主とした鋼構造物の既存塗膜剥離技術として開発した循環式エコクリーンブラスト工法は、おかげさまで中部、東北を中心に80件、約35万平方㍍で用いられています。
 近年、当社は鋼構造物だけでなく、コンクリート構造物の補修補強にも進出、エコクリーン研掃ロボなど独自技術も開発し、積極的に受注しています。今回、「ヤマダインフラテクノス」に社名変更したのは、そうした会社の「構造物総合補修補強会社化」に対応したものであり、鉄を守るの精神に加えて、構造物を守る、人を守る、環境を守るの4つの守るを柱に事業を展開していきたいと考えています。


鋼・コンクリートを問わない補修補強会社を目指す


施工実績(上段左:衣浦大橋(愛知県)、上段右:宮川大橋)
下段左:三渡大橋(国土交通省中部地方整備局)、下段右:豊田大橋(豊田市)

平成34年度には売上倍増を目指す

 ――ここ数年の経営実績と中期的な経営目標について
 山田 平成24年度は売上高約11億7700万円、当期利益約4137万円、以下25年度が13億5500万円、8100万円、26年度が20億円、1億円となっています。また、今年度は売上高18億円程度となる見込みですが利益は昨年度と同程度を見込んでいます。
 長期的には元請から、技術力を有する一次下請業者に移行すること、新技術や新工法を積極的に開発、採用していくことなどにより平成34年度には35億円と当期のほぼ倍の売上達成を目指します。今後は新設が減少していく一方で保全事業は緩やかに増勢傾向になることは否めません。その環境下で35億円という数字は決して達成不可能ではないと考えています。
 ――そうした数字を達成する根拠を具体的に
 山田 先述したように、民間企業の設備投資および公共事業費が減少する中で、当社は土木構造物の長寿命化に伴う予防保全や耐震対策に係る補修工事に特化した新技術・新工法による差別化を図ってきました。具体的には鋼構造物の塗膜剥離工法として「循環式エコクリーンブラスト工法」、コンクリート構造物の躯体研掃としてエコクリーン研掃ロボがあります。
 また、研究中の技術として鋼構造物の疲労損傷対策工法「ショットピーニング」や従来不可能とされていた既設における無機ジンクリッチの施工技術開発に取り組んでいます。
 以上のような展開を進めてきた結果、国土交通省などを中心とした大型案件の安定受注につながっており。こうした路線を継続、深化させていくことで数字を達成できると考えています。
 ――個別の技術、まず循環式エコクリーンブラスト工法について
 山田 同工法は鋼橋の塗膜除去、素地はしと調整を1種ケレンで行う工法でありながら、ブラストによって生じる産業廃棄物の量を従来工法の1/50に減らすことができる画期的な工法です。ブラストに用いるグリット材は繰り返し投射しても性能の落ちないスチールグリットを採用しており、一部でウエットな環境が求められている箇所では、6000回投射しても性能が落ちない硬度を有し、なおかつ非鉄のため錆を惹起しないステンレス系のグリットを用いています。こうしたグリットを鋼部材の表面に高速で投射し、既存塗膜を剥ぐとともに(塗り替えのための)アンカーパターンを付けていくわけですが、従来の工法ではグリットと塗膜滓が混ざって落ちてしまい、よりわけができない状態になり、廃棄物の量が大幅に増加してしまいます。こうした事態はポリ塩化ビフェニール(PCB)や鉛などを含んでいる塗膜を処理する場合、非常に大きな問題となります。当工法は投射したグリットと塗膜滓をその場で吸引し、機械内部でグリットと塗膜滓によりわけグリットを再投射する機構を開発することで廃棄物の量を劇的に減らすことを可能にしました。こうした工程が評価され、現在は中部、東北地方を中心とした国内全域で採用される事例が増加しています。


循環式エコクリーンブラストの施工状況

 支承周りや隅角部、桁上フランジ面など狭隘部や施工しづらい箇所は、先端を短く切ったノズルやL字型のノズルを使ってブラスト施工することで、既存塗膜を確実に除去しつつ、塗替え塗装に必要なアンカーパターンを形成できるよう細部にも拘っています。
 また、既存塗膜がPCBや鉛を含んでいるため、施工者の防護には最大限の配慮を行っています。ブラスト施工者だけでなく、粉塵やスチールグリットを回収する作業者も同様に防護服を着用し、防塵マスク内は呼吸用エアラインホースを入れて加圧することにより、マスク外の鉛を含有した粉塵を作業者が吸い込まないようにしています。施工個所内の空気が1立方㍍あたり15分で置換できるような換気量を有する集塵機を入れて労働者の安全衛生に配慮しています。加えて、外部に対しては粉塵が漏れないように、通常では二重のカバー(ブルーシート)を三重にし、万全を期しているほか、作業後のエアーシャワー施設なども完備し、外部への有害物質の漏出を防いでいます。こうした安全設備は原子力施設のメンテナンスで培ったもので、これも他社にない当社の強みであると言えます。

騒音、粉じんを抑制して躯体表面を研掃
 エコクリーン研掃ロボ

 ――エコクリーン研掃ロボ
 山田 特殊な形状の鋼橋の塗装塗り替え(主塔やアーチを有する)やコンクリート橋脚の耐震補強などを行う際は、躯体表面の研掃が必要ですが、従来工法では騒音や粉塵がどうしても発生してしまいます。
 同工法は、ショットブラストによる研掃部位を吸着カバーで覆い、その中で表面処理を行うことで静粛性と粉塵の発生を抑止するものです。具体的には研掃幅は300㍉で騒音を65dbにまで抑制しつつ、粉塵を外部に出さずに施工できます。
 本体重量は120㌔で、自重の半分を集塵機の吸着力で支え、半分をワイヤーによって支えており、ワイヤーの範囲内を自由に移動できます。専用の大型架台を組むことなく自動昇降しつつ研掃可能なため均一な仕上がり面を確保することができ、後工程の品質安定につなげることができます。集塵機や発電機は桁下に分離しているため、従来工法のように足場内をそうした機械が占有することもなく、足場の簡素化も可能な工法と言えます。


エコクリーン研掃ロボ

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