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あと施工アンカーの種類は3つに大別

創立20周年を迎える 日本建築あと施工アンカー協会

一般社団法人 日本建築あと施工アンカー協会
会長

山本 忠男

公開日:2015.05.16

 日本建築あと施工アンカー協会は創立から20年を迎えた。接着系アンカーの流通品の9割は同協会の認証品であるなど、存在感を増している。一方で、笹子トンネル天井板落下事故などを契機に対処しなければならない課題も増加している。山本忠男会長にあと施工アンカーの技術動向、協会の果たすべき役割などについて聞いた。(井手迫瑞樹)

 ――日本建築あと施工アンカー協会の概要から 
 山本会長 当協会は、建築分野のあと施工アンカー協会として創立し、20年を迎えています。
 あと施工アンカーは金属系アンカー、接着系アンカー、その他のアンカー類の3つに大別できます。
 金属拡張アンカーの特許を調査してみると、日本では1923年に「埋込取附具」と言う名称で出願されております。
 新聞広告には、52年には当時の新丸ビルなどでも使われたことが記載されております。その後、日本経済の発展とともに、急速に国内で普及が始まり、各種の金属拡張アンカーが開発されてきました。
 接着系アンカーは、ドイツのフェアバンド社が開発し、1959年に特許出願されており、取付け金物の支持アンカーやブラケットの取付けなどに使用されてきました。その後、学校や公共施設などの耐震補強工事などに使用されるようになりました。金属系は施工方式により打込み方式と締付け方式に分かれており、それぞれの適した用途で使用されております。


                     あと施工アンカーの種類(左)と金属系アンカーの詳細(右)

 ――接着式アンカーは
 山本 カプセル方式と注入方式にわかれまして、カプセル方式は、主剤と硬化剤が分離され容器に収容されているのもで、
 注入方式のカートリッジ型は主剤と硬化剤を別々に封印して先端のノズルで混合し注入するものです。
 あと施工アンカーの適用対象としては建築全般、土木分野では橋梁の落橋防止装置や防潮堤、高欄、フェンス、トンネルのファンなどの付帯設備の取り付けに多く使われています。


                    接着系アンカー(左)とその使用例(右)

累計52,700人の有資格者を認証定

 ――協会が担っている事業は
 山本 まず施工者の資格制度があり、資格試験は、1997年に開始し、2013年末には累計で52,700人の有資格者が生まれています。受験者の増加に伴い、試験合格者の業種も建設、設備、機械設置などの会社の技術者が取得することが多くなっています。


                       資格試験・技術講習申込者推移(左)、資格合格者数累計(右)

 ――資格の種類は
 山本 第2種施工士、特2種施工士、第1種施工士の施工資格および施工管理の資格として技術管理士、施工・管理両面の資格である主任技士という形の5つとなっています。
 具体的に申し上げますと、第2種施工士はねじ径12㍉以下のあと施工アンカーを、決められた施工計画により、通常の用法に従って、適切に施工できる技術能力を有することを認める資格です。ただし、あと施工アンカーの選択、母材の判断を伴うもの等は対象外となります。
 第1種施工士は、ねじ径のサイズに関係なく、決められた施工計画により、あと施工アンカー工事を適切に施工できる技術及び施工管理能力を有するもの。アンカーの引張試験を行い耐力試験結果に関する評価、あと施工アンカーの選択、母材の判断等の技術能力を有するということを認める資格です。


                          各資格の詳細

 ――管理技術者の資格は
 山本 技術管理士は、工事現場におけるあと施工アンカー工事を適正に実施するため、当該工事の施工計画および施工図の作成、工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工管理を的確に行なうために必要な技術能力(あと施工アンカーの耐力試験結果に関する評価を含む)を有するということを認める資格です。
 主任技士は、第1種施工士と技術管理士の両資格の技術能力を有する、いわばあと施工アンカー技術者のエキスパートです。
 取得資格の割合は第2種施工士が最も多く73%に達しています。よりグレードの高い第1種施工士の割合は15%に留まっています。今後はこの第1種施工士の増加が望まれます。

接着系アンカーは流通量の9割が協会認証品

 ――次に認証事業について
 山本 もう一つは製品を認証する事業です。あと施工アンカーを製造している会社は22社あります。金属拡張アンカーは全体生産数量(本数ベース)の42%、接着系アンカーが5%、その他のアンカー類が53%となっています。ただし金額ベースでいうと金属拡張アンカーが51%、接着系アンカーが33%、その他のアンカー類が16%となります。
 製品認証の評価認証の種類はタイプA、B、Cの3つがあり、標準的な15項目を満たすものがタイプB、16項目以上のすべてを満たすものをタイプA、最低限必要な指定項目を満たすものをタイプCとして認証しています。
 ただし、金属拡張アンカーでは認証製品は市場流通量の4割しか占めていません。接着系アンカーは逆に9割以上が認証製品で占められています。
 金属拡張アンカーは種類も多く、用途によってはサイズも大きなものがあることから認証を取りづらいという点があるように思います。


            認証製品の年度別推移

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