道路構造物ジャーナルNET

コンクリートの品質管理には「山口方式」を導入

復興道路を1日も早く供用したい

国土交通省
東北地方整備局
南三陸国道事務所長

佐藤 和徳 氏

公開日:2015.04.01

設計押しこみ力を10kN/箇所に設定
 箱桁内の導水を禁止

  ――排水流末の適正処理について
 佐藤 伸縮装置については非排水機構(止水材部)について押し抜き力への照査を行います。設計押し込み力を実測値より想定して10kN/箇所に設定し、それに耐えうるものを採用します。また、一部で採用している箱桁内の導水も排水管の損傷により内部に滞水し、内部の鋼材を腐食させる可能性があることや、損傷自体を見つけにくいことから、箱桁内には配水管を設けないことを基本としました。箱桁内に導水を設けるのは景観的に良くなるからですが、反面損傷が分かりにくく、発見した時には箱桁内部が(排水管の損傷による漏水によって)大きく損傷しているというケースもあったためです。

 また、地覆からの伝い水により損傷することを防ぐために地覆下部に水切りを設置しています。同様に橋座に滞水しないように排水勾配を3%程度確保して(水を落とし)桁端部が常に湿潤状態になることにより、腐食などの損傷を起こさないよう配慮するとともに、点検・補修用として桁端部に500㍉程度の空間を確保、路上から降りていける検査路も設けています。

 また、桁端部についてのみ耐久性を向上のため金属溶射を検討しています。

施工状況把握チェックシートを導入
 4点満点中3.5点以上で合格

 ――コンクリートの初期欠陥の防止対策は
 佐藤 山口県で効果を上げている施工状況把握チェックシートを活用し、施工の準備段階および施工中に監督員が立会いし、施工の基本事項が遵守されているどうかを確認しています。
 ――山口県のコンクリートひび割れ抑制システムの導入ですね。山口県庁の二宮純氏(土木建築部審議監)、横浜国立大学の細田暁准教授、徳山高専の田村隆弘教授などの主導の下、構造物の品質向上に大きな成果を上げたと聞いています。具体的にはどのような項目ですか
 佐藤 いたって基本的なことの追求です。①打ち込みが完了するまで連続して打ち込んでいるか、②下層が固まり始める前に上層を打ち込んでいるか、③バイブレーターは下層に10㌢程度挿入しているか、挿入間隔は50㌢以下としているか、④バイブレーターでコンクリートを横移動させていないか、⑤コンクリートの露出面を湿潤状態に保っているか、などです。
 また、脱型後の対策としてコンクリート表層品質の評価方法を導入しました。出来上がったコンクリートの表層品質を評価するため、目視評価を導入し、4点満点で各項目を評価するものです。加えて必要に応じて透気試験、吸水試験などを試行導入する予定です。
 ――目視の主な確認事項は
 佐藤 ①ピーコン下の沈みひび割れの有無、長さ、②打ち重ね線の有無、明瞭度合い(不明瞭なほうがよい)、③気泡の有無、大きさ、発生場所、④型枠継ぎ目のノロ漏れの有無、⑤面的な砂すじの有無などです(詳細は別表)。
 いずれも4点満点で評価し、3.5点以上取れることを目標にしています。
 残念ながら三陸道のコンクリート構造物の現況はほぼ山口県が施工状況把握チェックシートを導入する前の状況と同じです。これからはシートを導入することで改善するとともに、バイブレータのかけ方、ブリーディングが出にくいようなコンクリートの配合、型枠打ち継ぎ目からのノロ漏れの防止などを工夫していきたいと考えています。

養生を1週間以上に長期化
 僅かな施工期間で100年の健全度が決まる

 ――コンクリートの密実性の向上は
 佐藤 トンネルなどにおいては施工サイクルを早めるために18時間程度の養生時間でセントルをスライドし、養生を完了していましたが、それでは透気係数を判定すると劣評価しかでません。そのため養生期間を外気や日照の影響を受けやすい坑口部のみ1週間程度に長期化させるよう指導しました。そうすると透気係数は向上し、品質が飛躍的1ランク上に向上させることができます。橋脚などの施工でもビニールシートなどでトンネル同様、打設後1週間以上養生させています。今までのコンクリートは必ずしもその能力をめいっぱい発揮させるような施工を行っていなかった、その結果が品質の悪いコンクリート構造物となっていましたが、今回奇を衒うのではなく、愚直に養生すること、それだけを突き詰めればコスト増を伴うことなく、密実で塩害や凍害にも強いコンクリートを実現できると考えています。


                    管内建設中トンネル一覧

 ――一部のゼネコンでは養生しつつ上部などから水を供給し内部の湿潤雰囲気を一定に保ち、より品質の高いコンクリート構造物を実現する技術も導入しています。
 佐藤 そうした技術は有効だと思います。特にトンネルの打ち継ぎ目部はコンクリートが薄くなりやすく損傷しやすくなっています。そうした個所に手厚く養生することで、損傷が発生しにくくなると考えます。先ほど申しましたように発注ロットを大きくしていますので、もし、長大トンネルの一カ所で剥落が起きれば、長大な区間を緊急点検しなければいけません。それを避けるためにも打ち込み・締め固めの1日とその後の数週間の養生で「向こう100年の健全度が決まる」という意識を持ちながら施工することが重要と考えています。
 ――鋼橋の防食は
 佐藤 重防食塗装耐候性鋼材(桁端のみ塗装、他は裸使用)といった従来の手法を踏襲しています。

4種類の能力を有した技術者を配置
 事業促進PPP

 ――事業促進PPPについて
 佐藤 事業の立ち上げのときに設計と用地交渉と関係機関の協議を同時に進めなくてはならず、そのために事業管理、設計、用地、施工の4種類の能力を有した技術者を一緒にして工区ごとに配置しています。
 ――具体的な構成は
 佐藤 コンサルタント(構造物設計、用地交渉)と施工会社のJVで構成しています。
 ――現在の状況は
 佐藤 状況に応じて工区ごとに必要な分野の人員を拡充しています。現在、当事務所の人員(国土交通省所属)は41人しかいません。その下にPPPのメンバーを配置しています。PPPの人員は1工区に10人以上を配置しています。
 ――物・人の供給状況は
 佐藤 一時と比べて緩和されました。特に物に関しては三陸沿岸道路専用のプラントも稼働していますし不安はありません。人については、全国から集めてこなくてはならない状況は続いていますが、不足している、という感じはありません。
 ――ありがとうございました

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