道路構造物ジャーナルNET

組織の在り方や人材の育成手法をどう変えていくか

本格的な保全時代を迎えつつある阪神高速道路の技術・人材育成

阪神高速道路株式会社
代表取締役専務執行役員

幸 和範 氏 氏

公開日:2015.02.01

 阪神高速道路は、来年度から大規模更新・大規模修繕事業の着手を目指すなど、本格的な維持管理の時代を迎えつつある。一方で、未だ「ミッシングリンク」も多く、建設事業も多く残している。変革期の様々な課題に人材育成や組織面をどのように順応させようとしているのか。幸和範代表取締役専務執行役員に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)

 阪神高速技術戦略を推進

 ――阪神高速道路の体制強化について
 幸専務 まず、当社の体制ですが、従来からの高速道路事業があり、それに加えて新規の関連事業があります。道路事業はネットワーク整備事業、既存ネットワークの維持管理、そしてこれから行う必要がある大規模更新・修繕事業などに大別できます。


            阪神高速道路の建設事業

 新規の関連事業は、自治体が所管する道路の受託(道路建設や既存道路のマネジメント)、他、今までの蓄積をもとにした国際的な道路インフラの計画、施工管理、維持管理分野への進出、ETCの活用事業、カード会員事業などが該当します。
 そうした全体構想の中で組織の在り方や人材の配置など、グループとしてどのような戦略を持ってあたっていくかということを考えていく必要があります。


            組織の在り方や人材の配置を見直す時期に来ている(写真はイメージです)

 実は、民営化後の2010年に10年後の我々のありたい姿を示してみようということで「ビジョン2020」というものを作りました。それを実現するために道路事業、関連事業をどう進めていくかを構築しました。それが「阪神高速道路技術戦略」です。


         阪神高速道路技術戦略

 ――具体的には
 幸 1つは各事業の方向性を明確にしました。
 個別戦略としては①既存交通ネットワークの効率的活用、②関西圏の高規格幹線道路、地域高規格道路、アクセス道路などの整備、ITSを用いた既存ストックの有効活用などによる大都市その他の都市間を円滑に連絡する機能の充実・強化、交通渋滞の解消、③道路ストックの老朽化が進む中で、定期的な点検により損傷が軽微な段階で補修を行うなどの計画的な道路管理、④CO2排出量削減に寄与する環状道路など幹線道路網やITSの整備、次世代環境対応車の導入促進、⑤アジア太平洋地域での甚大な災害発生時において、現地での復興支援、人道支援、心のケアなどの実施などが「ビジョン2020」では期待されています。


             港大橋                     中之島付近

               天保山大橋                 唐櫃橋
            長大橋も多く技術力の維持・さらなる向上は最優先課題の1つだ

 5つの事業シナリオと3つの機能戦略

 ――「阪神高速道路技術戦略」をもう少し具体的に述べてください
 幸 ビジョンのありたい姿と現状とのギャップとを埋め、実現のための技術視点からの方法論・シナリオを示すもので、5つの事業シナリオと3つの機能戦略から成り立っています。具体的には、事業シナリオは、ネットワーク強化、維持管理、大規模修繕・更新、国内技術外販、海外事業からなり、機能戦略は技術者育成・強化戦略、研究・技術開発戦略、知財・アライアンス戦略からなっています。
こうした戦略は、各技術者に基本的なスキルが身に付いていないと実現できません。そのため、このスキルをどういう風に組織的にあるいは人材育成の面から進めていくかグループ全体としてどのように分担していくかを示しています。
 さて、維持管理の時代と言われていますが、我々はまだ大和川線という大きな事業を抱えており、完成には数年がかかります。またネットワークのより効率的な活用のため国幹道との連絡、あるいは阪神高速道路自体の連絡をより良いものにすべく、JCTの建設も各地で進めています。 
 また、大都市特有のミッシングリンクに対する課題もあります。我々は阪神高速の中の未結節部をきちんと整備しないと、関西の社会や経済の活性化はそのベースのところで力を発揮できないと考えます。例えば、本来つながるべき大阪湾岸道路の神戸の西伸部が約20㌔残っています。これをきちんとネットワークとして整備する必要があります。我々が整備するかは未定ですが。必要な最小限のインフラと考えるべきです。


    ミッシングリンク        大和川線       淀川左岸線延伸部

          大阪湾岸道路(西伸部)

 こうした、関西特有のミッシングリンクの整備について我々が力量を示して参画していくのも我々の大きな取り組むべき内容かなと思っています。そのためには組織として取り組める力を蓄えていること、個々の技術者が技術力を蓄えていく必要があるということでプログラムを構築しています。

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