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RPR、塗膜剥離剤、重曹ブラストを使用 BP-B支承に交換

関門橋 PCBや鉛含む既存塗膜を除去、全高47㍉の条件下で支承を交換

 NEXCO西日本九州支社北九州高速道路事務所は、平成23年度から関門橋のリフレッシュ工事を施工中だ。支承は全数(約千箇所)を取り替える予定で、現在160箇所を完了中、416箇所を施工中。塗装塗替えを平成23年度から施工中で総面積135,000平方㍍、26年度までに22,000平方㍍を完了し、現在さらに63,000平方㍍を実施中。関門橋の既設塗膜は毒性を有する低濃度PCB(ポリ塩化ビフェニール)や鉛(鉛丹含有)含有塗膜を使用している箇所もある。また、一般部や特殊部で1,000μに達する膜厚を有している箇所もある。加えて下地には亜鉛溶射を使用しており、これを傷つけることなく既存塗膜を剥がす必要がある。関門橋中央径間門司側で補剛桁の塗替え、支承の交換、補剛桁の補修などを行っているリフレッシュ工事の現場を取材した。(井手迫瑞樹)


上フランジ側にフィレットをつけた形の板厚19㍉のリブプレートに取り替え

 支承は供用中の不安定な環境下で慎重に取替

同現場には、門司側の主塔に備え付けられているエレベータから入った。中に入ると足場は何段にも渡って組まれており、延べ床面積はここだけで22,000平方㍍に達するという。このため安全性と施工性に優れた「SKパネル」が採用されている(左写真)。これに作業員の安全と、粉じんの外部への飛散を防ぐために養生シートが張られている構造。大空間に足場を組んでいるため、その管理、とりわけ耐風安定性に気を付けてい

る。

 まず、支承交換は現在の線支承の損傷が激しいこと(下写真)から、全てBP-B支承に交換しており、半年間かけて全ての支承を取り替えた。取り替えにあたっては、まず支点上補剛材について、既設支承が腐食や固着により拘束されたことにより、活荷重による大きな応力集中が起こってしまって、大きなひび割れがリブプレート溶接部にほぼ外桁の全支点で出ていることから、その応力集中を緩和するため、上フランジ側にフィレットをつけた形の板厚19㍉のリブプレートに取り替える方法を採用している。疲労亀裂が予想される部位以外は熱影響を抑制するために部分溶け込みで溶接している。補剛材の補修が完了後、支承交換をした。既設支承は全高は47㍉と極めてクリアランスが低い、そこに新しいBP-B支承を入れなくてはいけない、しかも供用中という不安定な状況下であるため、50㌧のロックジャッキで1支承線(8基)ずつ慎重に管理しながら取り替えていった。


補修を完了した支承およびリブプレート



RPR工法を一般部、塗膜剥離剤を添接部など採用

 下地の溶射層を傷めないよう重曹ブラストを使用  

 塗り替えは既存塗膜の除去が重要となる。剥がし残しをできる限りなくすため、事前の既設塗膜の膜厚把握に注力した。

 施工は従来、塗膜剥離剤を使用していたが、施工効率の向上を図るため、外気温などに左右されず、施工後の養生も必要ない電磁誘導加熱方式による塗膜剥離工法「RPR工法」(左写真)を一般部に採用した。現場では3台運用し「最終的に1日当たり100~200平方㍍の塗膜を剥がすことができた」(横河ブリッジ)としている。また、「温度制御可能なため、対象となる塗膜以外を傷めないほか、既存塗料内に含まれる鉛やクロムの融点および沸点以下の温度に制御して剥離できるため、有害物質が気体となり拡散することを防ぐことができ、安全に除去することができた」(横河ブリッジ)としている。従来の塗膜剥離剤では2回~3回塗り重ねる必要があり、塗膜を膨潤させるための養生時間も1回につき24時間以上取る必要があったが、RPR工法では誘導加熱した後すぐに塗膜除去できる。

 ただし、ボルト周りや隅角部などの特殊部はRPR工法では既設塗膜を剥離させることが形状に困難であるため、塗膜剥離剤を塗布して除去している。同部分は膜厚が1,000μに達するため最大で4回以上剥離剤を塗布することが必要になる。今回の現場ではIMI工法もしくはEPP工法を採用している。


塗膜剥離工法の一連の手順①(左)施工前、(中)剥離剤塗布状況、(右)養生状況


塗膜剥離工法の一連の手順(左)養生撤去後、(右)剥離作業

 RPR工法や塗膜剥離剤を使用した後は、下地である亜鉛溶射層を傷つけないよう重曹を研削材に使用した重曹ブラストを採用した。(右写真)採用に当たっては、ブラスト時の吐出量に気をつけた。「重曹は軽い部材なので、使う量が少ないと塗膜が除去できない、しかし多すぎると下地の溶射まで剥がしてしまう。そのため前もって供試体を使って試験した上で実施工に臨んだ」(横河ブリッジ)。重曹ブラストを施工した後の処理は、溜まったまま湿気を帯びると重曹が表面に固着してしまうため、すぐ拭うことを徹底している。

 施工後は280μの5層塗り(有機ジンクリッチ、下塗2層、中、上塗り)のフッ素樹脂塗装に塗り替えた。ここでも「大面積の塗り替えのため膜厚管理に非常に際つけた」(横河ブリッジ)としている。


塗り替え完了部

 施工は横河ブリッジ、JFEエンジニアリング、富士技建、塗膜剥離など塗替え工の一次下請はオーシャンテックなど。(井手迫瑞樹)