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東日本高速道路 鋼3径間連続トラス橋×3連の長大橋

片品川橋上部工の耐震補強 1500㌧ジャッキで支承交換

 NEXCO東日本高速道路高崎管理事務所は、関越道片品川橋の上部工耐震補強を進めている。同橋は昭和60年10月に供用を開始した鋼3径間連続トラス3連からなる橋長1033.85㍍の橋梁で、主構造となるトラス桁は上下線一体の二主構造であり、主構造の横断間隔は16㍍に達する。また桁高は14㍍から最大で25㍍に達する。高橋脚を有する長大トラス橋であることから、最新の耐震設計に基づき、これまでの大規模地震クラスの地震に対しても安全性を確保できるように、①P4、P5以外の支承を免震支承(機能分離型支承)化、②桁高が25㍍あり、ジャッキアップ時の荷重が大きく免震支承への取替が困難なP4、P5支点には制震ダンパー(摩擦型ダンパー)を設置することによって耐震性能を向上、同時にA2支点でも桁端と橋台の衝突を避けるために制震ダンパーを設置、③部分的に許容値を超過する部材については、当て板補強によって耐震性を向上させるなどの耐震補強を行っている。なお各トラス橋の詳細はA橋(A1~P3)が橋長約264㍍、B橋(P3~P6)が約404㍍、C橋(P6~A2)が橋長約366㍍。その詳細について取材した。 (井手迫瑞樹)


片品川橋概要


当初解析

 同橋は上下部工を含む橋梁全体系を解析モデルとした上で、想定される地震波を直接解析に導入する動的解析によって橋梁全体の耐震性能を確認した。

 具体的には、上部工のトラス構造をモデル化した立体骨組による非線形動的解析を行い、その結果に基づいて上部工および下部工の補強方法の検討と補強設計を行った。また、橋梁下の地盤はⅠ種地盤とⅡ種地盤が混合している地盤条件であるため、Ⅱ種地盤上に位置するP4橋脚とP5橋脚の地盤を多点入力モデルとして評価した。

 その結果、橋軸方向の地震力による現況照査では床組部材を除く1,666部材中853部材で許容値を超過していた。中でも下弦材、垂直材、下横構および中間支材の超過率は7割を超えていた。

 このため、解析および予備設計段階では、支点付近の斜材および対傾構を座屈拘束ブレースに交換することを想定して解析した結果、許容値を超過する対傾構は、234部材にまで削減できた。

 

 しかし、座屈拘束ブレースに交換しても、下弦材はなお構成128部材中64部材とちょうど半分が許容値を超過。特にA1橋台付近の応答値は許容値に対して2倍以上の値になっていた。

 このため一部の橋脚の支承を免震支承に変更して解析した結果、下弦材について許容値を超過している部材は8部材にまで減少し、A1橋台付近の応答値は許容値を満足する程度までに低減することができた。


複雑な形状


補強方法(予備設計時)

 片品川橋では上部工の全1,666部材中321部材で何らかの補強を必要としたが、発生応力の大きい部材に関してはウエブまたはフランジ面に当て板補強を設置することにした。また、軸方向圧縮力を受ける部材において有効座屈長が長く全体座屈強度が不足する場合には、部材間にストラットを設けて有効座屈長を短くして補強する設計とした(鉛直材134部材中43部材)。