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千福橋 360tクレーン2台を使って撤去

NEXCO中日本 東名本線上を跨ぐ橋長52mのPC斜πラーメン橋を3夜間で撤去

 中日本高速道路は、東名高速道路の裾野IC~沼津IC間にある静岡県裾野市が管理する跨道橋である千福橋の撤去工事を2月1~3日の3日間、夜間全面通行止めを行うと共に、昼間部も上下線とも1車線規制し、360tトラッククレーン2台を用いて桁中間部の切断中は相吊りしつつ、切断後は個別撤去した。本工事は、国土交通省が進める老朽化した高速道路跨道橋の撤去支援の取り組みの一環として行われ、撤去事業費を中日本高速道路(33%)、裾野市(30%)、国土交通省(37%)がそれぞれ分担した。その現場を取材した。(井手迫瑞樹)


 千福橋は橋長51.3m、有効幅員3.0m、約150tの斜材付PCπ型ラーメン橋で、1968年に供用されてから52年が経過して老朽化が進んでおり、利用者も少なく、近年は閉鎖されていたことから、今回撤去することに決定した。


撤去前の千福橋(NEXCO中日本提供、以下同)

 千福橋と高速道路のクリアランスは15mに達するため、クレーンの選定は重要となる。裾野IC~沼津IC間では、有効な組立ヤードが高速道路上含め近傍にないことから、クレーンの組み立て・解体、跨道橋の搬出を本線上にて実施する必要性があった。

 加えて、養生部材を含む撤去した跨道橋の搬出が一夜間では全てできないため、終日(中間部の片側1車線)車線規制内に仮置きし、切断や搬出するヤードを確保する必要があった。なお通行車両への影響を考慮し、なるべく夜間通行止め期間を短くするため、「施工方法および施工ステップの検討に苦慮した」(元請の熊谷組)。

 こうした課題に対応するため、通行止め計画より、初日に360tクレーンを本線上で組立てし、本線の車線規制内に終日存置すると共に、桁の地覆・高欄部をロードカッターで切断して撤去した。2日目に跨道橋本体の撤去を行うが、コンクリート構造物のすべてが搬出できないため、撤去した跨道橋の一部は本線の車線規制内に仮置きした。3日目は、主桁を支えていた斜材の撤去および、跨道橋撤去に使用したクレーンの解体・搬出及び仮置きしたコンクリート構造物の搬出を行った。なお跨道橋の搬出作業は3日目の夜間で終えることができたが、その養生用の架台までは撤去することができないため、夜間通行止め後も一部日中作業で実施した。


360tクレーンの組立て作業

 次に切断・撤去の詳細である。2台の360tトラッククレーンは、70tラフタークレーン4台を使って組み立てた。撤去ブロックは最大36.9tであった。

 切断は13箇所に湿式ワイヤーソーを設置して施工した(下図)

 中央径間は360tクレーンで相吊りし、テンションを架けた状態で斜πの中間にあるブロックを2分割した。その後、残った両側側径間を両側の360tクレーンで吊りつつ、切断・撤去し、最後に斜材を同様に吊りつつ根元から切断し、撤去した。ワイヤーソーは同時に最大で5箇所ほどを並行作業させて、夜間規制内に工事が終えられるよう工夫した。桁が小規模(桁高最大1.3m、幅員は1.5m)ではあったが切断について1箇所につき1時間程度時間を要した。

張出床版部の撤去

 2日目の夜間は、技術者・技能者合わせて60人以上を動員して施工していた。

 桁中央部の切断時は、中央部と端部を同時に施工するため、中央部のワイヤーソーは作業員を置かず、端部からリモート施工するようにしていた。


写真左端が端部の切断、右端が中央部の切断。中央部のワイヤーソーはリモート施工した

端部の切断状況/中央部の切断が終わり、クレーンによる移動が始まった


2台の360tオールテーレンクレーンによる撤去。ワイヤーソーは付けたままだ

 PC桁の切断ではあるが、定着部が土中に入っていることから施工時の突出があったとしても影響がないことを事前に確認し、養生などは行っていない。


3夜間目は斜材の撤去を行った

3夜間目は主桁の2次切断および搬出も行った

 元請となる熊谷組が、PCの跨道橋を撤去するのは羽島保全・サービスセンター所管の上石津高架橋についで2例目。タイトな工期に対応するため、元請および下請けの多くを、同橋で施工したスタッフで揃え、施工に臨んだ。


桁及び斜材撤去後の状況

 元請は熊谷組。一次下請はヒメノ(跨道橋撤去工)、二次下請はミック(跨道橋撤去工)、三次下請はMERISE(足場)、コンクリートコーリング㈱(PC桁切断)、四次下請はT・プロジェクト合同会社(PC桁切断)、カマダ(PC桁切断)、ヒラタ工業(PC切断)、品田秀喜(PC切断)、平野祐一(PC切断)。(2021年2月10日掲載)