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夜10時~翌朝5時の夜間車線規制下で施工

国土交通省千葉国道 市川大橋鋼床版補強にSFRC+CFRPグリッドで補強

公開日:2020.10.26

 国土交通省関東地方整備局千葉国道事務所は、国道357号市川大橋の山側(東京→千葉)および海側(千葉→東京)の鋼床版補強を行っている。両橋とも板厚12mmのUリブタイプの鋼床版で、スティフナーの溶接部の亀裂およびデッキプレート貫通亀裂が発生しており、その補強のためにCFRPグリッドを厚さ中間部に配置したSFRCによって補強を行うもの。施工は夜10時~翌朝5時の夜間車線規制にて行われている。その現場を取材した。(井手迫瑞樹)

山側 1日40,000の交通量 大型車混入率は約46%
 デッキプレート貫通亀裂が2,000箇所に達する

 市川大橋(山側)は1980年10月供用された橋長405.8mの単純鋼床版箱桁+3径間連続箱桁橋である。鋼床版はUリブで板厚は12mm。設計示方書は昭和47年道示となっている。交通量は平成27年センサスで約40,000台であり、大型車混入率は約46%に達する。片側3車線で歩道に近い側と中央のダブルタイヤが載荷する箇所で、負曲げの影響により損傷が生じており、デッキプレート貫通亀裂が2,000箇所、スティフナーの溶接亀裂が600箇所で生じていた。平成24~26年度にかけて当時損傷していた箇所を当て板補強(損傷個所に板厚12~15mmのプレートを高力ボルトで締める形で補強)しているが、今回さらにSFRCとCFRPグリッドによる鋼床版上面補強を行っている。

 同海側は1977年10月に供用された5径間(単純+3径間連続+単純)鋼床版箱桁橋で、山側と同じく鋼床版はUリブタイプの12mm厚を採用している。交通量は平成27年センサスで約54,000台であり、大型車混入率は約40%に達する。設計示方書は昭和47年道示。山側と同様の理由により損傷が生じているが、交通量が多いにも関わらず、デッキプレート貫通亀裂は250箇所と少なく、溶接部の亀裂は1,300箇所となっている。平成28~30年度の3年間でストップホールや当て板などの対策は完了しているが、山側と同様、SFRCとCFRPグリッドによる鋼床版上面補強を行っている。
 山側は2017年度から補強を開始し、2019年度までに2,800㎡の施工を完了しており、今年度に行う2,030㎡の打設をもって橋梁全体の補強を完了する。海側は2019年度から補強に着手し、同年度に1,500㎡を打設、残り3,100㎡を2020・2021年度の2年間かけて補強していく方針だ。

超速硬SFRCを75mm厚で打設
 深夜にも関わらず交通量は多い

 さて、記者は10月5日の夜から6日の未明にかけて、市川大橋山側の鋼床版上面補強の現場に入った。片側3車線の橋上を2車線交通規制として床版上にCFRPグリッドを配置し、超速硬SFRCを75mm厚で打設していくものであるが、深夜にも関わらず交通量は多く、さらにかなりのスピードで大型車が通り抜けていく。一見の記者はかなりの緊張感をもって取材にあたった。

深夜にも関わらず交通量は多く、さらにかなりのスピードで大型車が通り抜けていく

 さて、今次の鋼床版上面補強の工程は3つに大別できる。最初は準備工、次に既設舗装の撤去及び仮舗装、最後に仮舗装撤去からショットブラストによる鋼床版面研磨、スタッドジベルの設置、接着防水の塗布、CFRPグリッドの設置、超速硬SFRCの打設および養生である。
 まず準備工ではレベル測量、面積計測、既設舗装厚の確認がなされる。舗装撤去の効率性と鋼床版の保護の観点からは既設舗装厚の確認がとりわけ重要であるが、これはストラクチャスキャン(電磁波レーダー法を利用した非破壊検査機、主にコンクリート内部の空洞や鉄筋探査に用いられる)を使用して測点ごとに舗装厚さを計測した。次工程での切削厚さを決め、鋼床版を傷つけず、できるだけ深く切削できるようにするためのもの。縦断方向の測線は1本/10mとし、形状が変化する箇所においては測線を追加した。横断方向は1mピッチで測定している。

既設舗装撤去は全体を16分割して施工

 既設舗装の撤去は2,030㎡を16分割し、1回あたり120㎡前後を撤去する。まずバックホウで大まかに撤去し、搭乗式スクレーパ(写真)で鋼床版上に付着した塗膜系の防水材を取り除き、300kg/㎡の投射密度でショットブラストして鋼床版上を研掃し、再生密粒度アスコンで仮復旧する。

舗装撤去工など一次施工の施工区割図

施工フロー

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